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反撃の狼煙

女王の洗脳についてを知りいよいよ反乱軍が動きだす!

しばらくしてようやくクロトが動けるようになりシン達は急いでタルヒ砦に戻った

そしてクロトが手に入れた魔道具の設計図と自分達の考えをみんなに共有した

「使い続けるではなく一回で洗脳状態にする魔道具・・・

 やはり教団はそんなものまで使っていたか・・・!」

ナオマサはまさか自分の予想通りだとは思っていなかったようでさすがに取り乱していた

「問題はそれを解く方法ですな・・・いくら姫様の呼びかけが必要だったとしても

 おそらくは帝国兵や教団の兵士もいるでしょうから近づくのは困難でしょう」

確かに将軍の言う通り問題なのはどうやってヒョウカと女王を会わせるかだった

おそらく女王に会うのは生半可な事では成し遂げる事は出来ないだろう

しかも数秒だけ会わせるのではなく洗脳が解けるまでとなればかなりの時間が必要になる

それまでの時間を稼ぐ事はできないしそもそもそんな戦力が存在しない

「残された方法は女王を城から連れ出すしかないが・・・それも不可能だろうな」

もう一つの方法としては女王を誘拐する事も出来るのだが

それだとこちらの大義名分が無くなってしまうし警備が厳重過ぎて

侵入すら困難なのにそこから女王を連れ出すなど夢のまた夢だろう

「・・・だったら女王自ら外に出てもらえばいいんじゃないか?」

するとシンは女王を自分達で連れ出すのではなく自分から出てきてもらえばいいと告げる

「どういう事だ?確かにそれが一番いい作戦ではあるが洗脳されていてはそれも無理だが?」

確かにナオマサのいう通り操られている女王を何かでおびき寄せる事など不可能だろう

しかし操っている張本人ならば話は別のはずだとシンは考えていた

「この魔道具を使った教団の男は思った以上にずる賢い性格をしているはずだ

 だったらその性格を逆に利用すれば女王を城から出せる・・・そうじゃないか?」

そう言ってシンはララの方を見つめナオマサは何を考えているのか理解した

「なるほどな・・・以前に姫様が提案された囮作戦か・・・確かにそれならば

 女王を連れてくる可能性は高い・・・いや・・・むしろ確実だろう・・・」

シンの考えている事は分かったがこの作戦を実行するには問題がまだあった



「だが・・・前にも話したようにもしも姫様が囮になれば奴らは全戦力を持ってくるはずだ

 そうなれば囮どころの騒ぎではなくなり姫様も確実に連れ去られる」

そう・・・その問題とは反乱軍と帝国軍の戦力差だった

向こうが全戦力を投入してくれば間違いなく軍配は向こうに上がってしまう

そうなれば囮作戦は確実に失敗しララも誘拐される事になるだろう

「俺もそれは分かってるさ・・・

 だからここからはその戦力差を埋めるように動けばいいんだ」

シンがそう言うとクロトがとある地図を広げる

そこには印のようなものがいくつも付けられていた

「これは・・・もしかして砦や基地のある場所に印を?」

将軍はすぐにその印のある場所がフェルミの砦や軍事基地を示しているのだとすぐに分かった

「ああ・・・確かに帝都にいる兵士達はすでに教団の手の中にあるが

 砦や軍事基地にいる人間は女王に忠義を尽くしているだけでどちらにも傾いてはいない

 だからこそヒョウカの名を使ってこの砦や基地に騒動の原因を書いて送り仲間に引き込む」

確かにそれが成功すれば戦力の差を埋める事はできるだろうが

問題はそんなにうまくいくかどうかだった

彼らとて帝国に仕える人間でありそう簡単に女王を裏切れるわけがない

しかしクロトは逆にそこにこそ彼らがこちらに付く可能性があると考えていた

「今回の騒動が教団という組織の仕業だとすれば今の女王はその悪人に囚われている状況だ

 ならばそれを救い出す事こそが帝国を助ける事に繋がると彼らに言い聞かせれば・・・」

将軍も確かにそれならば彼らを味方にする可能性は十分に上がると思っていた

しかしこの作戦も確実というわけではなく先ほど以上の問題も一つだけあった

「問題はこれにいつまで時間を使わせてもらえるか・・・

 おそらく俺達がすでに女王を洗脳した魔道具の事を知ったと向こうも気づいているはず

 ならいつ次の行動を起こしたとしても不思議じゃない・・・!」

クロトの言葉を聞いて将軍達はすぐに文書を用意し使者を各砦や基地に派遣した



「さて・・・残されたのはお前だな」

みんなが動き始めるとクロトは最後にヒョウカの方を見ていた

「もしもこの作戦がうまく言えば巨人での戦闘は避けられないだろう

 ここにいる二人は問題ないとして・・・お前は操った事はあるのか?」

どうやらクロトは巨人での戦闘も視野に入れているようで

ヒョウカが自分の巨人を持っていると話を聞いてどれほど扱えるのかを確認する

「・・・起動する時に一度だけ・・・それ以外では乗っていません・・・」

ヒョウカは申し訳さなそうに事実を告げるがクロトはそれを責めようとは思わなかった

教団という組織さえいなければそもそもこんな事にはならなかっただろうし

彼女は一国の姫なのだからそもそも巨人に乗って戦う事などほとんどないだろう

(しかし今回ばかりは巨人での戦いは間違いなくある・・・特に教団の男との戦いだ)

