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メソンゲの裏にある闇

最後の方でメソンゲにいる六柱官が登場します!

「確かにその可能性は十分にありそうだな・・・教団の狙いが人々の心を操る事ならば

 その装置が完成してしまえばもはや無理に信者を集める必要はない」

つまりそれはナオマサが見つけた設計図の装置が既に完成に近づいているという事だ

これはシン達にとって最も信じたくない真実だがその可能性は十分に高いだろう

「・・・でもよ・・・それなら教団は逆にこの国で何の実験をしてたんだ?」

ここでシンが気になったのは当初からも調べる目的になっていたこの国でも教団の目的だ

今まではその国の内部に潜り込む事こそが六柱官の目的のようなものだったが

この前のミエンでは既に国の中枢にいて実験を繰り返し恐るべき装置を作り出していた

そしておそらくはこのメソンゲにいる六柱官も既にこの国の中枢にいるのは間違いないだろう

ならばその地位を利用してこの国で何かを行っていたはずなのだ

シンはそれが一体何なのだろうとナオマサ達に聞くがそれはナオマサ達も分かっていなかった

「いずれにしても碌でもない実験じゃない事だけは確かだろうな・・・

 これまでも人を操る実験にその装置を作る為の設備なんかもあった

 この国で一体どんな事をしていたのかはまだ分からないが

 少なくともそれと同じくらいの事をしているはずだ

 まずはその実験をしていた場所を突き止めて誰が六柱官なのかを調べるぞ」

正直な話をするのならば既にクロトは教団がこの国でどんな実験をしているのか大体の予想は出来ていた

それがわかったのは他でもない魔物の大量発生という彼らの行動のおかげだ

普通ならば絶対に有り得るはずない魔物の大量発生が教団によって引き起こされたものならば

この国で教団が行っていた実験はおそらく魔物に関しての実験に他ならないだろう

(問題はその内容・・・どんな実験を行いどんな事を調べていたのかだな・・・)

