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荒れる海

今回は船旅がメインです

翌日になりシン達は急いでツガル達の待っている波止場に向かうと

そこにはなんと漁師の船すら霞んでしまうほどの巨大な船が止まっていた

「どうだ!これが俺達の船!その名もユートピア号だ!!」

ツガルはその船を自慢するかのように大手をあげてシン達にそれを見せつける

「確かにすごいな・・・これならば本当に世界中を回れるんじゃないか?」

カライはその巨大な船を見て前に

ツガルが話していた世界中の海を回るのも夢じゃないと思っていた

「まぁな!実際その夢の為に無理を言って作ってもらった船だからな

 そして・・・あいつと作り上げた最高の船だよ・・・!」

どうやらこの船はツガルにとってはとても思い入れがある船のようで

それを思い出すような寂しい目で船の事を見ていた

「しかし本当にこの船で例の海流を超えて海底洞窟に迎えるのか?」

ナオマサは本当に船が海底洞窟に迎えるかどうか不安に思っていた

「安心しろって!昨日も言ったがこの海底洞窟には行った事があるんだ!

 それよりも・・・お前達の方こそ大丈夫なのか?強力な魔物の対処」

ツガルはその心配は絶対にないと自信満々で話しており

むしろこちらの問題である魔物の対処の方を心配していた

「昨日の時点ですでに対策は考えてきたが・・・ぶっつけ本番だからな・・・

 まさしく天に任せるしかないといったところだ・・・」

ナオマサも一応は考えてきたがそれでもうまくいくかどうかの保証はなく

運に任せるしかないというような状況だという事を告げる

「だろうな・・・だが俺達を助けてくれたあんたらならうまくいくだろ!

 だから・・・頼む・・・!どうか俺もその首都に行くのに同行させてくれ!」

ツガルはどうやら首都に入る事に同行したかったようで土下座をしてまでお願いしてきた

「・・・もしかしてその理由はこの国の王の為か?」

その理由をナオマサに尋ねられるとツガルはゆっくりと頭を上げる



「あいつは・・・王族でありながら海が大好きな奴でよ・・・

 だから俺達みたいなゴロツキと一緒に何度も船に乗って旅に出たんだ

 今じゃあいつは俺にとって王とかそんなの関係なく相棒なんだ・・・!

 そんなあいつがもしも苦しめられているなら助けてやりたいんだ!

 だからどうかお願いだ!俺も連れて行ってくれ!!」

ツガルのその必死なお願いに押されてナオマサは仕方なく同行を許す事にした

「それじゃあ話も決まった事だし急いで向かおうぜ?その海底洞窟にさ!」

話が一通り決まってテンテコは早く話していた海底洞窟に向かおうと告げる

「そうだな!それじゃあお前ら!出航だぁぁぁぁぁ!!」

ツガルが出航の号令を告げると船員達は急いで準備を始めて船は出航する

そのスピードも一級品で明らかに帆船の速度ではなかった

「もしかしてこの帆船には魔道具が積み込まれているのか?」

ナオマサはすぐにこの速度が魔道具によるものだと予想していた

「その通りだぜ!

 この船には昔の錬金術士が作り出した古代の魔道具が組み込まれているんだ

 大量の水を取り込むと同時に吐き出してまっすぐ進ませる魔道具がな!」

どうやらこの船に組み込まれた魔道具はかなり昔の物のようで

これを使う事で帆船でもそれを超えるほどの速度を出しているらしい

「こいつを使えば海底洞窟の入り口にも一時間もしないでたどり着けるはずだぜ!

