その名は三魔将
今回は戦闘が少しで残りは伏線になりそうです
「あの時に言っただろ?ちゃんと敵は見極めらるようになっておけって・・・
既にあの時から俺はお前達を監視していたってわけだよ」
そう言いながらテムペットは攻撃を受け止めているディパシーに足払いして地面に倒す
「ならどうしてあの時にララを奪い取ろうとしなかった?!教団の狙いはララじゃないのか?!」
確かにシンの言う通りラフェルが教団の仲間だったのならばどうして最初にララを狙わなかったのか
それほどまでの実力差が今の攻防であるとシンは確信したのだ
「あの時はまだお前らがそこまで脅威になるとは思ってなかったからな〜・・・
それに・・・別に教団としてはそこのお姫様だけが狙いってわけじゃない
あくまでも目的の為に必要な人材ってだけだ・・・代わりは他にもあるんだぜ?」
しかしあの時のラフェルは他にも教団からの仕事があったようで
その時のシン達はここまで脅威になるとは思っておらずそちらを優先したらしい
それにララを狙う理由も目的の為に必要なだけであり他にも候補はあるようだ
「その狙いって何なんだ?!あんたほどの人間がここまで色んな国を巻き込んで
一体教団は何がしたいって言うんだよ!!」
シンは己の問いを攻撃に乗せながらテムペットに攻撃するが向こうの方が上手で
簡単に攻撃を受け流されさらにはカウンターとばかりに殴り飛ばされる
「これでもお前らよりも長く生きてるからそう簡単には負けないぜ?
まぁ教団に協力してるのは仕事の関係上ってヤツもあるが・・・
一番の理由はあいつらの目指す世界に興味があるからって言うのが大きいかもな」
ラフェルは簡単に攻撃を受け流しながらどうして自分が教団に協力しているのかを話し始める
どうやら最初はただの仕事して協力していたようなのだが彼らの目的を聞いて
それに興味を示したらしくそれで仲間になる事を決めたそうだが
問題はこんなラフェルが興味を示したほどの教団が目指しているものとは一体何なのかだった
シンはそれを探ろうと必死で考えを巡らせているとテムペットの拳が目の前まで迫っていた
「戦闘の最中は目の前の敵に集中していないと命取りになるぜ?
だがまぁ・・・そんなに教団の目的が気になるのなら少しだけヒントを出してやるよ」
「教団はな・・・戦争が一切ない世界を目指しているのさ・・・!」
「戦争が一切ない世界だと・・・?!この現状を見てよくもそんな事が言えるな・・・!」
クロトが後ろから切り掛かりながらラフェルの言葉に意義を唱える
確かに今の彼らは国を混乱させ人々を苦しめるなど戦争を引き起こす理由を増やしているだけだった
「そうかな?お前達が来なければこのまま永遠にこの国は支配されていたかもしれないぜ?
そして他の国はもちろんの如く教団の物になっていた・・・戦争なんて一切ないだろ?」
それに対してラフェルは攻撃を受け止めながらシン達が来なかった場合の状況を話した
全ての国が教団の物になって仕舞えば確かに戦争など起きる事はないかもしれない
「・・・だが!そんな世界に自由なんてない!ましてや平和なんてもってのほかだ!!」
カライの言う通りそれはあくまでの戦争が起きていないという現状を保つだけであり
力だけの支配では自由なんてないしそれを平和などと言ってはいけない
「ヴァンカンスの王子様の言う通りその現状は確かに戦争がないだけだ
俺達がいなくなれば再び戦争が起こる可能性だって十分にあるだろうさ
だがな・・・もしも教団がそれすらを視野に入れていたとしたらどうだ?」
しかし教団もその事は十分に理解しているようでそれを踏まえた上で
何かしらの計画を立ててそれを実行しようとしているようだ
「・・・!なるほど・・・どうやら教団はとんでもない事を考えているようだな・・・!」
どうやらナオマサはその言葉を聞いて教団の目的について何か分かったようだが
その隙にラフェルはシン達を倒してそのままロシェを回収する
「あんまり喋りすぎると怒られちまうから俺が出すヒントはここまでだ
それに早くこいつを連れて帰らないといけないからな
それじゃあもしもお前らが業火のフェウを倒せたらまた会おうぜ?」
そう言ってラフェルはロシェを連れてそのまま飛び去ってしまった
トゥネやディパシーならば追いかける事は出来るのだろうが
ディパシーは先ほどの時を跳ぶ能力で魔力がほとんど残っておらず
トゥネも戦いでのダメージが残っていたので今は追いかける事が出来なかった
(新しい敵の存在・・・どうやら教団も本格的に動き出してきたという事か・・・)
「申し訳ありませんガンジ殿・・・ロシェを逃してしないました・・・」
ナオマサ達はダモンの民達と一緒にいたガンジに合流しロシェを逃してしまった事を告げた
しかしガンジはあまりロシェを逃してしまった事実を気にしてはいないようだ
「儂としてはお前達が無事なだけで十分だ・・・それにあの愚かな孫もいずれ気づくだろうさ
自分が単純に利用されているだけなのだとな・・・それよりもお前さんらには感謝しないとな
ダモンを救ってもらって本当にありがとう・・・!」