魔物は謎の多い生物でその詳しい生態や生まれてきた理由などそれは誰にも分かってはいない

そしてそれは同時に一体何を知れば教団にとって利となるのかも分からないという事でもある

クロトは教団が目指している目的についてを知ってはいるがそれが魔物とどう関係するのかまでは

全くと言っていいほど分かってはおらずそれも調べるしかないと考えていた

「とにかくここでの情報も集め終えたしみんなと合流しようぜ」



一方その頃、ララ達はアカリと一緒に教会で祈りを捧げていた

既にこの教会には何の力もない事は分かっていたがそれでも彼女と一緒に祈りたくなったのだ

もしも本当に神がいるのならばみんなを守ってほしいと

「・・・ありがとうございます・・・皆様も一緒に祈ってもらって」

祈りを終えるとアカリは一緒に祈ってくれたララ達に感謝していた

「気にしないでください・・・私達も村の人達が安心して暮らしてほしいと思っているだけですから」

しかしララは自分達もアカリと同じ気持ちだから祈ったのだと言って感謝は必要ない事を告げる

「・・・本当にその通りです・・・このメソンゲはかつて国から追放された人達によって作られました

 信じていた国に裏切られた彼らはもはや神に救いを求めるしかなかった・・・

 そんな時に立ち上がりみんなの気持ちを一つにしたのが初代国王であり当時の最高司祭様でした

 彼は人々にこれは神の試練でありこの苦行を超えた先に幸福が待っていると言って

 みんなにやる気を取り戻してこのメソンゲという国を作るに至りました

 それ以降は彼こそが本当に神の使いだったのだとこの国の人々は彼を崇めるようになりました

 そんな人々の幸せを願っていた彼ならばきっと

 この国の人達が平和に暮らせるように今も神に願っているはずです」

どうやらアカリにとってそしてこの国の人々にとってはこの国を作った初代国王は神の使いと思い

祈る事で少しでも彼を手助けできればいいと考えているようだ

その話を聞いてララ達はその初代国王は別に神を信じてはいなかったであろうと思っていた

それでも人々にやる気を取り戻させる為にあえて嘘を付いて人々を騙し国を作る事にした

失敗すればおそらくは様々なレッテルを貼られて虐げられる事は分かっていただろう

しかし彼はそれを知った上で人々を騙し国を作る決意を固めそれを成功させた

そう・・・彼は人々についた嘘を真実に変えてしまったのだ

そしてそれは神の仕業などではなくまさに人々の意志が生んだ奇跡

だからこそララはたとえ彼らの信じていた人が悪だったとしても大丈夫だと思っていた

そこまで強い意志と諦めない心を持っていた人々の血を受け継いでいる彼らならば

きっとどんな逆境であろうとも輝く事を諦めはしないだろうと



ララ達はアカリを連れて教会の外に出るとそこへ丁度良く情報を聞き終えたシン達が帰ってきた

「どうやらそちらも終えられたようですね?それならば次の村へと向かいましょう

 その道中でこちらが集めた情報を共有したいと思います」

ナオマサ達は馬車に乗り込んで次の村に向かいながら村で集めた情報をみんなに話した

「・・・やはりあの村も何度も魔物に攻められてきたのですね・・・

 早く原因を突き止めて魔物の大量発生を終わらせないと・・・!」

先ほどの村でも魔物に何度も襲われたという事を聞いて

ララは一刻も早く魔物の大量発生を終わらせなければならないと考えていたが

「落ち着けよ・・・

 みんなを助けたい気持ちは分かるけど俺達が失敗したら誰も魔物に対抗できないんだ・・・・

 だから確実に倒す為に今はできる限り情報を集めて準備をしよう」

そんなララを落ち着かせようとシンはその手を握りながら落ち着くように諭す

自分も同じくすぐにでも魔物が現れた原因を止めたいと思ってはいるが

だからこそ同時に失敗も出来ないので慎重に行動しなくてはいけないという事を

「・・・ごめんなさい・・・身勝手な事を言ってしまって・・・」

ララは先ほどの自分の発言は軽率すぎたと反省していたが別に謝る必要などなかった

「姫様・・・謝る必要などありません・・・何故ならば私達も同じ気持ちなのですから」

そう・・・シンだけではなく他のみんなもララと同じ気持ちだった

それこそ冷静さがなければすぐにでも一人で本拠地に向かおうとしただろう

だからこそ誰もララの事を責めるなど出来なかった

「・・・本当に皆様は心の優しい人達なのですね・・・

 私だけではなくこの国の人々をそんなに親身になって助けようとしてくれる・・・

 皆様と出会えた事を本当に感謝します」

するとみんなの話を聞いてそれが本心からだという事を理解したアカリはみんなに感謝していた

何の力もなくただ神に祈るしかない自分と違ってシン達には事件を解決するだけの力がある

それを本当に何の見返りもなく善意だけでやってくれる事を本当に嬉しく思っていたのだ



「・・・感謝するのは早いですよ・・・まだ魔物の大量発生は収まっていませんし

 それに・・・まだ人々が傷ついているのは間違いありませんから」

そう告げるナオマサの前には大量の魔物達が自分達の前を走っていた

それはつまり彼らの侵攻先はこれから自分達が向かう村だという事だ

「俺達が奴らの前に出て足止めする!ナオマサ達は後ろから倒してくれ!」

シンとカライは魔物の侵攻を止める為に彼らの前に立ち塞がり足止めをする

その隙に後ろからナオマサ達が魔物を倒していき一時間ほどで魔物を倒し終えた

「今のは・・・あっちの森に繋がっているな・・・って事は向こうの森から来たのか」

魔物の足跡を追っていくとそこには深い森があり先ほどの魔物はそこから来たのだとシンは断定した

そして村から聞いた情報の中にそれを加えて何処から生まれたのかを確認する

(この時点で大体の怪しい場所は分かってきたが・・・やっぱりまだ範囲が大きい)

二つの村からの情報と合わせて範囲を絞り込む事は出来たがそれでもまだ大きかった

「しかし俺達が村に侵攻する手前で倒せてよかった・・・

 あれだけの数を誰かを守りながら戦うのは骨だからな」

簡単に倒せたとはいえ魔物の数は前回、この国で戦った時と同じくらいの数がおり

もしもあの数が村にいてそれを倒す為に戦えばその被害はどうなっていたのか検討もつかない

そう言った意味ではここで魔物を倒せたのはある意味で幸運だと言えるだろう

「ああ・・・だが油断はしていられない・・・あの部隊は偵察部隊だった可能性もある

 とにかくまずは村に行って魔物が現れた事を知らせるぞ」

シン達は急いで村まで向かい情報を収集しながら先ほど魔物が来ていた事を知らせた

「まさかまた魔物が現れるとは・・・やはりこの村を捨てなくてはいけないのかのう・・・」

村長はその話を聞いて安全な場所に避難した方がいいのではないかと考えるが

どの村でも同じような事が起こっているので安全な場所などあってないようなものだろう

「それに魔物が動き回っている以上、下手に団体で動けば危険です」

ナオマサの助言を聞いたからなのか村長はその通りだと判断して村の守りを固める事にした

そしてアカリ達はそれを手伝いながら教会での祈りを済ませるのだった



一方その頃、首都ウヴィアにある大聖堂の地下では巨大な魔物達が檻の中で暴れていた

「おやおや・・・どうやら獲物が来た事に気がついたようですね・・・」

そしてその牢屋の前には白いローブを纏う老人の姿があった

「まぁ・・・どうせ最高傑作が完成するのにかなりの時間が必要ですし何よりも()()が足りない・・・

 足止めと材料の調達も含めてこの子達に頑張ってもらいましょうかね・・・」

そう言って老人は檻を開けて中にいた魔物達を解き放った

「行きなさい・・・!そして獲物を捕らえてくるのです・・・!

 それ以外に関しては・・・殺しても構いませんがね・・・!ヒョッヒョッヒョッ!!」

最後の六柱官によって解き放たれた巨大な魔物達

果たして彼らは一体何処へ向かおうとしているのか?!

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