次に向かうは水晶の法国メソンゲ
今回でミエン編は最後です!
ダモンで十分に休み巨人の整備も終わったシン達は
いよいよ最後の国であるメソンゲに向かう準備をしていた
(メソンゲ・・・六大国の中で最も得体の知れない国だと言っていいかも知れない
それに・・・信仰という意味では教団に近しい何かもある・・・
もしかしたら教団とメソンゲには何か深い関係があるかも知れない・・・
そう考えておいた方がいいかも知れないな)
ナオマサは教団とメソンゲには近いしいものを感じたようで
もしかしたら関係があるのではないかと警戒しておく事を考えていた
(しかし・・・一番の問題はどうやってメソンゲに向かうかだな・・・)
ミエンにある教団の線路を通っていけばその先に待っているのは彼らのアジト
そんな場所にわざわざ向かう訳にもいかないし他のルートも彼らが使っていたものだ
なので他に何かルートはないかとナオマサとガンジは探していた
「う〜む・・・やはりこれは新しいルートを進んだ方がいいかも知れないな」
ガンジは自分達が使っていたほとんどの道はロシェに使われていたのを確認し
ここはやはり新しい道を開拓した方がいいかも知れないと提案する
「新しい道ですか・・・ですがここら辺は岩山だらけで開拓するには
大勢の炭鉱夫達が穴を掘らなくてはいけないのではないですか?」
確かにナオマサのいう通り新しい道を作るとしたら
何人もの炭鉱夫達が何ヶ月もかけて穴を掘らなくてはいけない
だが生憎とそんな時間を掛けている暇などなくどうしようかと考えていると
「・・・一つだけある・・・メソンゲへと繋がる道がな・・・」
どうやらガンジだけが知っている道が一つだけ残されている様で
そこを行けばメソンゲ入れるらしいのだが明らかに彼の様子がおかしかった
「・・・その道とは一体どんなものなのか・・・教えてもらえますか?」
ナオマサはガンジの様子を見てかなりの危険が伴うのだと判断しどんな道なのかを聞く
「・・・そこはかつて魔法石が埋もれていた場所・・・魔法使いの墓場だ・・・!」
「魔法使いの・・・墓場・・・!」
「・・・えっと・・・マジでそこを通るしかメソンゲに行く道ってないのか?」
ナオマサから話を聞いたカライは本当にそんな道を通るしかないのか尋ねる
「残念だがこれ以外に今すぐに通れる道はない・・・
ロシェが使っていた道から横穴を掘るという手もあったがそれでも一月以上は掛かる
これ以外にメソンゲへと向かう道はないと考えた方がいいだろうな」
しかし他の道を整備するにしてもやはり一ヶ月以上の月日を必要とするので
魔法使いの墓場を通る以外に最短でメソンゲに向かう道はなかった
「魔法使いの墓場・・・そこはどれくらい危険な場所なんだ?」
クロトはもしも通った場合どれほどの危険があるのかを問う
「ガンジ殿の話ではかなり魔力が高い場所だから
それなりに対抗力がない者は魔力酔いを起こすそうだ・・・
だがもちろん・・・それだけで魔法使いの墓場と呼ばれている訳ではない・・・
その場所では幻聴や幻覚などを見る者が多く心が壊れてしまった者が数多くいたらしい
それで今まで閉鎖されていたらしいのだが・・・同時にこれは教団を欺くチャンスでもある」
ナオマサの言う通りここまで危険なルートならば教団ですら見張ってはいないだろう
そして自分達がこんな場所を通るとも思っていないはずなので
おそらくは何の罠もなくここを通る事が出来るはずだが問題なのは
「その通る道自体が罠みたいなものだって事か・・・はぁ〜・・・」
そう・・・一番問題なのはそのルート自体が危険で無事に通れる保証がないというところだ
「魔力の濃い場所で耐性があっても幻聴が聞こえて幻覚まで見えてくるか・・・
おそらくは何かしらの魔法を受けた可能性があると考えるべきだろうが・・・
そうなってくると考えられるのは魔物の仕業か・・・」
しかしそこで魔物を見たという人は誰一人としておらず可能性としてはかなり低い
「そっそれじゃあもしかして亡霊の呪い・・・?!」
それを聞いてヒョウカはお化けの仕業なのではないかと恐怖しララの後ろに隠れる
「・・・むしろその程度で済むのならそれに越した事はないんだけどな・・・」
「いやむしろそっちの方が怖いわよ!!」
「・・・いずれにしても明日になればそこへ出発しようと思う
ここの手掛かりを調べ尽くした今となっては残りの六柱官に話を聞くしかないからな」
教団の恐るべき計画や長の正体についてを聞いてしまった以上は
一刻でも早く本拠地の場所を知る必要がある
そしてそれを知っているのはおそらく幹部である六柱官だけだろう
(三魔将・・・おそらく彼らも本拠地の場所は知っているだろうが・・・)
その一人であるラフェルはロシェとの戦いで弱っていたとはいえ簡単にシン達をあしらっていた
つまりはそれほどまでの実力差が三魔将との間にはあると考えていいだろう
そんな相手と戦うわけにも行かないしそもそもどこにいるのかも分からない
ならば場所も知っており実力も理解している六柱官から話を聞いた方がいい
(とはいえ油断は禁物・・・残された六柱官の一人はあのフェウなのだからな・・・)
彼と一緒に騎士団で戦ってきたからこそナオマサはその実力をよく知っていた
それこそ純粋な技量ならばラフェルにも引けは取らないと考えていた
つまりは残されたもう一人もそれほどの実力者だと考えるべきだとナオマサは思っていた
一方でシンはディパシーの中にいた光の人が話していた事を思い出していた
古の大戦を引き起こした邪悪なる魔法使い・・・その人こそが教団のボスだと彼は話していた
それを考えれば全ての出来事に納得が出来るのは
確かなのだがシンは一つだけ気になっている事があった
それは彼がララと同じく魔法が使えるのならばどんな魔法を使えるのかというものだった
ララの場合は自分の大きすぎる魔力を放出する為、無意識に予知の魔法を使っていたが
おそらく教団のボスもそう言った魔法を使えるはずなのだがそれが全く分からなかったのだ
(ララと同じように未来をみる力なら俺達の事を捕まえるなんて容易な筈だし・・・
それ以外の魔法だと直接的な戦闘力があるってだけだよな?・・・
本当にそんな事でこんな壮大な計画を考えるなんて出来るのか?)
