聖都の裏にある闇
いよいよメソンゲ編のクライマックスであるウヴィアに到着!
ナオマサ達はウヴィアの門の前まで辿り着きいよいよ中に入ろうとしていた
「これはシスター・アカリ!巡礼の旅、お疲れ様でした!
怪我をされているのですか?!おい!すぐに医者を呼んできてくれ!!」
門の前にいた兵士はアカリの事を知っていたようで彼女が怪我をしているのを見ると
取り乱してすぐに医者を呼んでくるように仲間に命令する
「大丈夫ですよ。ちゃんと治療はしてもらっていますから」
しかしすぐにアカリが治療を受けた事を教えて医者を連れてくる必要はないと告げる
「そうですか・・・それと・・・後ろの方々はどなた様ですか?」
それを聞いて一安心した兵士はナオマサ達についてを尋ねる
「彼らは私の巡礼の旅に同行し更には魔物の大量発生についてを調べていた人達です
私を助けてくれた恩人として招いたのですが中に入れてもらえますか?」
アカリはナオマサ達が命の恩人でありそのお礼をする為にウヴィアの中に入れたいのだと話す
「そうだったのですか!シスター・アカリの恩人となれば入れないわけには行きません!
すぐに手続き等をしてきますので少しだけお待ちください!」
兵士は急いで奥の方へ去っていきナオマサ達が中に入る為の書類などを用意する
「滞在期間は限られていますがこの許可証があれば期間中はいつでも出入りできます!
この度はシスター・アカリを助けていただいて本当にありがとうございました!」
深々と頭を下げてお礼を言う兵士に対してナオマサは頭を上げるように告げる
「私達は彼女が困っていたから助けただけ・・・そこまで感謝されるような事ではありませんよ
それにまだ魔物の大量発生が終わったわけではありませんしね・・・」
まるでナオマサはカマでも掛けるかのように兵士に対してそう告げるが
どうやら彼らは本当に何も知らないようでそれでも感謝の言葉を述べていた
「そういえばシスター・アカリはこの後で最高司祭様にお会いになられるのですよね?
その足では大聖堂に向かうのは厳しいかと思うので私の方から知らせておきますね!」
大聖堂は百段を超える階段の上にあるので今のアカリには上のは厳しく
兵士はそれを気遣ってアカリの代わりに自分が最高司祭に報告すると言ってくれた
「感謝します・・・それでは皆さん行きましょうか」
ナオマサは門を潜り抜けてようやくメソンゲの首都であるウヴィアの中へと入った
中に入ると周りは神聖さを表すかのように綺麗な街並みをしており
街の人も活気付いていると言うよりかはとてもお淑やかに振る舞っていた
「なるほど・・・まるで街にいる人達全てが貴族のように振る舞っているのですね」
その姿を見てナオマサはまるで貴族のような動作が必要になってくるのだと思っていると
「はい・・・この首都に住んでいる人達は選ばれた者として国を支える義務がありますから
何事も冷静にそして静かにする事を義務付けられているんです」
どうやらこの首都にする人達は全員、国の運営に関わる仕事をしているようで
冷静に物事を判断しみんなに威厳を示す為にこんな風に生活しているそうだ
「へぇ〜・・・でもそれって結構窮屈だったりしないの?」
初めてそう言うのを見たヒョウカは流石に厳しいのではないかとアカリに告げると
「確かに最初はかなり苦労しますが国の為にと考えたら自然と体が覚えて
いつの間にかこれが当たり前のようになっていくんです
私も子供の頃はかなり苦労しましたが今ではもうやめる事が逆に出来なくなりました」
みんなは国の事を考えて行動しているからこそ特に辛いという事はなく
習慣として受け入れてそれを当たり前にしてきたそうだ
そして今では完全にそれが体に染み付いておりやめる事の方が出来ないそうだ
「国の為に・・・ですか・・・とてもいい心掛けですね」
ナオマサは彼らの純粋に国を思う心はとても大切なものだと賞賛していた
だからこそそんな気持ちを利用して自らの欲望の為に使おうとしている教団が許せなかった
そして・・・大臣やフェウにも同じような心があれば
反乱など起きなかったのではないかとも思っていた・・・
(・・・今更、私は何を考えているのだろうな・・・あいつは国を裏切り友である私を欺いた・・・
その事実は変える事が出来ないし奴が変わる事もないとわかっているのにな・・・)
せめてこの国だけは救いたいと願ったナオマサはシン達の作戦がうまくいく事を祈るのだった
一方その頃、シン達はクロトが拾った魔道具で隠し通路を目指していた
「・・・さっきの人・・・もしかして教団の人間だったりするのかな?」
その道中でテンテコはその魔道具を持っていた人は教団の人間だったのか疑問に思っていた
しかしシン達はその可能性はかなり低いと思っていた
何故ならば教団の人間は基本的にその目的に対して純粋であり命すらも賭ける者達が集まっている
そんな彼らの中に裏切りを考えるような人間がいるとは到底思えないのだ
となると先ほどの人間は一体何者だったのかとなってしまうのだが・・・
「・・・おそらく彼は教団の企みついて知ってしまったこの国の人間なんだろう・・・
