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初の巨人戦闘

初めての戦闘です!

盗賊団の頭が巨人に乗り込んだのを確認したシンは急いで洞窟の出口へと向かう

(さすがにここで暴れられて崩れるような事があったらまずいからな

 それにこんなに狭い場所だと俺のディパシーはすぐにやられる)

今回も目的は盗賊の退治と捕まっている錬金術士の救出なので

この洞窟が壊れるような事があれば錬金術士が助からない

おまけに狭い場所の戦闘は巨人の扱いに慣れていないシンには不利だった

「はっはっはっ!やはり巨人の前にはどんな者であろうと逃げるしかないか!!」

しかしその考えに相手は気付いていないようでこれに関しては助かったと思っていた

「外に出た!来い!ディパシー!!」

そして外に出てすぐにシンはディパシーの名前を叫ぶと彼の後ろに魔法陣が展開され

そこからディパシーがゆっくりと出てきてシンがそのまま乗り込む

「何っ?!お前も巨人を持っていやがったのか!!」

まさかシンが巨人を所持しているとは思っていなかったようで盗賊団の頭は驚きを隠せなかった

向こうに完全な虚をつけた事でシンは自分が有利になったと思っていたが

それでもまだ覆せない事実が残されていた

それは他でもない戦う武器がないのにどうやって戦えばいいのかだった

(向こうは斧の二刀流か・・・どちから片方でも奪えればいいんだけど・・・)

無い物を強請っても仕方ないのでシンは相手の持っている武器を奪えないかと考える

しかしそんな芸当が出来るのは力の差が低い相手と戦う時ぐらいだろう

おまけに今回に関しては巨人で初の戦闘を行うシンの方が圧倒的に弱い

つまり本来ならば武器を奪われる側なのはシンという事である

(そんな俺が向こうの武器を奪うなんて言ってられないか・・・

 ならやっぱり武器を使わないでどうにかするしかないな・・・!)

武器を取る事が困難だと考えたシンは武器を使わないで相手を倒す事を考える

(その為にはまず開けた場所は不利だ・・・森の中に逃げよう!)

そして今のように開けた場所で戦うのは得策ではないと思い森の中へと逃げていく



「貴様!巨人を使っている癖に逃げるなんて腰抜けもいいところだぞ?!」

確かに盗賊団の頭の言う通り同じ条件で戦っているのに逃げるのは弱虫みたいに見えるだろう

しかし実際は同じ条件ではないのでそれなりに工夫するのが当たり前というものだ

(とはいえこの森の木々はそこまで大きくないから姿を全部隠せるわけでもない

 どうにかして隙を作らないと・・・!)

シンはディパシーの凄まじい速度で森を移動し相手の隙を伺う

しかし実際はそんな隙を探さなくてもディパシーは相手を翻弄していた

(あの巨人なんてスピードだよ?!どう考えても下級の巨人じゃねぇだろ?!!)

実はディパシーは他の巨人と比べてもそのスピードが圧倒的に早いのである

それこそ今戦っている巨人と比べるのならばおよそ5倍は違うと言っていいだろう

だからこそシンは不安に感じていたのだ

どうして攻めてこようとしないのか

しかしそれは攻めてこないのではなく攻められないのが正しかった

基本的に巨人は魔法石に込められている魔法以外使う事は出来ず

そして相手が使っている火の巨人は火の魔法の内、攻撃力を上げる魔法しか使えない

つまり当たらない相手にいくら攻撃力を上げようと無意味だという事だ

だからこそ向こうは攻撃できないしなんだったら容易に近づく事すら出来ないのだ

(だが見たところ向こうも武器は持ってねぇみてぇだし

 近づいてくるのも待ってそこをカウンターで一気に倒してやる・・・!)

近づく事が出来ないのであれば向こうから近づいてくるのを待てばいいと

盗賊団の頭は考えそのまま武器を構えて立ち止まってしまった

これにはさすがのシンも予想外だったようで

ここからどう攻めていけばいいのか分からなくなってしまう

(・・・いや・・・むしろ止まってくれたのなら一気に突っ込んでいくしかない・・・!)

武装も何もないディパシーが勝つにはもはや特攻する以外の選択肢はなかった

覚悟を決めたシンはそのまま凄まじい速度で相手に突っ込んでいく



「っ!バカが!狙い通りに突っ込んできたぜ!!」

それを見て盗賊団の頭はまさしく狙い通りとばかりに叫んで斧を振り下ろそうとしたが

彼はわかっていなかった・・・ディパシーの本当の速度を・・・

全力で突っ込んでくるディパシーの背中からスラスターが展開され

それが起動すると同時にその速度は先ほどとは比べもにならないほど上がった

「がっ?!武器を振り下ろす腕より早いだと?!」

その速度は向こうの振り下ろす腕よりも遥かに早く胴体を捉えて

そのまま森を抜けていき岩壁に激突し思い切り倒れる

「ぐっ?!まさかこの俺が追い詰められているというのか・・・!

 だが・・・まだ負けたわけじゃねぇ・・・!」

そう・・・盗賊団の頭の言う通りこれで負けたわけではない

これはあくまでもダメージを与えただけで致命傷になっているわけではない

本来ならば武器を持ってここで追撃するのが

普通なのだが今のディパシーにそれはできない

結果としてまだ向こうの巨人はまだ動ける状態にあるという事だ

「やっぱり壁にぶつけたくらいじゃそこまでダメージはないか・・・!

