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砂漠の神秘

今回は戦闘はなく新しい特殊な魔物が出てきます

あれから暫く進んでいくと砂漠の真ん中にも関わらず谷のようなものが見えてきた

「まさか・・・ここでこれが現れるとは・・・もしかしてあの魔物の影響か?」

どうやらこの谷は砂漠を知り尽くしているはずの人でも珍しいものだったようだ

「どうかしたのか?確かに砂漠に谷があるというのは珍しいが・・・」

ナオマサはこの谷に対してどうしてそんなに驚いているのか尋ねる

「・・・この谷は別名・死者の谷・・・蜃気楼の中に潜む魔物の一種です・・・!」

護衛の人の言葉を聞いてシン達は驚いていた

目の前にある谷が全て魔物だと言われたのだから無理もないだろう

「この谷は魔物が現れた当初からあると言われていましたが見た人間が少なく

 それこそ伝説などの類として伝えられてきました・・・

 そしてその伝説の中ではこの谷では死者に会えるかもしれないという事でした」

その言葉に対して真っ先に否定したのは他でもないナオマサだった

彼は錬金術で死者として蘇ったからこそ理解していたのだ

死者に会えるという事がどれほど難しいかという事を・・・

「確かに私もそう思います・・・ですが伝説で言われている以上は

 おそらくそれに似た何かはあるのではないかと考えています」

護衛の人も死者が蘇るというのはあまり信じていないらしいが

それに似た何かはあるはずだと考えていた

「死者が蘇るか・・・一番考えられるのはやっぱり幻覚とかそう言った類か?」

先ほどの話を聞いてシンは可能性として一番あり得るのは幻覚の魔法ではないかと考える

「それはねぇな・・・伝説の話では重症で帰ってきた者もいるが死んじゃいない

 幻覚だっていうのなら傷を負わせる事なく殺す事だって出来たはずだ

 それをしなかったって事は幻覚の可能性はないと言ってもいい」

そこへいつの間にか起きていたカライがその可能性を否定する

確かに幻覚の魔法ならば相手を傷つける事はないので重症を負うというのはありえない

ましてや死者を出してもいないのにどうしてそんな幻覚を見せる必要があるのか



「う〜ん・・・なんか考えれば考えるほどよく分かんないな・・・

 でも単純にそんな危険な場所ならここを通らなければいいだけじゃないのか?」

ここでシンは別に危険だという場所を通らずに

別のルートで向かえばいいのではないかと提案する

「それについては考えていますが・・・もうすぐ太陽が沈んでしまいますからね・・・

 谷の中に入らなくてもこの前で野営をしなくては・・・」

しかし谷の中に入らなくても時間的に移動している暇はなく

この目の前で野営をする事だけは確定してしまっているみたいだ

「マジか・・・なんというか・・・タイミング悪すぎじゃね?」

あまりのタイミングの悪さにもしかして狙っていたのではないかと思ってしまった

とにかく日が沈むまで時間がないのでシン達は急いで野営の準備をする

「そういえば野営はいいけど魔物が襲ってくるんだろ?どうするんだよ?」

そんな中でシンが気がついたのは魔物が襲ってくるのに野営をしていいのかというものだった

普通に考えればなんの対策もなしに魔物が現れる砂漠で野営をするなど愚の骨頂だろう

しかし彼らは砂漠の事を知り尽くしているのだから

何かしらの対策は持っているはずだと考えていると

「実はこの魔法のランタンを使えば魔物が襲ってくる事はありません」

やはりちゃんと対策があるようで護衛の人は魔道具の一つである魔法のランタンを取り出した

「これは太陽の光と同じ光を発するらしくて魔物が寄り付かなくなるんです

 もちろんすでに実証済みなので安心して利用してください」

どうやらそのランタンは魔物が嫌がる太陽光と同じ光を発するらしく

これさえ使っていれば魔物が寄ってくる事はないそうだ

(でもこの光があると人間相手には目立ちそうだな・・・ナオマサと交代で夜の番をするか)

