表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/142

次に向かうは海の国

今回はのんびりとした回になりそうです

あれから暫くしてシンは目を覚ました

様々な人が彼に対してお礼を言いたいと言っていたが本人の体調と

旅立つのに時間がなかったので国王が代表してシンにお礼を言った

「まぁ・・・俺が驚いているのは国王様が頭を下げた事よりも

 旅の仲間がいつの間にか増えていた事だけどな・・・」

しかし今のシンがそれ以上に驚いていたのは他でもないカライが旅に同行する事だった

「俺も今回の事件であいつらがどれだけ危険なのか分かったからな・・・

 ヴェストを倒したとしてもそのボスを倒さないと同じ事が

 いや・・・もしかしたらそれ以上の何かが起こる可能性だってあるんだ

 だから俺はお前達の旅に同行するんだよ

 他でもないこの国の王子としてな・・・!」

カライは改めて自分がどうしてこの旅に同行するのかその理由をみんなに説明する

それはみんなを納得させるのに有り余り理由だった

そして同時にみんなはカライの不安が彼だけのものではないという事も理解していた

(我らの国やこのヴァンカンスだけではなく他にも奴らは色んな国に紛れているだろう

 それこそ今から向かう海の国スフェスや帝国フェルミにも・・・

 それを考えただけでもゾッとする・・・!)

あのナオマサですら得体の知れない組織について考えて不安を覚えないわけがなかった

こんな不安を同じ・・・いや・・・おそらくそれ以上に抱いているのは国民だろう

もしも彼らが全ての国を治めるようになってしまえばどうなってしまうのか

今回の事件はまさしくそれを知ってしまうには十分なものとなった

「・・・俺もカライと同じだ・・・あいつらはもはや人を人として見てすらいない・・・!

 あんな奴らをこれ以上、自由にさせたらダメだ・・・!絶対に・・・!!」

カライの想いに一番同調していたのは他でもないシンだった

彼は実際に王都が蹂躙される様子を目撃してしまった

それを考えればカライの想いに同調できるのは彼しかいないだろう



「・・・とにかくシンが起きた今、俺達はいよいよ帝国へと向かおうと思うが

 それには船がいる・・・しかし俺達は船を持っていない・・・

 そこで次に向かうは海の国と言われているスフェスに向かおうと思う」

ナオマサはスフェスで船を調達しフェルミに向かいたいと思っていたのだが

やはり心配なのは今のスフェスがどんな情勢になっているのかという事である

(こればかりは港に行ってみるまで分からないな・・・

 もしも奴らが潜んでいるのならば・・・船の調達も困難になりそうか・・・)

あくまでも可能性の話だがこれまでの事を考えるのならばその確率はずっと高い

「てかスフェスに行くのか・・・だとしたら一番厄介な場所を通らないとダメだな・・・」

するとカライがスフェスに行くと聞いて何かを思い出したようだ

「厄介な場所?それってどんなところなんだ?」

シンはカライのいう厄介な場所とは一体なんなのか尋ねる

「スフェスに行くにはこの先の砂漠を越えてとある洞窟を通る必要があるんだが・・・

 そこは昔、災厄と言われていたほどの魔物が暮らしていた場所でもあるんだ・・・

 そいつはもうその洞窟にはいないがその影響なのか魔物がかなり多くてな

 しかも小型や中型しかいないくせにその強さは群を抜いている

 だからうちからもよっぽどの手練れで尚且つ

 相応の準備をしてからじゃないとその洞窟に入るような事はない」

どうやらカライのいう洞窟にはこれまで以上に強い魔物が潜んでいるようで

そこを抜ける事は手練れの人間でも苦戦を強いられるほどだと言われているらしい

「マジか・・・そんな場所を通らなくちゃいけないとはな・・・

 おまけに洞窟だから巨人を出す事も出来ないのか・・・修行には良さそうだけど

 ララ達も一緒に通る事になるとな〜・・・さすがに危険が大きいか?」

自分達が通るのならまだしもララ達が通るとなるとさすがに危険ではないかとシンは思う

「・・・いえ・・・進む道があるのならば私達は立ち止まってはいられません・・・!」

しかしララ達はすでに覚悟を決めているようでこの洞窟を進む事にした



翌日になり準備を終えたシン達をアデムのみんなが見送りに来た

「いい!絶対に姫様に迷惑をかけちゃダメだからね!