 やっぱり武器になるものでもあればいいんだけど・・・」

そしてそれは攻撃を加えたシンも理解しておりどうにか別の攻撃方法がないかと考える

しかしここにある全てのものは巨人に対して明確なダメージを与えられるほどではない

そんな時にシンは過去に祖父との修行で教えられた事を思い出していた

「そういえば昔、爺ちゃんから武器を持ってない時の戦い方も教えられたな

 ・・・もしかして巨人同士の戦闘でも同じ事が出来るのか?」

彼の祖父であるリンジュはこんな事もあろうかと素手による戦闘も教え込んでいた

しかし問題はそれが巨人との戦闘でも役に立つのかと言う事だった

「・・・考えても仕方ない・・・!爺ちゃんの教えを信じるぜ・・・!」

敵を目の前にしてそんなに事に悩んでいる暇はなくシンは祖父の教えを信じる事にした



「どうやら向こうを腹を括ったみたいだな・・・来やがれ!」

先ほどと同じように自分から攻めたら負けだとわかっている盗賊団の頭

そこに同じく先ほどのように突っ込んでいくディパシー

「一回目と違って今度はもう見切ってんだよ!!」

しかし先ほどと違う点は敵の腕を振り下ろす瞬間が早いと言う事だった

これは間違いなくディパシーに当たると思われたがなんと彼はその腕を掴んで

「なにっ?!ゴァ?!!」

さらには投げ飛ばしそこからさらに倒れている巨人の腕を拘束する

拘束された腕からは金属の軋む音が聞こえてきてそこから間もなく折れてしまう

「ぐっ!片腕を破壊された・・・!やってくれたなテメェ!!」

盗賊団の頭は巨人の腕をやられた事に対して怒りを露わにしていたが

肝心のシンはそんな事は知らずむしろ別の事に対して驚いている様子だった

「・・・まさか折れるとは思ってなかった・・・」

実というとシンの狙いとしては拘束技を決めて力が緩んできたら武器を奪うつもりだったのだが

まさか武器どころか腕そのものを奪う事になるとは思っておらず

改めて巨人の力がいかにすごいのかと言う事を実感していた

「何にしてもこれで武器は奪えた・・・!あとはあいつを無力化するだけだ・・・!」

しかしこれで破壊された腕が持っていた斧は奪えたので戦況は五分と五分

いや・・・五体満足な分こちらが有利といえるだろう

お互いに睨み合いそして交差は一瞬

落とされたのは・・・敵の残されていた方の腕だった

「・・・ふぅ・・・何とか勝てた・・・って逃げてるし?!」

落ちた腕を見てシンは何とか勝てたと思っていると盗賊団の頭は巨人を捨てて逃げていた

「ちくしょう!あんな怪物みたいな巨人がいるなんて聞いてねぇぞ!

 とにかくここは逃げるしかねぇ!」

盗賊団の頭はディパシーの存在に恐怖しており一目散に逃げていたのだが



「そんな簡単に逃がすわけないだろ」



「がっ?!」

逃げた先に潜伏していたナオマサがそのまま盗賊団の頭を気絶させた

「それにしてもあの戦い方・・・どこかで・・・」

そしてナオマサはディパシーの方を見ながら先ほどの戦いに懐かしさを感じるのだった

その後、ララが錬金術士を助け出し一行は再びモミへと帰ってきた

「いやぁ〜本当にありがとう!あのままだったら間違いなく僕は犯罪の片棒を担がされたいたよ」

錬金術士は再度、三人に対してお礼を述べる

しかし彼らからしてみても賞金を目当てにしていたのもあるのであまり誇れる事ではなかった

「そういえば君の巨人なんだけど・・・もしかして武装がないのかい?」

錬金術士は先ほどの戦闘でディパシーに専用の武器がない事に気がついていた

「はい・・・実は完成したのは最近で・・・これを作った人はもう・・・」

シンの言葉を聞いて錬金術士は惜しい人を亡くしたと口にする

それほどまでにこのディパシーと言う巨人は優れているのだとわかったからだ

そしてこれほどまでの巨人を作り出すのにどれほどの努力があったのかも理解していた

「・・・ねぇ・・・お礼というわけじゃないんだけど・・・うちにある武器を使わないかい?」

すると錬金術士はディパシーの武器に自分の店のを使って欲しいと告げる

そして三人を倉庫の前へと連れてきてその中に入っているものを見せる

「これは・・・ランスと・・・剣?」

そこにあったのは何故か一対になっているランスと剣だった

「これはとある二人の巨人乗りに渡すはずだった武器なんだ・・・

 なんでも彼らは初めて巨人に乗ったって話していてね・・・

 それでお揃いの武器を用意したんだけど・・・二人とも魔物にやられてしまってね・・・

 だから君にこの武器を使って欲しいんだ!彼らと同じ初めて巨人に乗る君にね・・・!」

錬金術士の話を聞いてシンは正直これを受け取るべきかどうか悩んでしまう

亡くなった二人の意思を引き継ぐというのならば聞こえはいいが

実際にはその二人にあった事はなくどんな人物だったのかも知らない



(・・・そんな俺がこれを受け取っていいのか?)



「・・・もしも彼らの事を考えているのならばこれを使って少しでも多くの人を救ってくれ

 それが見た事もない彼らが願っていた事だと僕は思っている」



「・・・わかりました・・・ありがたく使わせてもらいます・・・!」

ようやくディパシーの武器を手に入れた一行は再び北を目指す!

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