光明のルエラ
今回はルエラとの戦いそしてその後に待ち受けるのは最大の厄災
ララに心を救われたアカリに今度はシンが近づいて彼女の目をしっかりと見ながら言った
「安心してくれ・・・アンタらの思いは俺達がぶつけてきてやる!」
そしてシンはそのままルエラと戦っているクロト達のところに戻った
「思った以上に厄介な相手だな・・・魔法障壁があるのもそうだが
何よりもこれまで戦った六柱官達の中でも一番巨人の扱いに長けている」
最初から戦っているクロトはおそらくは自分よりも相手の方が巨人の扱いは上だと思っていた
おそらく魔法障壁を壊したとしてもルエラならば冷静に対処される事になるだろう
となればこちらは数で押し切る以外の方法はないがそれでも闇雲にバラバラで攻撃しては意味がない
「いいな?息を合わせるぞ・・・!俺とカライであの魔法障壁を破る・・・!
その隙にヒョウカがあいつの動きを拘束しトドメはシン・・・お前がやれ!」
クロトの作戦を聞いて他の三人は了承し合図と共に動き出す
まずは作戦通りにクロトとカライが突っ込んでいきリエンの能力で魔法障壁を吸収する
そして薄くなった魔法障壁をカライの一撃で破壊し無敵の盾を突破した
「魔法障壁を破るとは・・・!じゃがまだまだ儂には届かんぞ!!」
やはり予想通りというべきなのか魔法障壁が破壊されてもルエラは冷静さを失っておらず
魔法障壁を破壊したクロトとカライを殴り飛ばしたが既に役目を終えた二人は逆にチャンスだと思う
自分達に注意が向いている隙にヒョウカがルエラに対して攻撃を放つ事が出来たからだ
もちろん二人に意識を割いていたルエラはこの攻撃を避ける事が出来ず直撃してしまう
「これは・・・?!氷によって儂の動きを止めるつもりか!!じゃがこの程度では止められんぞ!!」
確かにヒョウカの攻撃でフネラーの手足が凍りついてしまったがそれでも完璧ではない
精々が数分ほどの足止めくらいにしかならないだろうがその数分さえあれば彼には十分だった
「こいつで・・・終わりだぁぁあぁぁあ!!」
フネラーが動けなくなった瞬間にディパシーは背中のブースターを最大出力で噴射し
最高速度でフネラーへと突っ込んでいき渾身の一撃を叩き込んだ
その一撃を受けたフネラーは吹き飛んでいき大聖堂に飾られていたステンドグラスに激突した
「これが・・・お前が騙してきた人々の思いだ!思い知ったか!!」
「クックックッ・・・!よもや儂がここまで追い詰められるとは・・・
流石に他の六柱官を倒しただけはあるかのう・・・じゃが・・・
この程度で勝負がついたと思うのはお門違いというものじゃ!」
しかしルエラはまだ勝負がついていないと戦意は残っているようで怒りの眼差しでシン達を睨みつける
同じくシン達もこれくらいで終わるとは思っていなかったようでまだ戦闘体制を解いていなかった
「見せてやるわい!この儂が作り出した最高傑作というものをな!!」
そう言ってルエラが何かのボタンを押すと床が開いてそこから何かが出てきた
いや・・・シン達はそれが何なのかは直感で察していたというべきだろう
「これこそが人間を素材に使う事で作り上げし最強の改造魔獣・・・!儂の切り札じゃ!!」
その魔物は三つの異なる動物の頭がついており体もそれぞれ別の魔物の特徴が混じっていた
しかし一番シン達にとって異常と感じていたのは溢れ出るその魔力量だった
(こいつ・・・明らかに装甲列車で戦った魔物よりも魔力量が上だ・・・!)
