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海賊の流儀

海賊救出!

どうにか牢屋からは脱出する事が出来たが問題はここからどうやって静かに出るかだった

(さすがにこれだけの大人数をバレずに逃すのは難しい・・・

 かといって隠すにしても敵の拠点なら必ず誰かが見に来てしまう・・・)

実際、ナオマサの考えている通り彼の後ろには三十人は超える海賊が控えている

これを全員移動させるとなれば間違いなく見つかるだろう

かといって何人かを隠れさせようと思ってもこの内部を全て把握しているわけではないので

おそらくは隠れようとしている間に見つかってしまう可能性が高い

「・・・やはり一番いいのは全員倒す事か・・・」

残された選択肢はこの場にいる全員で衛兵を全て倒す事

しかしそれをするには全員分の武器をどこかで調達しなくてはいけない

見取り図には武器庫はなく調達するのは無理だと思っていた時だった

「なんだ?もしかして俺達に武器が必要だと思っているのか?

 だとしたら安心しろよ!俺達にはこの拳があれば十分なんだからよ!」

どうやら彼らは自分達の拳があれば十分だと告げてそのまま行ってしまった

ナオマサは急いで後を追いかけていくとそこにはすでに衛兵を素手で制圧した海賊の姿があった

「・・・マジか・・・めちゃくちゃ筋肉すごいと思ったけど・・・ここまで出来るのか・・・」

その様子にはさすがのテンテコもありえないと言わんばかりの顔をしていた

逆にナオマサはこれならば問題はないと思っていたがどうやらそんな簡単にはいかないようだ

「貴様ら!一体何をしている?!」

先ほど騒ぎを聞きつけてきたのか衛兵が集まってきて一気に囲まれてしまった

(まずいな・・・さすがに数まで向こうに勝たれてしまってはこちらの被害が・・・!)

このままでは確実にこちらが被害を受けると思ったナオマサは何とか打開策を考えるが

もはやそんな事を考えている暇すらなく今まさに衛兵達が襲ってこようとした時だった

「俺の子分達に何してくれてんだぁぁぁぁぁ!!」

正面の扉がこじ開けられて何とそこからツガルが現れて衛兵達を殴り飛ばして行った

「何であいつがここに?!まぁいい!とにかく全員倒していくぞ!」



「ハァ・・・何とかなったが全く・・・何で待ってなかったんだ」

何故かここまで来てしまったツガルに対してナオマサはその理由を聞く

「いやぁ〜・・・作戦は聞いてたんだけど不安で不安で・・・

 それでいつの間にか体が動いてそのままここに・・・悪い・・・」

どうやらツガル本人も今回の事は悪いと思っているようだが

それでも仲間の事を思って行動した事に後悔は全くない様子だった

「それで?シン達は一体どうしたんだ?」

そしてこの場にいないシン達が一体何をしているのかツガルに尋ねる

「あいつらなら表で巨人の相手をしてもらっている

 まさかこの拠点にもすでに巨人乗りが配置されていたとは思ってなかったぜ」

どうやらツガルの話では門番の二人が巨人乗りだったようでシン達はその相手をしているらしい

しかし先ほど大きな音がしたのでおそらくはその勝負も終わっているだろう

案の定、全くの無傷でシン達がナオマサ達の元へと向かってきていた

「全く・・・巨人乗りまでいるのはさすがに予想外だったぞ・・・

 まぁ今までの奴らに比べたら歯ごたえなんてなかったけどな」

どうやら表で戦っていた巨人乗りは今のシン達にとって敵にすらならない相手だったらしい

おかげで全く苦労しないで勝つ事は出来たのだが問題はこの後だ

「おそらくあいつらはすでに首都にも連絡はしているはずだろう・・・

 これでますます入るのが難しくなってしまったか・・・」

間違いなくここで騒ぎがあった事は首都の方にもバレてしまっているだろう

そうなれば船があったとしても簡単に入る事は出来なくなってしまう

彼らを助けた意味もここでなくなってしまうという事だ

「正規のルート以外で首都に入る方法があればいいんだが

 ・・・土地勘すらない我々ではな・・・」

どこかに隠されたルートや別の方法で入れればいいのだが

この国に来たばかりのシン達がそんな事を知っているわけもなかった



「いや大丈夫だ!俺達に任せてくれ!!」

そんな中でツガルは自分達がきっと首都まで送り届けてみせると言ってくれた

しかしその自信は全く根拠のないところから来たもではない事も分かった

「とにかくまずは俺達の船に向かおうぜ!そこで色々と説明してやるよ!」

確かにツガルの言う通りまずは本来の目的通りここから出て行く事にした

そして彼らは再び先ほどの酒場に集合してツガルから話を聞く

「実はお前らの願っている通り正規のルートとは別のルートで首都に入る事が出来るんだよ!

 普段はそいつは隠されているが昼間になったらその入り口が海面に出てくるんだ!