そしてその口封じの為に殺された・・・それが一番可能性としてはあり得る話だ」
シン達が考えていたもっとも可能性として高かったのは現地の人間が教団の企みを知ってしまい
その口封じの為に殺されたというものだった
そしてそれは同時に教団は既に新しい中にをしているという事でもある
もしもそれがシン達の考えていると通りに事ならばもはや時間の猶予はない
「できれば奴らの企みが現実になる前になんとしても食い止めなくては・・・!」
だからこそシン達は魔道具を使って急いで隠し通路に向かっていた
その甲斐もありようやく隠し通路のある場所まで辿り着いた
「ここに隠し通路があるのか・・・で・・・どうすれば出てくるんだ?」
シンはどうすれば隠し通路の入り口が出てくるのだろうと辺りを探ってみるが
それらしい仕掛けや扉のようなものは一切なかった
もしかして先ほどの魔道具は別の意味がある物だったのではないかとシンが思っていると
「・・・なるほどな・・・やはりこれが鍵になっていたというわけか・・・」
どうやらクロトが何かに気がついたようで魔道具を取り出すと太陽の光を反射させる
すると急にシン達が立っていた大地も光出してまるで蓋が開くかのように迫り上がっていった
そしてその下には空洞が続いておりこれこそがまさに隠し通路の入り口だった
「なるほどな・・・その魔道具で光を当てるのが隠し通路を開ける鍵だったってわけか」
カライはようやく魔道具の本来の使い方が分かったようでシン達はその入口を入っていく
「随分と暗いな・・・本当にこんな場所がウヴィアにある教団の施設と繋がってるのか?」
先ほどから進んでも進んでも真っ暗な空洞しか続かずカライは本当にこの通路が
ウヴィアにある教団の施設に繋がっているのか怪しく思っていた
「魔物を解き放つ為の入り口なんだからこれぐらい長いのは当然だろ?
そうじゃないといつ自分達の元に戻ってくるか分からないんだからさ」
確かにシンの言う通りここまで空洞が長いのはあくまでも魔物を解き放つ為だと考えられる
もしもウヴィアの近くから解き放ってしまえば自分達が襲われる可能性があるし
一本道にしてしまえば入り口が見つかった時に怪しまれる可能性も十分にある
だからこそこうして真っ暗な空洞にしまるで迷路のように通路を入り乱れるようにしているのだろう
「理屈はわかるけどよ・・・正直な話、もっと簡単な通路にしてほしかったよ・・・」
文句を言ったところで通路が短くなるわけでもなくカライはため息を吐いていると
「・・・どうやらそんなため息を吐いている暇すら無くなったみたいだぞ?」
クロトの言葉を聞いてカライが耳を澄ませると何かが近づいてきているのが分かった
「まぁ魔物が通る道だから覚悟はしてたけど・・・流石に早くないか?」
自分達のいる場所的に襲われる覚悟自体はしていたのだが明らかにペースが早かった
「もしかしたら俺達がここに入ったっていうのがバレたのかもしれないな
もしくは予め侵入者が入った時用の魔物が配置されてたのかも」
なんにしても何事もなくここを通るのは無理なようでシン達は武器を構える
そしてようやくこちらに向かってきた魔物の姿が見えてきたと
同時に三人は突っ込んでいき魔物を倒していく
「どうやら大型の魔物はいないみたいだな・・・!なら楽勝だぜ!!」
見たところ大型の魔物の姿はなく巨人での戦闘はないようで
シン達もこれならば苦労しなくても済みそうだと思っていたのだが
「いや・・・どうやらそう言うわけにもいかないみたいだぞ?」
クロトにそう言われてシンとカライが奥の方をみるとさらに大量の魔物がこっちに向かってきていた
「あ〜・・・これはあれだな・・・質がないなら量で勝負ってやつだわ・・・」
一方でウヴィアの中に入ったナオマサ達はアカリの家にお邪魔しており
彼女が医者のところに向かっている間に中での様子を確認する事にした
「見たところやはりそれらしい建物はありませんでしたね・・・
それに街の人も教団について何も知らないようでした」
ナオマサがカマを掛けても何も反応しなかったので
おそらく街の人間は教団の事についてを何も知らないとララ達は判断していた
「となると・・・やはり怪しいのはこの国を納めている大聖堂にいる司祭達ですか・・・」
元より六柱官は国の中枢に関わる役職についており最初から怪しいのはそこら辺の人物だとは思っていた
しかし問題は未だにそんな人物達と会っていないので誰が怪しいのかはまだ分かっていないという事
(やはり誰が主犯なのかせめて人相だけでも分かればよかったんだが・・・)
今の現状では国の中枢人物に教団の人間がいたとしても誰がそうなのかは全く分からない
つまりは一番最初に会ったとしても気づかずに後手に回る可能性が高いという事だ
(・・・頼んだぞ・・・どうやら最後の六柱官の正体はお前達の手に掛かっているようだ・・・!)
無事にウヴィアの中に入ったナオマサ達
果たして最後の六柱官を見つける事は出来るのだろうか?
そして地下から侵入しているシン達の行方は?!