クロトの感覚では目の前にいる魔物は装甲列車であった魔物よりも三倍ほどの魔力を持っていると感じた
「本来ならばまだ調整が万全ではないから出すつもりなどなかったのじゃが・・・
お前達でこいつの実力を試すのもいいかと思ってのう・・・果たしてお前達は倒せるかのう?」
まるで嘲笑うかのようにルエラはこの目の前にいる魔物を倒してみろと告げる
そしておそらくその言葉はシン達が手出し出来ないと分かっていて言っているのだろう
実際にシン達は目に前にいる魔物のは手を出す事は出来ず戸惑っていた
その理由は言うまでもなく魔物の中にいる媒介として使われてしまった人間の事があるからだ
このまま戦ってしまえば間違いなく
その者ごと殺す事になってしまうからこそシン達は下手に手を出す事は出来ない
いや・・・そもそも今の時点ではどうやって救えばいいのかすら分かっていないので
手を出さないのではなく出せないと言うのが正しいだろう
「どうやら完全にお手上げのようじゃのう?まぁ時間はたっぷりと残っていると
精々、悩む事じゃのう・・・自分達がこいつの餌になる時までな・・・!」
その様子を感じ取ったルエラはまさしく勝ったと言わんばかりの笑みを浮かべていた
しかしその笑みはすぐに恐怖で歪んだ顔へと変わる事になった
それは他でもない味方であるその魔物が自分に対して攻撃してきたのだ
「なっ何をするか?!貴様の相手は向こうにいるあの小僧達じゃ!!」
これには流石のルエラも戸惑いを隠せないようで動く事すら忘れて魔物を説得する
しかし理性すらない魔物にそんな言葉を投げかけても理解できるわけもなく
ゆっくりとルエラに近づいていきそして彼を巨人ごと飲み込んでしまった
「マジかよ・・・!あいつにとってあの魔物は味方じゃなかったのか?!」
確かにカライの言う通りあの魔物はルエラにとって味方だったのかもしれない
しかしそんな中でクロトはどうして彼が襲われたのかその理由について何となく察していた
「・・・さっきあいつは魔物に対して調整が終わっていないと言っていた・・・
つまりあいつは手綱を着けられていない文字通りの猛獣というわけだ・・・!」
先ほどの会話でルエラはあの魔物をまだ調整が十分でないと話していた
そしてこいつが地下施設から脱走したのを考えれば調整できていないのは頭の中だと判断できる
しかしそれが理解できたのは間違いなく目の前でルエラが食べられたからだ
(問題はこの後・・・手綱すら着けられていないこいつをどうすればいいのかだ・・・!)
そう・・・本当の戦いはこれからであり問題はどうやって中の人間を助ければいいのか
そもそもその媒介となった人間があの魔物のどこにいるのかすら分からないのでは助けようがない
「とにかくまずは時間を掛けて魔物の特徴を見ていくしかないな・・・」
クロトはとにかく今は情報が足りないので戦いながら弱点をなどを調べていくしかないと考える
「ちょっと待てよ?!それじゃあまたあいつが限界を迎えるかもしれねぇじゃねぇか!!」
それに対して意を唱えたのは他でもないシンだった
確かに彼のいう通り装甲列車の魔物は複数の魔法を扱いきれずに体が崩壊してしまったが
クロトは目の前にいる魔物にはその心配は必要ない事は先ほどのルエラの発言で分かっていた
「忘れたのか?あいつは俺達と戦わせる前にたっぷりと時間はあるって言ってたんだぞ?
という事はおそらくあの魔物はその弱点を既に克服している・・・その心配はない」
時間の制限がないのであれば確実に助ける為の方法を見つける事が出来ると誰もは思っていたのだが
「?!攻撃が来るぞ!!全員避けろ!!」
クロトの声でシン達は一斉に魔物から放たれた攻撃を避けた
三つある口からそれぞれ炎、風、雷を放ちしかもそれぞれが呼応して威力が上がっているので
装甲列車の魔物とは違いその威力は簡単に大聖堂の壁を破壊した
「まずいな・・・流石にこいつとの戦闘だと大聖堂ごと破壊しかねないぞ・・・!」
そう思ってシンはララ達の方を見ると既にナオマサがみんなを連れて避難しようとしていた
「どうやら向こうは心配なさそうだな・・・後はこっちをどうやって攻略するか・・・」
クロトは周りを気にしなくて良くなったので目の前に敵に集中できると言っていた
それほどまでに目の前にいる魔物は強敵であり油断も隙も見せられないのだ
「まずは動きを封じてみるわ!凍りつきなさい!!」
様子を見るという意味も含めてヒョウカは魔法で動きを封じようとする
しかしその攻撃は魔物に届く前に魔法障壁によって阻まれてしまった
「・・・まさか魔法障壁まで再現されているとはな・・・
おまけに複数の魔法も当然ながら使えるとなると・・・様子を見ている場合じゃないな」
それを見てシン達は手加減をしていられるような状況ではないと判断する
とにかくまずは足を止める為に絶対の盾である魔法障壁へと攻撃する
先ほどと同じようにリエンの能力で魔力を吸収するがあまりの魔力量に吸収しきれなかった
(ルエラの時と違ってカライが壊せるくらいまで障壁を弱くできなかった・・・!
これじゃあカライとシンと俺の同時攻撃でしか破壊できない・・・!)
これでは魔法障壁を破壊できたとしてもそれを超えて攻撃する事ができない
(だが・・・どちらにしても魔法障壁を破壊出来なければこちらに攻撃の手はない・・・!
魔法障壁が張り直される前にありったけの攻撃を当てるしかない・・・!)
それでも魔法障壁だけでも破壊しなければならないとシン達は渾身の一撃で魔法障壁を破壊する
そして張り直される前に再び攻撃をしようとするが再び三つのブレスによって攻撃が阻まれてしまう
シン達はその隙に魔法障壁が張り直されてしまうと思ったがそれは起きなかった
「・・・もしかしてこいつ・・・一度敗れた魔法を使う事は出来なくなるのか?」
最強の改造魔獣に立ち向かうシン達
果たして彼らは媒介となった人間を助けて魔獣を倒せるのか?!