シンはもしかして何か大事な見落としがあるのではないかと考えているが何も思いつかず
今は明日の魔法使いの墓場に備えて体を休める事にしたのだった
そしてみんなが眠りに入るとララは久しく見ていなかった予知夢を見る事になった
しかしその予知夢は奇妙な事にとある洞窟の天井を見上げているだけだった
目覚めたララも何故これが何を意味しているのか全く分からなかったが
とにかくシン達にこの事を知らせる事にした
「洞窟の天井を見上げている予知夢か・・・天井に何か秘密があるのかもな・・・」
シンは予知夢の話を聞いてこれから向かう洞窟には天井に秘密があるのかも知れないと考えていた
「だとしたらそれはおそらく例の幻聴が幻覚に関係しているはずだ
洞窟の中に入ってから直接、異常が出てからじゃないと対策のしようがないと考えていたが
原因が天井にあると分かればある程度の対策を考える事は出来そうだな」
クロトもこの予知夢のおかげで事前に対策を考える事が出来そうだと褒めていた
「それにしてもよくそれが予知夢だって分かったわよね?それだと普通の夢だと思いそうなのに」
そんな中でヒョウカはどうしてそれが唯の夢ではなく予知夢だと分かったのか尋ねる
「えっと・・・私あんまり夢とかを見ないので・・・
それに予知夢の時は夢が勝手に進んでいくんです・・・起きて欲しくても起きれなくて・・・」
その話を聞いてシンは最初にララの魔法について聞いた事を思い出していた
彼女が自分の父である王様が亡くなる予知夢を見て反乱が起きると予知していた事を
それはつまり彼女は見たくもないはずの父が亡くなる瞬間を強制的に見せられて
それが夢であってほしいと思っても夢から覚める事は出来なかったという事
それほどの苦痛を味わっていたのにそれでも彼女は自分に笑顔を向けてくれていたのだと
シンは改めてララは心の強い少女だと思い同時に必ず守らなければならない存在だと認識する
それは実際に話を聞いてヒョウカも思ったようでララの頭を撫でていた
「えっと・・・あの・・・なんで頭を撫でるんですか?」
しかし当の本人はどうして自分の頭を撫でるのか全く分かっていなかった
「・・・とにかく洞窟に入ったら姫様の予知夢で見て天井を警戒してくれ
それじゃあ外に出てガンジ殿達にお別れを済ませに向かうぞ」
ナオマサ達はガンジ達にお別れを済ませるべく宿屋を後にした
一方その頃、セヤギの城にある一室でフェウは最後の六柱官である老人と話をしていた
「ロシェはラフェル殿が直々に回収してくれた・・・だが姫様の捕獲はまだ我らの仕事
挽回のチャンスを与えてくれていると考えるべきなのか・・・それとも・・・」
フェウは自身の主であるお方が何を考えているのか全く理解できなかった
しかしたとえ何を望んでいたとしても彼のやる事に変わりはない
『まぁあのお方に関しては儂ですら分からない事が多いからのう・・・
それよりも・・・次に来るとすれば儂のところになるじゃろうが・・・
果たして彼奴らはどこから来ると思うかのう?』
老人はシン達が教団の使っているルートをそのまま来るとはとても思えなかったようで
ナオマサの事をよく知っているフェウにどんな場所から来るのかその予想を聞く
「・・・俺も詳しい事は分からないが・・・あまり危険なルートを通る事はないだろう
それこそ・・・あの魔法使いの墓場を通るような事はな・・・」
ララの事を一番と考えているナオマサがそれほどまでに危険なルートを通るとは思えず
フェウとしては魔法使いの墓場だけは絶対にないと考えていた
「いずれにしてもそこへ着く事だけは変わりない・・・十分に警戒しておけ」
『ヒッヒッヒッ!その時は儂の子供達でおもてなしをさせてもらうわい・・・!』
いよいよ最後の国であるメソンゲに向かうシン達
果たして魔法使いの墓場に待つものとは?!