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墓場に眠る真実

今回は魔法石について深掘りする回です

シン達は先ほどの魔物を撤退させそのまま墓場の中を進んでいく

「しかし・・・先に行けば行くほど魔力の濃さが上がっていくな・・・

 一体ここで何があったんだろうな・・・」

魔法使いの墓場と呼ばれているくらいなのでここで何かあったのは間違いないだろうが

シンはその何かが一体どんなものだったのだろうと真剣に考えていた

「確かにな・・・戦争があった場所なのか

 それともその戦争で亡くなった人達を弔った場所なのか・・・

 どちらにしても良い場所ではない事だけは間違いないだろうな・・・」

クロトの言う通り墓場という意味も含めたのならばここが良い場所ではない事だけは確かだろう

それこそ下手をすればあの戦争が起こった場所という可能性もある

「そういえば気になってたんだけどさ・・・そもそも魔法石はどうやって作られたんだ?」

するとカライがそもそも気になってきた魔法石の製造法についてを気にしていた

確かに魔法石は古の魔法使い達の魔力を封じた物だという事は誰しもがわかっているが

それがどうやって作られた物なのか誰も知らなかった

もしもその製造方法が分かればここが墓場と呼ばれている理由も分かるかもしれない

「だが魔法石の製造方法は錬金術師にとって最大の難関だと聞いた記憶がある

 ディパシーを作ったお方やその師匠でもあるガンジ殿ですらそれは分からなかったそうだ」

しかし魔法石の製造法は錬金術師にとって最も謎のままになっている最大の難問のようで

あのガンジですら製造法の一工程ですら判明させられなかったと話していたほどだ

「あの爺さんですら分からなかったってどんだけ難しいだよ

 それじゃあ過去の人に答え聞くしか選択肢がないじゃん」

テンテコの言う通り今の人達ですら分からないというのならば実際にそれを作り出した人物

古の魔法使い達にでも聞かない限りその答えを知る事は出来ないだろう

「もしかしたらこの墓場を進んでいけばその答えが見つかるかもな」

それに対してクロトはもしかしたらこの墓場にその秘密が隠されているかもしれないと告げるが

実際にその秘密が隠されている可能性はかなり低いだろう



みんなも所詮は憶測だけの話でしかないと思いながら先へと進んでいく

するとこの真っ暗な坑道には本来あり得ないはずの光が差し込んできた

「まだ出口には程遠いはず・・・あの光は一体・・・?」

ナオマサの手にある地図ではメソンゲへはまだ半分以上も距離があり

とても陽の光が差し込んでくるような距離ではなく一体何の光なのだと警戒しながら先へと進む

そして光が差し込んできた場所に向かうとそこは大きな空洞になっており

しかも壁や床に大量の魔法石が散りばめられていた

「これがあれだけの魔力溜まりを作っていた原因か・・・これほどの量ならばそれも納得だな」

ざっと数えただけでもその数は軽く万は超えた数がありそれだけの数があれば

いくら下級の魔法石であってもあれだけ濃い魔力溜まりを作り出せると思っていた

そんな中でシンだけはみんなとは違う別の場所を見ていた

そこには先ほど退いていったはずのカメレオンのような魔物が再び居たのだが

シンが見ていたのはその隣にある大きな水晶玉だった

(・・・何でだろう・・・何も知らないはずなのに懐かしい気配を感じる)