教団の男は間違いなく六柱官であり巨人乗りである事はクロトも予想しており

それならば巨人での戦闘も必ずあるはずだと考えているからこそ先ほどの問いだった

「わかった・・・それなら俺が巨人での戦い方を教える」

そしてクロトはその為に自分がヒョウカに巨人での戦い方を指導すると告げる

「確かにそれがいいだろうな・・・俺もシンも巨人に乗って日が浅いしな」

カライの言う通り実際にこの中で一番長く巨人に乗って戦ってきたのはクロトであり

彼の方が自分達よりも教えるのはうまいだろうと二人は肯定していた

「でも模擬戦の相手くらいはなるからその時は呼んでくれよな!」

しかしそれでも力にはちゃんとなれるとシンは告げてクロトとヒョウカは訓練場に向かった

その道中で終始ヒョウカは険しい表情を浮かべていた

「・・・そんなに心配か?女王を助けられるかどうか」

クロトは女王を助けるのに心配しているのかと思ったがヒョウカは首を振って否定した

「・・・私達はこの戦いで平穏に暮らしていたはずの人達を巻き込んでしまった・・・

 そして今もその戦火を広げて被害を大きくしようとしている・・・

 私は望んでしましたが母様はそうではありません・・・」



「・・・・・」

その言葉を聞いただけでクロトはヒョウカが何を心配しているのか痛いほどわかった

彼女は女王が正気に戻った時に自分自身を責めるのではないかと恐れているのだ

いくら教団の所為だとは言っても操られたのは自分の失態でもある

そしてその戦火がどれほどのものになるかは分からないがおそらく軽くはないだろう

そうなれば心優しい女王は間違いなく自分の所為だと責任を感じてしまう

それも深く重く彼女の心に残るのは間違いない

「・・・大丈夫だ・・・この国の人間は誰も女王の所為だとは思わない・・・

 現にあの村の人達は女王の事を責める事なんて一切しなかった・・・

 それでも女王が思いつめていたら・・・その時はお前や家臣達で支えてやれ」

むしろクロトからして見ればまだ女王は救われるべき人間だと思っていた

自分と違い家族があり国がまだあるのだから

そして何よりもクロトが自分と女王を重ねているのは大切な人を亡くしたという点だ

しかし自分は全て無くしてしまったがまだ女王には残されたものがある

クロトはそれに気がついて欲しかったのだ

「とにかく女王が正気に戻った後の事は作戦が成功してからでいい

 お前は女王と助ける事と自分が生き残る事だけを考えろ・・・いいな?」

その為にはまず自分が生き残りそして女王も助けなくてはいけないとクロトは告げ

ヒョウカに厳しい修行をつける事を約束した

一方その頃、シン達は先ほどの囮作戦について考えていく事にした

「確かにクロトのいう通りに行動すれば戦力はどうにかなるだろう

 だがそれでも姫様が攫われる可能性は十分にあり得る・・・

 やはり考え直すつもりはありませんか?」

ナオマサはやはり危険だとララに告げるがどうやらそのつもりはないようだ

「この作戦以外に女王を城から出す方法もないですし唯一のチャンスなんです!

 だからお願いです・・・どうか私のわがままを聞いてください・・・!」



(姫様がここまでの覚悟を決めているとは・・・もはや私の言う事はないか・・・)

ララの覚悟を知ったナオマサはもう自分には彼女を止められないと思った

しかしそれはララの成長でもありとても喜ばしいものでもあった

「大丈夫だよナオマサ!いざとなれば俺やカライがいるんだからさ!」

確かにシンの言う通り今は自分だけではなくシンやカライもいる

二人とも頼もしく成長してきており何の心配も必要ないとナオマサは改めて思った

「・・・分かりました・・・もはや考え直せとは言いません・・・

 その代わり全力であなたを守る事をここに誓わせていただきます・・・!」

ナオマサは本来の自分の役目通りに姫様を支え守る事を改めてここに誓った

「それにしても・・・一体どれだけの人が動いてくれるんだろうな?」

するとテンテコがあの手紙だけでどれだけの仲間が増えるのか不安に思っていた

「確かに・・・魔道具の設計図の写しを同封したと言っても使われたかどうか分かんないし

 俺達のデマカセと疑われる可能性も十分にあるからな〜・・・」

カライの言う通り女王が操られているという証拠を文面だけで提示するのは不可能

つまり結局はどれだけの人が信じてくれるかにこの作戦は掛かっているのに

その信用させるだけのものがなさすぎるのだ

「だが・・・こっちにはヒョウカ様という切り札もある

 そう言った意味では向こうと信憑性に関してが互角のはずだ

 あとは女王が操られているという噂がどれほど広まっているかだな・・・」

いくら信憑性のない噂でも広ければ広く伝わっているほど人は信用してしまう

だからこそ噂の大きさ次第ではこちらに人が傾く可能性は十分にあった

「それなら任せろ!俺達が反乱軍の奴らと一緒に色んな場所で噂してくるぜ!」

ようやく本格的に女王を助ける為に動きだす反乱軍

そんな中でシン達は最後の一押しをする事になった

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