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洞窟を這う大蛇

新しい巨人が出てくるよ!

「さっきの魔物がもしも巣を追われてきたのならこの奥にはそれ以上の何かがいる・・・

 でもどうするんだ?そんな相手だったら巨人を使わなくちゃいけないけど・・・」

実を言うと前の少年との戦闘で傷ついてしまったディパシーはまだ直ってないのだ

もしも巨人が必要になったとしてもカライの巨人であるトゥネしかいないのだが

「ああ・・・こんな洞窟ではあの巨人を生かす事は出来ないな・・・」

トゥネの特徴はパワーとスピードだがこんな狭い洞窟では全く速度を出す事は出来ず

パワーに関してもそんな力づくで武器を振り回せば崩落の危険性がある

つまりこの洞窟の中ではトゥネの力を十分に発揮させる事は出来ないのだ

「だが・・・彼ら傭兵がついているのだから問題はないはずだ

 彼らはこういった戦闘を・・・幾千と繰り返してきた者達だからな」

ナオマサの言う通りこういった事態に慣れているのは自分達よりも

世界各地で活動を広げてきた彼らのような存在だろう

だからこそこういった事態になったとしても何かしらの対処が出来るはず

「そういうこった!もしも予想外の魔物が現れたら俺達に任せな!」

どうやらラフェルも話を聞いていたようでその時は任せろと胸を張っていた

「しかし・・・この先に待っている魔物はどんな種類なのか分からないとかなり厳しいな」

問題はその魔物がどんな種類なのか全く分かっていないという事だ

それ次第によってはもしかしたらとんでもない被害が出る可能性があるのだ

「洞窟でトカゲが出てきてそいつらが逃げるって事はおそらくその天敵・・・

 となれば・・・やはり怪しいのは蛇か・・・」

蛇の魔物を想像したラフェルはとても面倒そうな顔をしていた

「なぁ・・・その蛇の魔物ってどんな魔法を使うんだ?」

その理由はおそらく蛇の魔物が使うであろう魔法にあるのと考えたカライは

ラフェルにどんな魔法を使うのかを確認する

「ああ・・・蛇の魔物が使うのは毒の魔法・・・しかもそのほとんどが強力で

 この狭い洞窟で使われたら全員お陀仏になる可能性も十分にある・・・!」



「そんなに危険なのかよ・・・何か対策とかないのか?」

カライはそんな魔物に対する対策はないのか尋ねる

「正直ないな・・・魔法を使わせる前に倒すか毒を吸い込まないようにするしかない

 しかしこんな狭い洞窟で戦った経験は少ないし・・・

 その時は冬眠の時期を狙っていたからな・・・」

どうやらラフェル達もこんな状況で蛇の魔物と戦うのは少ないらしい

「だがまぁ・・・やれるだけの事はやるつもりさ・・・!

