最高司祭
今回はこの国の偉い人が出てきます
「お待たせしました・・・お医者様の話では少しだけ歩くのには問題ないらしいので
大聖堂前にある大広場でこの国をまとめている最高司祭様に会いに行きましょう」
医者の元から戻ってきたアカリはどうやら特に異常はなかったようで
先ほどの兵士が最高司祭に頼み込んで大広場にて最高司祭と会う約束をしてくれたそうだ
それを聞いてナオマサ達はいよいよこの国を動かしている
最後の六柱官に会えるかもしれないと気を引き締める
アカリに案内される形でナオマサ達は大広場まで歩いていくと
そこには明らかに他の人とは格好の違う一人の老人が座って待っていた
「おお!シスター・アカリ!よくぞ大変な旅から帰ってきてくれましたね!
あなたはこの国の英雄と言っても過言ではありません・・・本当によくやってくれました!」
その老人がアカリに気が付くと急いで駆け寄って
その手を取り彼女の旅が成功した事をこれ以上ないほどに称賛していた
「司祭様・・・それは私の力だけではなく彼らにも力になってもらいました
本当に称賛されるべきなのは怪我をした私を護衛し魔物を倒してくれた彼らに」
しかしアカリはそれを自分で成し遂げた事だとは思っておらず
後ろにいるナオマサ達がいたからこそだと告げる
それを聞いて老人はアカリの後ろにいるナオマサ達を見ると嬉しそうに近づいていきその手を取った
「君達がシスター・アカリを助けてくれた恩人ですね!私はこの国のまとめ役をしているルエラと申します
この度はシスター・アカリだけではなく各村々を助けていただいて本当にありがとうございました!」
一国の長であるというのにルエラはまるで自分が助けられたような感謝をナオマサ達にしていた
これには流石のナオマサ達も困っておりしかも大声で感謝をするものだから人の目にも触れてしまうので
さらに困った事になっていたので急いでルエラの頭を上げさせて本題に入る事にした
「実は今、私達の仲間が魔物が大量に発生した場所が分かったのでそこに向かっています
おそらく直ぐに魔物の巣を破壊して今回の事件を解決してくれると思います」
ナオマサがここで事実を言ったのはこれを聞いて相手の反応を窺う為である
何も知らないと言うのは目に見えているがそれでも少しくらいならば反応を示すだろうと
「そうですか・・・!よかった・・・これでようやくこの危機が終わるのですね・・・!
神は私達の国に救世主を連れてきてくれました・・・この出会いに感謝を・・・!!」
しかしルエラは目から涙を流し再びナオマサ達に出会えた事を感謝していた
それを見てナオマサは少なくとも今の時点ではルエラは怪しくないと思い警戒を緩める
しばらくルエラと話していると一人の男が現れてルエラに時間が来た事を話す
「失礼・・・どうやら祈りの時間が来てしまった様なので私は失礼させていただきます
皆さんはどうぞ心ゆくまでこのウヴィアで体も心も休んでいってください」
そう言ってルエラはその男と一緒に大聖堂に戻ろうとすると
何かを思い出したようで急いでアカリの方に振り向いた
「そういえばシスター・アカリ・・・孤児院の子供達が貴方の事を待っていましたよ?
まだ顔を出していないのならばこれから向かい子供達の事を安心させてください」
どうやら思い出したのはアカリが世話をしている子供達の事だったようで
アカリに子供達を安心させる為に孤児院に向かうように言ってルエラは再び歩き出した
「そうだった・・・・忙しくてすっかり孤児院に行くのを忘れてた・・・!」
アカリはそれを聞いて自分が孤児院に行っていなかった事をようやく思い出したようだ
「私達も暇なので街を見学するついでに顔を出させてもらってもいいですか?」
するとララが街を見るついでにアカリと一緒に孤児院に顔を出したいと告げる
「もちろん!子供達も皆様のような人達に会えたらきっと喜んでくれると思います!」
アカリとしては自分を助けて村を守ってくれたララ達が子供達に会う事はとてもいい事だと考えていた
きっと子供達にもいい刺激になるだろうとアカリはララ達を孤児院に案内する
孤児院に到着するとアカリは久しぶりで緊張しているのか大きく深呼吸をしていた
そして覚悟を決めて孤児院の扉をゆっくりと開ける
「「「「お帰りなさい!シスター!!」」」」
するとそこには子供達が待っておりアカリの帰りを歓迎してくれておりみんなでアカリに抱きつく
「・・・ただいま・・・みんな・・・!!」
これにはアカリも涙を抑えられず子供達に抱き着いて涙を流しながら感動していた
アカリがララ達と一緒に子供達と遊んでいる頃にナオマサは孤児院のシスター長と話をしていた
「そうですか・・・ようやく魔物の大量発生も終わってくれるのですね・・・」
シスター長も今回の事件が終わるという事を聞いて安堵の顔を浮かべていた
「ええ・・・それにしても・・・随分と懐かれているんですね」
彼女の反応を見てナオマサは教団の関係者ではないと判断し別の話をする事にした
「シスター・アカリも彼らと同じ孤児でしたから・・・実はここで育っているんですよ?」