本来ならば全く見たこともないはずなのにその水晶玉からは懐かしい気配が放たれており

シンがゆっくりと近づいていくと

カメレオンの魔物はまるで待っていたと言わんばかりにその水晶玉に魔力を送り込む

すると周りにある魔法石まで反応してその水晶玉に魔力を送り込み

辺りが暗くなるとその水晶玉が光り出してその上に一人の男性が映し出された

『未来の人々よ・・・初めまして・・・私は魔法使いの一人でこの墓地を管理している者だ』

どうやらその男は魔法使いだったようでこの墓場を管理している人だと言っていた

同時にシン達はこの映像からはまるで生きている気配がしないと思っていると

「・・・おそらくこれは過去の映像を見せる魔道具なのだろう

 ・・・つまりこの人物はもうこの世に存在していない」

ナオマサは映像に映っているのは過去の映像で目の前にいる人物はもう生きていないのだと判断する

『ここまで来た君達に見せたいと思う・・・ここがどういう場所なのかを・・・』



「・・・これは・・・」

男性の映像が消えるとそこには別の景色が映し出されていた

しかもその映像はかなり悲惨なもので一面が焼け野原や荒地になっていた

それを見た瞬間にシン達はその映像がすぐに古の大戦についてのものだと悟った

『私達はかつて魔法という生きていくのに便利な術を持っていた

 全ての自然を味方にして意のままに操る事が出来る・・・そんな術を・・・

 しかしそんな魔法にも欠点が存在した・・・それは扱う者の心を変えてしまうという事だった・・・』

男性が魔法の欠点・・・正確には大きな力が人を変えてしまう事を話すと

再び映像が変わって今度は魔法を使う人達が争っている姿が映し出された

『魔法で全てを支配しようとした魔法使い達が増えていき戦争が引き起こされた

 そしてその戦争によって一番被害を受けたのは他でもない・・・この大地そのものだ・・・

 草木は枯れ果て大地は割れ海は汚れてしまった・・・何も生きられない地獄となった・・・

 動物だけではなく魔法が使えなかった人も死んでいった・・・そんな地獄が何年も続いた・・・

 ようやく戦争が終わり私達は大地を再び魔法によって元に戻した・・・

 しかし・・・私達が元に戻す事が出来たのは大地だけだった・・・』

再び映像が変わって今度はおそらく人が住んでいた街なのだろうが

どの建物も壊れてそこに住んでいた人達の無惨な姿が映っていた

『どんな魔法であっても死者を蘇らせる事は出来ない・・・

 私達は自分が何も出来ない愚か者なのだと初めて知った・・・

 そしてこんな悲劇が二度と起こらないように魔法をとある石に封印する事にした』

今度はこの場所が映し出されており何人もの魔法使いが集まっている映像が映った

そして魔法使い達が石を持って何か呪文を唱えていくと石に魔力が吸収されていく

しかしシン達が驚いたのは更にその先に映っていた映像

古の魔法使い達が自分の魔力を全て石に込めるとその肉体が消滅したのだ

「そんな・・・魔法石は魔法使い達の命から作られていたって言うのかよ・・・?!」

これには他のみんなも動揺が隠せず言葉すら発する事が出来なくなっていた



『・・・もしかしたら私達はこの世に生まれてきてはいけない存在だったのかもしれない・・・

 そう思いながら多くの魔法使い達はその命を絶つ事にした・・・

 そして魔法石と通しながらこの自然と一体になり私達は再び考える事にした

 どうすればよかったのだろうと・・・私達に足りなかったのは何だったのだろうと・・・

 もしかしたらその答えは出ないかもしれない・・・だがこれだけは言える・・・

 どうか私達を起こさないでくれ・・・私達の力は争いの元になる・・・

 それだけは絶対に許させる事ではない・・・どうか・・・頼む・・・!』

そのお願いを最後に映像は終わってしまい再び魔法石に光が灯されていく

「・・・まさか魔法石の製造法が魔法使い達の命を使ったものだったとはな・・・」

これまで色んな経験をしたみんなも魔法石の真実を聞いて何か感じるものがあったようだ

それもそのはずこれまで自分達が便利だと思って使っていた魔道具

そして自分達の守り主でもある巨人の中にある魔法石が

全て人の命で作られていると知れば誰でも考え込んでしまうだろう

「魔法を捨て平和を望んでいたのだと私達は勝手に思い込んでいたが・・・

 どうやら彼らは自分達の力を本当に恐れてその命を捨てる事で安息を得ていたのだな・・・」

魔法という術を持ってしまったが故に彼らはその大きな力に悩まされていた

そしてその結果として起こったものが戦争でありその結果があの有様だ

この大地を一度は誰も生きる事の出来ない地獄へと変えて多くの命を奪った

そんな中で自分達は魔法という恩恵のおかげで生きる事が出来たが

そもそもの原因は魔法であり自分達が生きている限り再びそれは引き起こされるかもしれない

おそらくはそんな心の葛藤の果てに彼らは魔法石に魔法を封印し命を落とすという結果だった

「・・・命を落とす以外に・・・彼らに選択肢はなかったのでしょうか・・・」

ララも他の選択肢を模索する事は出来なかったのだと彼らの最後をとても悲しんでいた

しかし全ては千年以上も前の出来事であり今の自分達がどうこう出来るものでもない

「・・・俺達は彼らの気持ちを汲んであげよう・・・その為に教団を止めるんだ・・・!」

シンの言葉を聞いてみんなはそれこそが彼らに出来る唯一の事だと思い再び前へと歩き出した



一方でシンは先ほどの映像を見てとある事を思い出していた

それはかつてディパシーの中にいる光の人が言っていた事だった

彼はディパシーの時を超える能力にはシンの魔力を消費していると話していた

そして魔力を消費し切った人間がどうなるかも分からないと

しかし先ほどの映像では魔法石に魔力を封印した魔法使い達は命を落としていた

それはつまり魔力を使い切れば肉体が消滅するという事なのだろう

そしておそらくそれは魔法石に封印されている彼ならば知っている事のはず

それなのにどうして彼はそれを自分に黙っているのだろうと考えていた

(もしかして俺に知られなくない何かがあるのか?

 それともあいつははあの方法を知らないで魔法石に封印されたのか?

 分かんないけど・・・でも一つだけ分かっている事がある・・・)

シンがこの墓場で分かった事

それはあれほどまでに光の人が魔力を消費する事を注意していた理由だった

その原因が分かったおかげで彼が本当に自分の事を心配していたのだと理解するには十分であり

たとえ自分に対して何かを隠していたとしても今はそれだけで十分だとシンは思うのだった

魔法石の真実を知ったシン達は彼らの決意を無駄にしない為

そして二度と戦争を引き起こさせない為に最後の六柱官を探しにメソンゲへと急ぐ

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