 俺達傭兵は創意工夫で生き残ってきたプロだからな!」

それでもラフェル達には勝つ自信があるようで笑顔で大丈夫だと告げる

「・・・とにかくここにいても仕方ない・・・先に進もう・・・」

ナオマサの言う通りここで立ち往生しているわけにはいかないので

みんなはこのまま先に進んでみると徐々に穴が大きくなっていく

「マジかよ・・・もしかしてこんなサイズの蛇が出てくるなんて言わないよな?」

その大きさを見てカライはこれから出てくる魔物はどれほどの大きさなのだと怯えていた

「確かにこれは巨人が必要になりそうな相手だな・・・どうしたもんか・・・

 ちょうどよくウチの巨人乗りは別の依頼でいないぞ・・・」

ラフェルも今回ばかりは本当に危険かもしれないと少し焦っている様子で

道を進む速度も少しだが抑え始めていた

「・・・なぁ・・・やっぱり俺が巨人を使った方がいいんじゃないか?」

シンの言う通り多少危険だったとしてもディパシーを使った方が魔物を倒す事が出来るだろう

しかしナオマサはディパシーを使いたくないちゃんとした理由があったのだ

「まだあのラフェルという男を完全に信用するわけにはいかないからな・・・

 もしもあいつが彼らの仲間だった場合、こちらの手の内を明かす事になる

 特にディパシーの能力・・・あれだけは絶対に悟られるわけにはいかない」

そう・・・ナオマサはラフェルの事をもっとも警戒しているからこそ

ここでディパシーの力を使って魔物を倒す事を危惧していたのだ



「でもそんな事言ってやられたら元も子もないんだぞ?」

しかしシンはそれを言うのならばやられる方が問題なのではないかと告げる

「もちろん私もそれは理解している・・・だから姫様が危険になった時は使っていい

 だが・・・それまでは絶対に使うな・・・たとえ何があってもだ・・・!」

ナオマサもちゃんと理解しているようでもしもララに何かあった時は使っていいと言っていた

だが逆を言えばそれ以外の場合はたとえ誰が死んだとしても使ってはいけないと

そんな風に釘を刺されたようにも感じていた

「わかった・・・と言っても約束はしないけどな・・・」

それを理解したシンも出来るだけそれは守ると言ったが

それでも自信はないので約束だけはしなかった

「それにしても・・・ここってどの辺なんだ?さすがに暗すぎて距離が分からないな」

暗い道を真っ直ぐ進んではいるが所々で少し曲がったり降りたり登ったりを繰り返して

もはやここが山のどの辺なのか誰にも分かってはいなかった

「大丈夫だって!村の人に聞いたけどこの洞窟は一本道でほとんど迷う事はないから

 真っ直ぐ進んでいけば必ずたどり着けるってよ!」

シンが不安がっているとテンテコが馬車の中から村で聞いた話を教える

それを聞いてよかったと安心した時だった

「いや・・・どうやらそういうわけでもなくなったみたいだ・・・」

ラフェルの声が聞こえて何事かと思って正面を見るとそこには巨大な穴が二つあった

「おいおいマジかよ・・・!これってもしかしなくても片方は・・・」

その穴を見たカライはすぐにもう片方の穴に何がいるのか理解してしまった

「ああ・・・どうやら片方はまさしく地獄への入り口って事だろうな・・・!」

そう・・・この二つの穴のどちらかは間違いなく魔物が作り出した穴

そしてつまりその穴に繋がっているのは魔物の巣という事

そちらを選んでしまったらどうなってしまうのか・・・もはや考えなくても分かる事だ

「せめてどちらが魔物の穴なのかそれが分かればいいんだが・・・」



「無理そうだな・・・時間が経ちすぎて自然に開けられた感じになっている・・・

 これを調べるとなると一日じゃ絶対に足りないな・・・」

シンはこれほど古いものを調べるとなるとかなりの時間が必要になると考え

それではどちらにしても意味がないとして無理だと判断し覚悟を決めて選ぶ事にした

「でも間違ったら間違いなくお陀仏なんだろ?

 だったらやっぱり確認した方がいいと思うんだが・・・」

カライはせめて可能性だけでも調べる事は出来ないかと考えるが

それでも可能性としてはどちらも疑わしいので優劣は決められない

「・・・しょうがない・・・危険な事に変わりないがあの手段を使うしかないか・・・」

するとラフェルが何か作戦を思いついたようで危険性は変わらないらしいが

それでもこのまま進むよりはずっとマシな作戦のようだ

「それってどんな作戦なんだ?危険ってもしかして戦うのか?」

カライは一体その作戦がどう言ったものなのか確認すると

「まさしくその通り・・・!こちらから出向くんじゃなくて向こうは来てもらうのさ!」

ラフェルが考えていた作戦とは向こうが罠に嵌めようとしているのなら

逆に自分達が向こうを待ち構えて戦おうというものらしい

「でも待ち伏せをするにしてもおびき出すための餌が必要なんじゃないか?」

問題はその魔物をおびき寄せる餌をどうするかだった

今のところは物資だけであり蛇が好みそうな餌は持っていなかった

「それならさっき部下に頼んで俺達が対峙したトカゲの死体があるぜ?」

どうやら万が一に備えてラフェルは部下に先ほど倒したトカゲの死体を回収させていたようで

それを使って奥にいるであろう蛇の魔物を呼び寄せる事になった

ラフェルの部下が手際よくトカゲの死体を積み上げていき匂いが届くように

風を送る魔道具を使って洞窟の中を満たしていく

そしてその準備が整ったら全員で物陰へと向かい蛇の魔物が来るのを待つ

「・・・!きた・・・!」



「・・・いやいや・・・デカ過ぎだろ・・・?!」

もはやその蛇の魔物は頭だけで巨人と同等の大きさを誇っており

間違いなく人だけで襲いかかったら丸呑みにされてしまうだろう

「どうやら本当に巨人で戦う必要があるみたいだな・・・どうしたもんか・・・」

これにはさすがのラフェルも困っているようで倒す作戦を考えようと思っていると

「っ?!まずい!あいつ俺達の温度でいる事に気がつきやがった!!」

蛇の魔物はすぐにシン達がいる事に気がついて攻撃を仕掛けてきた

「こうなったらもう洞窟がどうこう言っている場合じゃない!来い!トゥネ!!」

カライは自身の巨人であるトゥネを呼び出してその蛇の魔物と対峙する

しかし真正面からでしかぶつかる事が出来ずいつものような戦闘ができない

(おまけにこいつの牙めちゃくちゃ硬い?!一体どうなってるんだ?!)

さらにはトゥネのパワーを持ってしても蛇の牙を切り裂く事はできず

直接的なダメージを与えられないでいると蛇の口に魔法陣が展開される

「しまっ!!」

このままでは間違いなく魔物の直撃を受けてしまうと考えた

カライは思わず目を閉じてしまうが一向にその魔法が飛んでこなかった

おかしいと思って目を開けるとそこには見覚えのない巨人が立っていて蛇の両目を潰していた

「大丈夫か?」

するとその巨人から声が聞こえてきてその声の主はラフェルだった

カライはそれに驚いていたが再び蛇が暴れ出して我を取り戻す

「俺があいつの口を押さえる!その間にお前は首を切れ!」

ラフェルは交代するように蛇の前に出てその牙を掴み

そして回り込んだトゥネは渾身の一撃をふるって蛇の首を切り飛ばした

「・・・ハァ・・・どうやらなんとかなったみたいだな・・・」

これでこの洞窟の中は安全になったはずだとみんなはようやく一息ついていた

ラフェルを見つめるナオマサだけを覗いて



(あいつ・・・巨人乗りだったのか・・・)

次回はいよいよ洞窟を抜けてスフェスにたどり着く

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