 ・・・それと・・・ちゃんと帰ってきなさいよ?」

ツムジは素直に心配する事は出来なかったが

それでも十分にカライには彼女がどう思っているのか伝わっただろう

「わかってる・・・俺も帰ってきたら色んな話をしたいからな・・・」

カライはその思いを受け取りながらツムジとの別れを済ませる

「セヤギの民の事・・・どうかお任せください・・・必ずどうにかしてみせます

 ですからどうか心配なさらず安全な旅を続けてください・・・我々もそれを祈っています」

国王はララが心配していたセヤギの民についてしっかりやる事を約束し

彼らの旅路がどうか安全なものであるように祈っている事を告げる

「皆さんもどうかお元気で・・・セヤギの民をお願いします・・・!」

こうしてララ達は別れを告げてスフェスへの道である洞窟へと向かっていく

「・・・そういえば気になってたんだけどさ・・・

 その洞窟って前の先代の王様達の墓とは違うのか?」

そんな道中にシンはこの先に待っている洞窟が

前に入った事のある洞窟とどう違うのか疑問に思っている様子だった

「前に入ったのは砂で埋もれた遺跡みたいな感じだからな・・・

 俺達が目指しているのは砂漠を抜けた先にある山脈の洞窟だ

 天然水も湧き出ていて非常に興味深い場所ではあるんだが・・・

 やはり魔物の問題が深刻でな・・・まともな調査をした事はないらしい」

カライの話ではどうやら例の洞窟は山脈にある洞窟のようで

その中には自然が生んだ天然水なども流れているらしい

しかし魔物がいる所為で調査は進んでおらずほとんど閉鎖されているようだ

「そんなところに行くわけか・・・何があってもいいように身構えておかないとな」

改めてその洞窟がどれほど危険なものなのか再確認したシンは気を引き締めるのだった



それから二日ほど砂漠を旅して一行はようやく砂漠の終わりを目撃した

「あそこを抜ければいよいよ砂漠も終わりか〜・・・なんか色々あった所為なのか

 ここまでの道のりがやたらと短かったような気がするな〜・・・」

終わりが見えたからなのかシンはようやくだと一安心している様子だった

「出来れば近くに村があると助かるのだがな・・・

 砂漠を抜ければもうこのラクダも役目を終える・・・ゆっくりと休ませてやりたい」

ナオマサは砂漠を抜けるのならば

ラクダを休ませて新しく馬を手に入れる必要があると考える

「そうだな・・・ここからだと砂漠を越えたすぐに村があったはずだ

 そこでなら馬も手に入るんじゃないか?」

カライは地図を広げて馬を手に入れるのならば丁度いい場所があると告げる

「・・・てか・・・この馬車・・・さすがに狭くないか?」

今更ながらではあるがカライが仲間に入った事で馬車の中はかなり狭くなっていた

シンが外に出て見張りをしてくれているがそれでも人数は多い

カライがナオマサの隣にいるという選択肢もあるにはあるのだが

これからもしも旅の人数が増えるのならば明らかにこれでは足りなくなるだろう

「どうせならうちのところからもっと大きい馬車を持ってくるんだったな〜・・・

 ああでもスフェスは商業が盛んな国だからそこで買うっていうのも手だな!」

これから向かうスフェスは海上国家であると同時に商業国家でもある

他の国々にある品もスフェスならばあると言われているほど幅広く商売しており

今乗っている馬車よりももっといい馬車が見つかるのではないかとカライは告げる

「いや・・・スフェスについた時は船を買わなくてはならないからな・・・

 一応は謝礼としてヴァンカンスの王から資金をもらってはいるが

 それでも足りるかどうか・・・生憎馬車を買い換えるほどの余裕はないな」

しかしスフェスに行くのはあくまでも船を調達する為でありもしも買う事になれば

今ある資金をすべて出さないといけない可能性もあるので残念ながら馬車を買う事は出来ない



「でも確かにカライの言う通りこれからの事を考えるのならこの馬車は小さいかもな〜・・・」

シンもカライと同じようにこの馬車で旅を続けるのはさすがに無理かもしれないと考えていた

その理由は意外と単純で荷台にある食糧が足りないのだ

ただでさえ食べ盛りな子供が二人いるのにそこへ更に男が増えたのだから

これまで以上に食材を消費する量が増えて今まさにそこを尽きそうなのだ

幸いな事に今回は村があるのでそこで食材を調達すればいいのだが

ここからの旅を続けるとなるとやはり食糧不足は猶予するべき問題だろう

「ふむ・・・出来る事なら馬車を増やすべきなのだろうが・・・

 そんな余裕は我々にはないし・・・馬を操れる者もいないからな・・・」

カライもシンも馬には乗れるのだが馬車を操った事はなく

新しく荷台と馬を追加したとしてもただの宝の持ち腐れになってしまう可能性が高いのだ

「やっぱりこんな事ならうちから馬車を持ってくるんだったぜ・・・

 あれには魔道具が組み込まれているからな〜・・・」

どうやらカライの話ではその馬車には収納箱の魔道具が存在するらしく

それを使えばどんな大量の食材であろうと持ち運ぶ事が出来

さらには収納箱の中は温度が低いので冷凍まで出来るという優れ物らしい

「確かにそれは便利そうだな?それはスフェスでも仕入れる事は出来そうか?」

これにはナオマサも興味を示したそうでスフェスでの購入は可能か確認する

「うちの国にもあるんだから当然あるだろうが・・・ぶっちゃけ高いぞ?

 あれ一つで家を建てれるんじゃないかっていうぐらいには」

しかしその魔道具は恐ろしいほど高価な物のようで

下手をすればこれから買うかもしれない船よりも高いそうだ

「・・・そうか・・・それは残念だ・・・」

それを聞いてみるからに落ち込んでいるナオマサを見てシン達は苦笑いするのだった



「・・・やはりここに現れたか・・・今度こそ・・・その命を貰う・・・!」

一行は新しい馬を手に入れる為に村へと向かう

しかしその前には再びあの巨人が立ち塞がる?!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