どうやらアカリもこの孤児院の出身だったようでだからこそ孤児院の子供達の気持ちが分かり
あそこまでの信頼を得ているのだろうとシスター長は話していた
「・・・失礼だとは思いますがこんな争いもない国でもどうして孤児がいるのですか?」
そこでナオマサが思ったのはこんな平和な国にどうして孤児がいるのかという事だった
孤児とは本来、親が居らず親戚も近くにいないからこそ生まれる存在であり
このメソンゲではそんな風に親がいなくなるような戦争などはないと思っていたのだが
「確かにこの国では争いというものはありません・・・ですが人が死なないわけではありません・・・
魔物に襲われて命を落とした者やその毒に侵されて病に倒れた者・・・
争いがなくても多くの人が死んでいきました・・・そう言った意味でこの国も他国と変わらないのです」
その言葉を聞いてナオマサはなんとも言えない顔をしていた
つまりシスター長の言いたい事はその国によっていい部分は違ったり多かったりするのだが
どの国であっても悪い部分だけは一緒で少なくはなく子供がその犠牲者だという事だ
少し前まではその戦争に参加していた事もあるナオマサだからこそその言葉には重みがあった
「こんな事を言ってはなんですが争い自体が悪い事だとは私は思っていません・・・
本気でぶつかり合わなくては分からない事も時にはありますから・・・
ですが・・・それに他人を巻き込んではいけない・・・それが人としての心です」
シスター長はたとえ争いが必要なものだったとしてもそれで他人を巻き込むのは間違っていると話す
おそらくそれはナオマサが先ほどの言葉を聞いて動揺していたから話した事なのだろう
そしてナオマサ自身もそれに気がついたのかシスター長の言葉に対して頭を下げた
(・・・この人の言う通り・・・だからこそ・・・私達は今、ここにいる・・・!)
一方その頃、シン達は向かってきた魔物を倒しながらようやく長い通路を抜けようとしていた
「ようやく出口か・・・思った以上に長かったな・・・」
それは道のりの事を言っているのだろうが確かにシンの言う通り道の長さもそうなのだが
それ以上にここに来るまでの魔物の数がこれまでとは比べものにならないほどだった
無傷でここまでこれたのはそれこそ奇跡に近いのでないかと思ってしまうほどに
「・・・あれだけやっておいて流石に侵入に気づいてないなんて事はないよな?」
出口が近くなってきた事でカライは自分達の侵入にも気づいているはずなので
教団の兵士達が待ち構えているのではないかと心配していた
「その可能性がないわけでもないが・・・だとしてもここまで温存するのはおかしい・・・
もしかしたらそこまで兵士の数はいないのかもしれない・・・
だとしたら待ち構えているよりも・・・」
クロトがそう告げると再び魔物の群れが向かってきてシン達に対して飛び掛かってきた
「やはりな・・・どうやら向こうはミエン同様に逃げようと考えてるみたいだな・・・!」
その様子を見てクロトは自分が考えていた通り敵は逃げる事を目的にしており
時間稼ぎを魔物にさせようとしているのだと考えていた
「って事はさっさとこいつらを倒して今直ぐにでも乗り込まないといけないみたいだな・・・!」
シン達は速攻で魔物を倒していきそのまま全速力で走って長い通路を通り抜けた
そして通路を抜けた先にはシン達ですらも目を疑うような光景が広がっていた
「・・・なんだよ・・・これ・・・?!」
シン達の目の前には様々な魔物が入っている器があり何かの実験に使われていた
他にも魔物の一部分だけが入っている容器もあり中には他の魔物の体がくっついている個体もいた
「・・・どうやら俺の予想通り・・・ここは魔物の改造を主に研究・実験していたようだな・・・」
クロトの予想通りの結果が待っていたがその規模は自分達が想像していた以上で
この結果がうまくいっていたのならば今頃この国がどうなっていたのか
それは想像するまでもなく地獄のような光景になっていただろう
「・・・っ!おい!来てくれ!!とんでもない事がここに書かれてるぞ!!」
「これは・・・新しい魔物を作る実験の結果表だな・・・なっ?!」
シン達はカライが見つけた紙を見るとそれは新しい混合魔物に関しての実験資料なのだが
そこの最後には人間を使った実験もしておりそれによる成功結果が書かれていた
「あいつら・・・人間まで使ったって言うのかよ・・・!!」
どうやら事態はシン達が想像していた以上に悪い方向に進んでいるようで
とにかく急いでここを調べ尽くしてここを仕切っていた最後の六柱官を暴き出す事にした
「と言っても・・・この数を四人で調べるのには時間が必要だからな・・・
そして・・・この魔物が今どこにいるのかも調べる必要があるか・・・」
「・・・だな・・・ここは別れて捜索しよう・・・!」
ようやくウヴィアにある教団の施設にへと侵入したシン達
しかしそこにはとんでもない実験の記録が描かれており
シン達はこの実験を引き起こした者に怒りを覚えるのだった