ガンジが頭を下げるとその後ろにいた人達もナオマサ達に頭を下げる
「頭を上げてください・・・私達はただ教団の野望を食い止める為に戦っただけです
それに・・・彼らの狙いも少しではありますが分かってきましたから」
先ほどのラフェルの話を聞いてナオマサはようやく教団の狙いが分かってきた
と言うよりもこれまでの事と繋がってきたという方が正しいだろう
(それを確認する為にはダモンに戻って教団の研究していた物を調べないとな)
ナオマサ達はシン達を休ませると言う意味もあり一度、ダモンに戻っていく
そしてシン達の面倒をララ達に任せてナオマサとガンジは教団の研究資料を見ていく
「やはり重要そうな物は全て持ち去られているか・・・流石に手が早いな・・・
だが・・・これほどまでの膨大な研究をしていたとは・・・」
ラフェルが現れた時点で重要な資料が残されているとは思っていなかったナオマサだが
それを抜きにしたとしても教団は膨大な量の研究をしていたようだ
その中にはもちろんこれまで現れた装甲列車や天候変動装置
そして改造巨人の研究資料が残されており改めて教団の技術力の凄さを知る
(しかし手掛かりがないのではやはり私の考えは仮説にすらならないな・・・
まぁ私ですら信用できないような夢物語だ・・・そんな証拠を残すわけもないか)
諦めて証拠を探すのはやめようと思っていると後ろの方で音が聞こえて振り返ると
そこではガンジが床の装置を動かしたようで突如、隠し通路が現れた
「もしかしてとは思ったが・・・あの馬鹿め・・・こんな所だけは似てしまったか」
どうやらそこまでロシェの研究室だったようでナオマサ達は地下へと降りていく
「これは・・・まさか地下にこれほどまでの施設が残っているとは・・・!!」
地下の施設は上の研究室よりもかなり広くて充実しており
これを見てロシェがどれほど人を信用していなかったのか理解出来た
しかし今はそんな事を考えている場合ではなく何か資料が残されていないかを探す
ロシェの研究室には先ほど上で見たような研究資料の原版が残されており
おそらくは持ち去れた資料も残されていたのだがそこには信じられないような物も書かれていた
その中でナオマサはようやく自分の考えを仮説に変える資料を見つけてしまった
「・・・まさか本当に見つけるとは・・・どうやら私は教団の事をまだ分かっていなかったようだ」
ナオマサはこれまで幾度となく教団の片鱗を見てきたつもりだったが
どうやらそれは本当にごく一部の物でしかなかったようだ
それほどまでにナオマサが見つけた研究資料は常軌を逸した物らしい
「・・・こんな計画に彼奴が加担しているとはな・・・もはやこれは錬金術師の本分ではない
いや・・・それこそ人が考えられるものではない・・・これは・・・神か悪魔の考えだ・・・!」
同じく研究資料を見たガンジもこれは神か悪魔の考えた物だと恐怖で震える
そしてそれに自分の孫が加担しているのだと頭を抱え込んだ
「・・・とにかくこれは姫様達には見せますが他の者には教えない方がいいでしょう
こんな事が公になれば教団への恐怖を大きくするだけですから」
ナオマサはこれをみんなに話すのは止める事にした
もしもそんな事をしてしまえば教団への恐怖を煽る事になるからだ
「そうだな・・・だがいずれは話さなくてはならない・・・国同士を纏める為にもな」
確かにガンジの言う通り教団は全ての国において脅威となり得る存在だ
それを協力して倒す事になった時はこの事実を話さなくてはいけないだろう
しかしそれまではたとえどんな事があっても伏せておかなくてはならない
そう・・・たとえ彼らが本格的に動き出したとしてもだ・・・
(それにしてもこれほどまでの事を考えるとは・・・教団の長は一体何者なんだ・・・?
いずれにしても只者ではないのは確かだ・・・本当に人間なのか・・・?)
一方その頃、ラフェルはロシェを連れて教団の本部に戻ってきていた
「依頼通りにロシェの野郎は救出したぜ?これで計画に遅れは出ないよな?」
ラフェルは奥にいる玉座に座っている男に対してそう告げる
するとその隣にいた女性がラフェルに対して怒りの視線を向ける
「ラフェル・・・我らが王に対してその言い草はなんですか・・・!
それにたとえ遅れが出なくてもララ姫がいなければ計画を実行出来ないのですよ?!」
どうやら女性はロシェを取り戻した時にララも連れてこればよかったのだと怒っているようだ
「そんなこと言われてもよ〜あいつ連れて帰ってくるので精一杯だったし
それに例の物ができる前に連れてきても意味なんてないだろ?」
しかしそれに対してラフェルはまるで自分はちゃんと仕事をしたと言わんばかりに否定する
それを聞いて再び女性は怒ろうとしたが玉座に座る男に止められる
「確かにお前の言う通りララ姫を連れてくるのは六柱官の仕事だ・・・
残された二人に期待しようではないか・・・だがもしも彼らが破れるような事があれば・・・」
「ええ・・・その時は俺達三魔将が必ずララ姫を連れてきますよ・・・我らの悲願の為に・・・」
ようやく教団の目的がわかったナオマサ
しかしそれは人の想像を超えるほど常軌を逸したものだった!