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死者の谷

今回は再びディパシーが出てきます!

「うう・・・!ここは・・・?どこだ・・・?」

やっと目を覚ましたシンだったが自分が今どこにいるのか分かっていなかった

とにかく起き上がり何が起こったのかを冷静に思い出してみる事にした

「確か谷が迫ってきたんだよな?それでそのまま飲み込まれて・・・

 って事はここは谷の中って事か!それよりも他のみんなは?!」

ここでシンは自分の周りに誰もいない事に気がついて

他に巻き込まれた者達はどうなったのか辺りを見回す

(ナオマサとかはまだしもララやあの兄妹は戦う事なんて出来ない!

 戦える人間が側にいてくれればいいんだが・・・!)

ここまで焦って探す理由は戦う力を持っていない三人が心配だったからだ

ナオマサなど戦える人間と合流しているのならば問題はないのだが

最悪の場合は本当に命の危険に関わってくるだろう

「危険はあるけど他のみんなを探しに移動した方が良さそうだな」

それを考えたシンはここでじっとしているのは得策ではないと思い

急いで立ち上がってこの周辺を散策し他の人達を探す事にした

「それにしても・・・ここは本当に砂漠の上にある谷なのか?

 でも砂漠は夜になると冷えるっていうし・・・でも極寒ってわけでもないよな?