 と言っても・・・着いたらすぐに魔道具は解除しなくちゃいけないけどな」

この時はツガルと言っている事が理解できなかったが

この後ですぐにこの意味を理解する事になるのだった

「そういえば気になったんだけどさ・・・確かツガルさんは自警団って言ってたけど

 この船って見た感じ武装とかそう言ったものがない気がするんだけど?」

シンは自警団というのだから本物の海賊や海に住む魔物と

戦う武器くらいは付いているはずだと思っていたのだがこの船には全く見当たらないのだ



「・・・丁度いいな・・・!ならその武器を特別に拝ませてやる!」

その言葉と同時に船の前方から巨大な何かが浮かび上がってきた

表面に纏っていた水が落ちていくとそこに現れたのは巨大なタコだった

「こいつはここら辺を騒がせている魔物なんだ!しかも厄介なのは使う魔法が巨大化で

 群れで生まれるくせに最初から巨大な個体になれる反則的な魔物だ!」

どうやらその魔物はこの付近でよく現れる種類のようで

ツガルはこの魔物を倒す方法ならば十分に心得ていると言った感じだった

「お前ら!戦闘準備!全部の武装を展開して応戦準備をしろ!!」

その声と共に船員達はすぐに移動して戦闘の準備を始める

そして何かのレバーなどを引くと砲台などが現れ始めた

「マジかよ・・・これ全部内部にしまってたっていうのか?!」

甲板にはまさしく戦艦と言わんばかりの武装が展開されて

シンは先ほどまでの何もない観光船のような船が嘘みたいだと思っていた

「さてと・・・それじゃあ慣らしも含めて・・・全弾発射!!」

ツガルは明らかに過剰攻撃ではあるが久しぶりに動かしたので

何か不備があるのではないかという考えもあり全ての砲門で撃ってみる事にした

船員はその通りに発射して全ての砲弾を魔物に命中させた

もちろんそんな攻撃に耐えられるわけもなく魔物は黒い煙と共に海底へと沈んでいった

「なるほど・・・まさしくこの船はこの国を守る盾というわけか・・・

 確かにこれならばどんな敵でも倒せそうだな・・・それこそ巨人でも・・・」

ナオマサも先ほどの砲撃には驚いているようで

これならば国を守る盾として十分な戦力だろうと思っていた

「・・・だが・・・こんな船を持ったっていうのに俺は相棒すら守れなかったけどな・・・」

しかしツガルはこんな立派な船を持っているのに唯一の親友であり相棒でもある

この国の王を守る事は出来なかったと深く後悔している様子だった

「・・・私も似たようなものだ・・・国を守る為に騎士になったというのにな・・・」



それから魔物が出てくる事もなく安全な航海をしていたのだが

急に波が変わり始めて船が変則的な揺れをし始めた

「どうやらあの海流に入ったらしいな・・・!目的地はもう直ぐだ!」

その海流こそが海底洞窟につながる入り口へ続く道のようで

これさえ超える事が出来ればそこへ辿り着く事ができるらしい

しかしその揺れはもはや船にしがみついていないといけないほど激しく

ナオマサの予想どおりこれを超えるには相当な強度がないと無理そうだった

(だがこいつはこの海を何度も超えてきたと言っていた・・・

 そのお手並み・・・信じて見させてもらうぞ・・・!)

ツガルの話が本当ならばこの海の攻略法はすでに頭の中に入っているだろう

ナオマサはそのお手並みを見せてもらおうとじっとツガルの事を見ていたが

なんと指示はおろか自ら動こうとすらしていなかったのだ

(まさかさっきの話は嘘だったのか?!・・・いや違う・・・!)

最初はナオマサもツガルの言っていた事がただのハッタリだと思っていたが

実際に船が進んでいくのを見て本当の事だったのだと理解していた

しかし理解できなかったのがどうして激しい海流の中で船が進めているのかだった

「実はこの海流は特殊でな・・・ほとんどの海流は岩や岸壁に沿って流れているんだが

 こいつだけはどうしてなのかあの入り口に向かって流れているんだ

 つまりこの海流は離れようとすればするほど船が波に巻き込まれ逆に危険ってわけだ」

ツガルの話ではどうやらこの海流は特殊な流れを持っているらしく

これを逆に利用する事こそが海底洞窟の入り口に繋がっているそうだ

「なるほどな・・・海を知っている人間だからこその罠というわけか・・・」

基本的に船は激しい海流に乗ってしまうとそのまま流されてしまう可能性が高く

それを避ける為に船乗りはそう言った海流を避けたりするのだが

この海流はまさしくそんな人達を欺く為の罠になっているという事だった

「俺達は素人だったから気付けたんだけどな・・・それよりも着くぞ・・・!」



「ここが海底洞窟の入り口か・・・確かにそれらしいな」

ナオマサはその入り口を見て自然の神秘だと感動しているようだった

「そしてこの先に魔物がいるのか・・・なんかここまでくる道中も

 全部洞窟ばっかりでしかも魔物ばっかりな気がする・・・」

確かに砂漠の時も洞窟の中にいた魔物を退治しここに来るまでも洞窟を通ってきた

シンの言う通り何故か旅を始めてから洞窟ばかりに行かされていた

「まぁ砂漠にあったのは洞窟というよりも遺跡に近いんだけどな・・・

 その点ではここはあの山にあった洞窟と同じ天然物だぜ?

 だからこそ・・・ここにいるであろう魔物は強力だろうけどな・・・」

自然的に発生した洞窟に住み着いているという事は

おそらくこの近辺の魔物の中でも頂点に君臨しており

その実力は一目見ただけでもおそらくは計れてしまうだろう

「・・・本当にこの作戦がうまくいくかどうか・・・神頼みだな・・・」

そんな相手に無傷でしかも素早く倒してしまおうというのだから

さすがのシン達も不安になるしかなかった

しかしどんなに不安になろうとも引き返す事はもう出来はしない

今の彼らには自分達を信じて愚直に前へと進む以外の選択肢はないのだ

「それじゃあお前らは港に戻ってくれ!首都を取り戻したら連絡する!」

ツガルも船員達に別れをすませると船を降りてシン達の元へとやってきた

「いよいよだな・・・正直、俺も洞窟の中がどんな感じになっているのか知らねぇ・・・

 そして・・・その先に待っている首都の様子もな・・・」

まさしく先など全く見えない真っ暗な道しか続いてはいない

ツガルですら洞窟の中もそうだし超えた先の首都についても何も知らない

それでもおそらく待っているは想像を超えた地獄のような光景だという事は理解できた

「・・・それでは・・・行くぞ・・・!この国を救うために・・・!」

シン達はそんな闇の中へと覚悟を決めて足を踏み出していくのだった

洞窟に入る事が出来たシン達

彼らは果たして首都へと無事にたどり着けるのか?

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