城へと潜入
今回はお城に潜入するよ!
やはり全く装置らしいものは見つからず夜を明けてきたので
みんなは一度、例のアジトに戻る事にした
「やっぱりこんな人数じゃ探すのに時間が掛かりそうだな・・・どうする?」
アジトに戻ってきたカライは予想通りの結果に今後の予定を尋ねる
これを同じように続けていたとしても時間が掛かり過ぎる
「そうだな・・・もっと具体的に場所を絞る方法があればいいんだが・・・
この街に詳しい人間が探してもそれが分からないのだから
私達が見つけるなどまさに雲を掴むような話というところか・・・」
ナオマサもどうにかいい方法がないか考えてはいたが土地勘が足りなさすぎた
かといってキタン達のようん土地勘があっても見つける事が出来なかったという事は
おそらく別の何か特殊な方法で装置を隠したという事で間違いないだろう
「・・・それなんだけどさ・・・俺の考えを言ってもいいか?」
すると先ほどシンは隠し場所について少し思いついた事がありそれを話してみた
「実はさ・・・ナオマサと同じように隠された場所を探してた時に思ったんだけど
もしかして俺達は勘違いをしてるんじゃないのかって・・・」
シンは先ほど考えていた街のどこかに隠したのではなく
そもそも人目に付かないような場所に作られたのではないかと考えていた
「・・・!まさか・・・装置のある場所とは・・・?!」
それを聞いてどうやらナオマサも理解してしまったようで目を見開き驚いていた
「ああ・・・この海上都市コリーという条件を最大限に活かした場所・・・
それはおそらく・・・この都市の下・・・海底だ・・・!」
そう・・・シンが考えていた装置のある場所とは人の目が絶対に届かない海底だった
確かにそれならば絶対に人が来ることはないし彼らの技術力ならば
海底に荷物を送る事など訳もないだろう
「しかし・・・もしもそれが本当ならばかなり厄介だぞ?
私達は海底に行く方法など持ってはいないんだぞ?どうやって確かめれば・・・」
「それなら俺達の船で連れて行ってやるぜ!我らがユートピア号は海底もいけるからな!
問題は海底じゃ火器が使えないから見つけたとしても壊す事は・・・」
どうやらツガルの船ならば海底に行く事も出来るらしいのだが
海底では火器が使えないので装置を見つけても破壊する事が不可能だという事
しかも海底では生身で外に出れてしまえば水圧でまともに動けないし
下手をすれば潰れて死ぬ可能性もあり得る
「俺のトゥネで海底に出て装置を直接墓石に行くしかないか・・・
でも・・・水中じゃ自由に動く事は出来ないからな・・・」
カライの巨人が使えばおそらく海底でも潰れる事なく行動出来るが
水中戦仕様になっていないトゥネは海底を自由には動けない
つまりは船でギリギリまで近づいてトゥネの一撃で装置を破壊するしかないのだ
「まさしく一か八かの作戦になりそうだな・・・
とりあえずどうやってトゥネを運ぶかを考えないと・・・」
トゥネを運ぶとしてもツガルの船に巨人を入れるだけのスペースはない
そうなると甲板に縛り付けて運ぶしかないのだが動けないくらいに縛っては意味がない
「やっぱりどうにかして船を改造するしかないか・・・
どっちにしてもまずはあいつらをここに呼ばないといけないしな・・・
その為には船を止める為の波止場を抑える必要があるが・・・」
おそらくそこには兵士がたくさんいると考えるべきだろう
おまけにそこを襲撃すれば絶対に執政官にバレてしまう
そうなってしまえばこれからの作戦だって実行できなくなる可能性も高い
「どうにかバレないように波止場を抑えたいが・・・何かいい方法はないか?」
ツガルは波止場を静かに抑えてそこを使えるようにする方法はないかと問うが
現状ではそれに対して満足のいく答えなど誰も持ってはいない
(いや・・・波止場を抑えるのならばそこまでの人数はいらない・・・
運営に関してはキタン殿に任せれば何とかなるか?)