 そいつを使えば首都の下水道に繋がっていて何の検問もなく入る事が出来る!」

どうやらツガルが言うには首都の下水道は海底洞窟に繋がっているそうで

これを使えば首都の中に怪しまれずに入る事が出来るそうだ

「だが問題もある・・・まずはそこに行くまでの海流が

 普通の場所よりも荒れてるってところだ

 並の船じゃ間違いなくここにたどり着く前に沈んじまうだろうが・・・

 まぁ俺らの船なら問題はないだろうよ

 そして次の問題がこの洞窟の中・・・実は強力な魔物が生息しているんだ・・・」

下水道にいる魔物は衛兵でも手を焼くほどの強さを持っているそうで

未だに致命的なダメージすらも与えられていないらしい

それを倒さなくてはおそらく首都に入る事は出来ないだろう

「魔物か・・・倒せるかどうかは置いておくとして・・・問題は音だな・・・

 そんなに強い魔物との戦闘なら間違いなく激闘になるだろう・・・

 それこそこの下水道に響き渡るほどの激闘にな・・・

 そうなったら上にいる人間が気づかないわけがない・・・

 音を立てず尚且つすぐに倒さなくてはいけないというわけか」

そんな芸当を本当に出来るかどうかは実際に戦う相手を見ないと分からないだろう

しかしその魔物が強いというのならばおそらくその可能性は極めて高い



「とにかくもう夕暮れだしもうその入り口に行く事は出来ないだろ?

 だったら今日はこのまま解散してしばらく作戦を考えようぜ?」

シンは時間帯を見ても今日はその場所に行く事は出来ないと判断しており

それならばじっくりと作戦を考えればいいのだと告げる

「そうだな・・・今日は色々とありすぎたし体を休めながらゆっくりと考えよう」

ナオマサも先ほど脱出してきたばかりの海賊の事も考えたのかその提案に同意する

「それじゃあ俺達は船を取ってくるのもあるからここを好きに使っていいぜ!

 上にはベッドとかもあるから朝までゆっくりとしていきな!」

するとツガル達は自分達の船が整備があるからといってみんな出て行ってしまい

残されたシン達にこの酒場を自由に使っていいと告げる

それを聞いてすぐにテンテコのお腹がなりまずは腹ごしらえをする事にした

「魔物との戦いか・・・今までは巨人が使えればなんとかなると思ってたけど

 今回は目立っちゃダメだからな・・・さすがに使うわけにはいかないか・・・」

カライの言う通り今回の戦いは絶対に目立ってはいけないので

切り札である巨人を使う事も出来ないのだ

しかしその洞窟が大きくそれに見合うだけの魔物だった場合

巨人無しで戦うのは難しいと言うしかないだろう

「とにかく私達が考えるべきはそう言った魔物が出てきた場合の対処だな

 最悪の場合は戦わないで逃げるって選択肢も選ばなくてはいけない・・・」

あくまでもシン達の目的は首都に入るだけなのでその魔物と戦う必要はない

しかしもしも戦わずに逃げたりなどしたら

魔物が後を追って地上に出てくる可能性もある

つまりは余計な混乱を招くだけではなく無用な犠牲すら出すかもしれないのだ

正直な話をするのならナオマサもそれだけは避けたいと考えていた

「ならさ・・・首都から離れた場所で戦うのはどうだ?

 洞窟の中でも距離はあるんだし入り口で戦えば巨人で戦えるかも」



「私もそれは考えていたが・・・洞窟の中は音が響くし振動もする

 どこで戦おうとも首都にいる人間にバレる可能性は十分にある・・・」

どうやらナオマサも同じように考えてはいたのだが

洞窟が縦長に進むものならばおそらく音も振動もよく通ってしまうだろう

それは同時にどこで戦ったとしてもバレる可能性はあるという事だ

結局のところバレないようにするにはやはり静かに一瞬で倒すしかない

「ハァ・・・それじゃあ都合よく魔物が寝ている奇跡を祈るしかなさそうだな」

シンは残された可能性は魔物が寝ていてスキだらけな瞬間を狙うしかないと考え

自分達が洞窟に入った時にその状況になっているよう祈るしかないと思っていた

「眠るか・・・いや・・・!もしかしたらその作戦がうまくいくかもしれない!」

その考えを聞いたナオマサは本当にその状況を作れるかもしれないと告げる

そして何を思ったのかいきなり地図を広げて説明を始める

「海の周辺には確か魔物によく効くと言われている眠り草がある

 あまり生えていない事から実用的ではないと言われて生産や採取はされなくなったが

 元々自然に生えていた物の筈だから今もここ周辺に残っている筈だ

 それを使えば魔物を眠らせて一気にケリをつける事も夢じゃない!」

その薬草が本当にあるのならば間違いなく切り札として使える

それを聞いたシン達はララ達にその薬草を取ってくる事を告げて酒場を後にする

「おそらくこの周辺にも生えている筈なのだが・・・この人数ではな・・・」

生えているであろう場所に検討はついているのだがさすがに三人で探すには範囲が広すぎた

しかしこれ以外に頼れるものはなく必死で探しているとカライがそれを見つけた

「花束一つくらいしかなさそうだが・・・これだけあれば大丈夫そうだな

 あとはぶっつけ本番で試すしかないか」

数としては申し分ないほどに取れたとは思っているが

ちゃんと効くかどうかは実際に試すしか無い

だが先ほどの奇跡に比べたらこちらの確率はよっぽど高いだろう

次回はいよいよ海の旅へ!

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