 なんか背筋が寒くなる・・・そんな感じなんだよな・・・」

それなりに歩いているとシンはここが本当に砂漠の上にある谷なのか疑問に思っていた

というのも夜の砂漠は極寒の寒さになるはずのなのにこの谷はそこまで寒くないのだ

しかし完全に寒くないわけではなくむしろ背中だけが寒くなっている気がした

「・・・なんだか嫌な予感がするな・・・やっぱり早く誰かと合流しないと・・・」

そしてその寒気にシンは嫌な予感がし歩いていた足を進めていくと誰かの足音が聞こえてきた

ようやく誰かに会えたのだと思いシンは急いでその足音が聞こえる方へと向かう

「人には会えたが・・・カライだけか・・・できれば別の人に会いたかった・・・」

どうやらその足音の主はカライだったようで彼の周りに人がおらずシンはため息を吐く



「お前な・・・人にあってすぐにため息を吐くってかなり失礼じゃないか?仮にも王子だぞ?」

顔を見てすぐにため息を吐かれたカライは仮にも王子にその態度かとツッコむ

「それよりも・・・お前も一人だったのか・・・

 こっちもしばらく歩いたが他の誰にも遭遇しなかったな・・・

 本当なら大声でも上げて場所を教える方がいいんだが・・・」

確かにカライの言う通り合流が目的ならば声で自分の場所を教える方がいいのだが

ここが魔物の谷ならばその声で何が起こってしまうのか分からない

だからこそ迂闊に合図を出す事が出来ないのだ

「でもあの幼い兄妹の叫び声が聞こえてこないという事は

 恐らく誰かと合流していて叫ばないようにしているのだろう

 ならば残りの懸念はあのお姫様だけになるな」

テンテコやマイマイは先ほどのような考えを思い付かずに騒ぎ出すはずなのだが

それがないという事は間違いなく誰かと合流できているのだろう

となれば残された不安要素はララ一人だけだという事だ

そんな風に二人で話していると突如悲鳴が聞こえてきた

「この声!間違いないララだ!!」

シンはすぐにその声の主がララだと気付き急いでその声が聞こえた場所に向かう

するとそこではララが骨の兵士に囲まれて追い詰められていた

「ララから離れろぉ!!」

すぐさまシンは剣を抜いて骸骨兵士を斬り伏せていき

それから遅れてカライが後ろの骸骨兵士をバラバラにした

「なるほどな・・・これが死者に会えるという伝説の正体か・・・

 悪いがこんな風に死者と会うのは遠慮願いたいな」

カライはバラバラになった骸骨兵士を見ながらこれが伝説の正体なのだと知り

自分が思っていた再会とは違いこんな風な出会いはいらないと告げる

「大丈夫か?どこか怪我とかしていないか?」



「はい・・・でも私が叫んでしまったせいで恐らく魔物に気づかれてしまいました・・・」

どうやらララは先ほど自分が悲鳴を上げて魔物を呼んでしまったのではないかと思っていた

「いや・・・むしろ叫んでくれたからこそ見つける事が出来たよ」

しかしシン達からして見れば今の叫び声のおかげでララを見つける事が出来たので感謝していた

「イチャついてるところ悪いが早く移動しないか?またあの骸骨兵士が来る可能性もあるしな」

カライの言葉を聞いて二人は顔を真っ赤にしながら凄まじい速度で離れ

彼の言う通りに急いでその場を後にした

「それにしても・・・あれってもしかしてこの魔物の魔法って事なのか?」

開けた場所まで避難してきたシンは先ほどの骸骨兵士がこの谷の魔法なのかと考える

「う〜ん・・・どうなんだろうな・・・俺もそれを考えてはいたが

 そうなると最初に俺達を襲ってしかも場所を転移させた方法の説明がつかない」

しかしカライはそうなると自分達がここへ移動させられた理由が分からなかった

基本的には魔物が持つ魔法は一種類だけでありもしも骸骨兵士を操る魔法を持っているのならば

自分達を飲み込んで尚且つみんなをバラバラに転移させた原因が分からなくなるのだ

「なるほどな・・・まぁそれに関しては考えるのは後回しにしてみんなとの合流を優先するか」

シン達は相手の魔法を考えるのは後にしてとにかくみんなと合流する事にした

しかし歩いても歩いても同じような光景で全く進んでいる気配がしなかった

「・・・さっきから思ってたんだけどさ・・・本当にここは俺達が見ていた谷の中なのか?」

その所為なのかシンはここが先ほど自分達が見ていた谷とは思えなかった

それを聞いたからなのかカライはもしかしてと考えるそしてとある推測を出した

「もしかして・・・こいつの魔法は自分の創り出した空間に人を閉じ込める能力か?!」

その推測とは自分達が特殊な空間に取り込まれたというものだった

しかもその推測が正しければもっとも最悪な展開が予想される

「・・・それってもしかして魔法の元を断たないと出られないってやつか?!」

その最悪な展開とはみんなと合流してもこの世界を出られないというものだった

「ああ・・・しかもこんな広い場所で魔法の元を探すなんて不可能に近い・・・!」



「それじゃあナオマサ達を探しても無駄って事かよ?!」

まさかの事態にシンはどうすればいいのだと完全に頭を抱えてしまう

かくいうカライもどうすればこの状況を打破できるのか必死で考える

しかしこんな事態は初めてでありどうすればいいのかなど誰にも分かる訳がなかった

(何か手はないのか?!この事態を解決する為の何かが・・・!)

もはや自分では何も思いつかないでいるとシンが何かを閃いた

「なぁカライ・・・その魔法の元ってどれくらいの大きさだと思う?」

そう聞かれてカライはすぐさま頭の中で計算を始める

「・・・恐らくこれほどの規模だ・・・大型の魔物くらいはあると思っていいだろうな」

そしてシンの質問に対して大型の魔物クラスはあるだろうと答える

「そうか・・・ならこいつの出番だ!来い!ディパシー!!」

シンがディパシーの名を叫ぶと足元に魔法陣が展開されディパシーが召喚される

「これが・・・あいつの巨人か・・・!!」

呼び出されたディパシーの姿を見てカライはなんと綺麗な巨人なのだと思っていた

無駄な部分など一切なくその姿はまさしく巨人の騎士だった

「こいつで空を飛んでその魔法の元を探して破壊してくる!

 カライはここでララと一緒に待っていてくれ!」

シンはこのディパシーのスピードならば魔法の元を探すのに

そこまで時間は掛からないだろうと考えていた

ディパシーに乗り込んだシンは凄まじい勢いで空へと飛び上がり魔法の元を探しに向かう

「・・・あの巨人・・・全く見ないものだったが一体何の属性を持っているんだ?」

カライは飛び去っていくディパシーの背中を見ながら魔法の属性について尋ねる

「・・・ディパシーの持つ属性は魔法の中でも最上級の・・・時です」

そしてその質問にララが答えるとカライは目を見開いて驚いていた

最上級の魔法石を使った巨人はまさしく伝説と呼ばれるほど乗り手がおらず

歴史の中でしか存在しないはずのものだと思っていたからだ



(いや・・・この谷も伝説の一つ・・・

 それが現実になってしまうほどの何かが動き出しているという事か・・・)



上空へと飛び上がったディパシーはこの魔法を使っている元を探しに向かう

すると谷の中心で明らかに怪しい光を放っている巨大なサボテンがあった

「もしかしてあれが魔法の発生源か?だったらこのまま一気に切り裂く!!」

ディパシーは一降下してサボテンの元へと向かうと

それを感じ取ったのかサボテンは自身に生えている棘を発射して攻撃してきた

「なっ?!まじかよ?!!」

それを見てすぐにディパシーは旋回して棘を躱すがこれで簡単には近づけなくなった

「・・・いや・・・簡単に近づけないなら・・・ダメージ覚悟で突っ込むだけだ!!」

しかし諦めるわけにはいかなかったシンはダメージ覚悟で突っ込んでいく事にした

それに答えるようにディパシーは最高速度を出して一気に急降下していく

もちろん先ほどと同じようにサボテンの棘が飛んでくるが

ダメージを覚悟しているシンはそれを躱そうとはせずに真っ直ぐ突き進んでいく

そして一気にサボテンの元へと来たディパシーは十字に切り裂いてサボテンをバラバラにした

するとそのサボテンからまばゆいまでの光が放たれて

気がつくと先ほど自分達が建てたキャンプ地にいた

「どうやら本当に魔法の元を絶ったみたいだな?」

ディパシーから降りたシンにカライはよくやったと手を挙げる

シンはそれに答えるかのように同じく手を挙げてハイタッチを交わした

「何かよく分からんがお前がやってくれたみたいだな・・・

 それにしても死者に会える谷か・・・やはり伝説は嘘が多いな・・・」

そして無事に合流できたナオマサは今回の一件で伝説などあてにはならないと考えていた

しかし遠くからシンの事を見ていたララはそんな事は思っていないようだ



(・・・我が国に伝わる伝説・・・古の戦いを終結へと導いてくれた・・・

 たった一人の・・・時を超える魔法使い・・・)

次回はいよいよアデムに到着!

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