「となると・・・次は王様が城のどこに囚われているのか・・・か・・・」
残された問題は王様の居場所がどこかという事だった
装置の破壊と王の救出を同時に行うのなら王の居場所を調べなくてはいけない
「やっぱり潜入しないとダメなんだろうけど・・・難しいよな〜・・・」
間違いなく城の警備は恐ろしいほど厳重になっているになっているはず
そこに潜入するとなればどれほど難しいか考えなくてもわかってしまう事だった
「もちろんテンテコとマイマイは行くとして・・・同行者は誰にするんだ?」
鍵を外す事が出来るテンテコとマイマイは潜入組で問題はその同行者
「それなんだが・・・シン・・・今回はお前一人に任せようと思う」
ナオマサはその同行者をシン一人だけに任せる事にした
その理由は人数を多くすればバレる可能性があるという事と
救出する時にも潜入してもらわなくてはいけないからだ
「マジか・・・確かに前は城に入った事はあるけどさ・・・今回とじゃ事情が違うし
何よりバレちゃいけないんだったらめちゃくちゃ厳しいんだけど・・・」
これにはさすがのシンも無理かもしれないと不安に思っているようだが
今のうちに城の内部を把握していた方が救出の時にうまくいく可能性が高いのも事実
「任せとけって!俺達がちゃんと先導してやるかよ!」
そんなシンの不安を感じてなのかテンテコが自分が先導すると胸を張っており
それを聞いてしまったシンは年下に慰められて何だが情けなく思っていた
「がっ頑張りましょうね?」
そして最後のマイマイの言葉が止めとなりシンは膝から崩れ落ちて泣きそうになった
「・・・何か・・・敵からのダメージより身内のダメージが一番効いてないか?」
その様子を見てカライはいつも以上にダメージを受けていると言い
ララも苦笑いするしかなかった
「・・・本当にこいつらで大丈夫なのか?やはり俺も一緒に行った方が・・・」
キタンもさすがにこれでは不安が大きいようで城に詳しい自分が行くべきだと告げるが
「大丈夫だよキタンのおっさん・・・!あいつは必ず何とかしてみせるさ・・・!」
それから夜になるとシンは二人に先導されながら城へと向かった
「やっぱり正面は兵士に固められてとてもじゃないけど入れないな・・・
どこか別のルートで入るべきだけど・・・どこから・・・」
正面から入る事が出来ないと知ったシンはどこから入ろうか悩んでいると
「そっそれなら向こうにちょうどよく入れそうな窓を見つけたよ?」
マイマイがすぐに入れそうな窓を見つけてくれたそうで静かにそこまで向かうと
そこには大人でも入れそうなくらいの大きな窓が二階に見えた
「とりあえずあそこまで登って入れそうか見るか・・・」
シンは自分の剣とロープを使って壁を登っていき窓に接近する
「・・・ダメだな・・・鍵が掛かっていて入れそうにない」
しかし窓に登ってみると外からでも鍵が掛かっている事が分かった
ここから入るには破壊するしかないのだがそれでは確実に侵入がバレてしまう
「それなら俺に任せろ!こういった鍵を開けるのか得意なんだ!」
するとテンテコが紙のような何かを取り出すとそれを窓の隙間から入れる
しかし窓の隙間に入るくらいなのだからとてもそれで鍵を開けるなど無理だと思っていると
急にその紙がまるで鉄のように硬くなりそれを使ってテンテコは鍵を開けた
「マジか・・・もしかしてそれも魔道具なのか?」
シンは先ほどテンテコが使った紙はもしかして魔道具なのかと尋ねる
「いや?こいつはとある木の葉っぱを使った紙で普段はただの紙と変わらないけど
とある振動を加えると数秒だけ鉄と同じ硬さになるんだ!」
どうやらその道具はテンテコが昔見つけた木の葉から作られたそうで
魔道具の一種ではないがそれなりに特別な道具には違いないみたいだ
「とにかくこれで中に入れたな・・・それじゃあ早速王様を探したいけど・・・
そもそもどこに捕まっているのか分からないのに手当たり次第に探してもな・・・」
シンの言う通りここを全て探すとなると時間が掛かるし何よりもバレる可能性が高くなる
となると残された手段はどこかに隠れて兵士達の話を聞き王様の居場所を特定する事だった
「・・・で?何で隠れるのが床下なんだよ・・・さすがに寒い・・・」
海上都市というだけあって夜になると
かなり冷え込み床下などは真冬と変わらない温度だった
「しょうがないだろ?天井に隠れようとしたけど届かなかったし
壁とかだと移動しながら話を聞くなんて出来ないから床下しかなかったんだよ!」
しかしこれは全ての条件を妥協して選んだ場所なので文句を言う筋合いはない
そんな話をしていると上から足音が聞こえてきて兵士が歩いてきた事が分かった
シン達は静かにその後を追いかけながら王がどこに囚われているのか聞き耳を立てる
「そういえばあの王様・・・トルビリオン様はいつまで生かしておくつもりなんだ?」
兵士は都合よく王の話をしておりそして例の執政官の話までしていた
「いつまでも何も・・・今の王は毒でまともに体を動かす事すら出来ないからな
もしもあの首輪を壊された時に人質にする為の保険にとっておくに決まってるだろ
まぁ?奴らがあの装置がある場所に辿り着ければの話だがな?」
兵士達からしてみても装置が破壊されるなど夢のまた夢のような事なのだろう
だが逆を言えば今の彼らはそれほどまでに油断しているという事
この作戦がバレさえしなければ間違いなく彼らの裏をかける証明でもあった
「そっすね・・・でも俺だってあの王様の世話をしなくちゃいけないから面倒なんですよ
どうせならもう王の私室から動かして俺らの兵舎に移動させたらどうです?
そうすれば世話だって簡単だし見張りだって楽なのに」
どうやら彼らの話を聞く限り王がいるのはなんと彼自身の私室だった
予想外の居場所を聞いて驚いていると話の続きが聞こえてきた
「トルビリオン様が言うにはもしもこの城に誰かが入ってきた時に
まさか私室にはいないという心理をついているらしい
まぁこの城に入り込むような暇など今の人々にはないと思うがな?」
兵士達はそんな風に街の人々の事を嘲笑いながらどこかの部屋へと入っていった
「・・・目的の部屋も分かったし・・・今日はこの辺で帰ろう・・・」
装置の場所と王様の居場所を知ったシン達は
船を止める為の波止場を奪還しに向かう!