しかしそれは同時に人にとってはこの大きな砂漠で大きな目印になってしまうので

シンは交代で見張り番をしなくてはいけないと考えていたのだが

「いや・・・今回の見張りは私一人で十分だ・・・お前はゆっくりと休んでおけ」



「・・・えっ?でも俺何もやってないんだぜ?それくらいはさせてくれよ」

シンとしては何もしていないので自分に夜の番をさせて欲しいとお願いする

「ダメだ・・・お前はもしもの時に備えての切り札なんだ

 それに今回は向こうの護衛も見張り番をしてくれる

 ここは堪えて休むんだ・・・いいな?」

ナオマサの言っている事に納得できてしまったシンは不貞腐れながらも言う事を聞く事にした

(まぁ本当にシンの巨人がなければいざという時にピンチを脱する事が出来ないからな)

もしも目の前にある谷から何か出てきた場合おそらく対処できるのはシンだけだろう

だからこそナオマサはシンにいつでも巨人が出せる体調でいて欲しいのだ

(それにおそらく・・・あの暗殺者は騎士団とは違い国など関係ないだろうしな・・・)

そしてもう一つナオマサが気にしていたのはこの前の暗殺者だった

あの感じからしておそらく諦めるという事はなくしかも国に縛られる事もないだろう

(彼がもしも襲ってきたら友好国であるはずの王子まで巻き込んでしまう事になる

 そうなれば外交問題になりかねないからな・・・襲ってこない事を祈ろう・・・)

ナオマサは最大の懸念である暗殺者が襲ってこない事を祈るしかなかった

そしてシンは野営のテントの中に入っていくと

そこではテンテコとマイマイがララの料理を手伝っていた

(・・・今更だけど・・・姫様に料理してもらうって結構やばいよな?)

今更になってシンは一国の姫に料理を作ってもらうなど無礼ではないかと思っていた

しかしナオマサもシンも簡単な料理しかできないのでメニューが偏ってしまう

結果として花嫁修業として学んでいたララに任せるのが一番なのだ

(それに・・・いっ今思ったけど俺ってじょっ女子の手料理を食ってるのか・・・!?)

そしてもう一つ気づいてしまったのはシンが初めて女子の手料理を食べていると言う事だった

今まで年上の女性にご飯を食べさせてもらった事はたくさんあるのだが

何故か同世代の女性ともなると恥ずかしさや嬉しさのようなものを感じてしまう

(・・・やばい・・・顔がにやけてまともにララの顔を見れない・・・!!)



何やら幸せな時間を感じたシンだったがその幸せは長くは続かないものだった

「おおう・・・本当に夜になった瞬間ありえないくらいの魔物が動き出したな・・・」

日が落ちると同時に砂漠の中に潜んでいた魔物が一斉に行動を開始し

その様子はまるで蛇の大群が川のように移動しているようにも見えた

「・・・さすがにここまでの大群を見ると気持ち悪いな・・・」

今まで祖父に連れられていろんな魔物の巣などを見てきたシンだったが

さすがにここまでの大群を見た事はなくその様子を見て鳥肌が立っていた

「そうですね・・・もしもこのランタンがなかったら

 ・・・そんな風に考えてしまいますね・・・」

するとララもシンと同じようにあの魔物の数に恐怖しており

もしもランタンがなかったら

あれが全部こちらに向かってくるのではないかと考えてしまうらしい

「・・・そうだな・・・あんな恐怖を感じならがあのオアシスまで来たんだから

 あの三人はすごいよな・・・特にカライなんて王子なのにさ・・・」

シンは自分達の感じている恐怖をいくら出身地と言ってもあの三人は感じているだろう

それにも関わらず三人はこの砂漠を渡っているのだからすごいと言わざるえない

「別にそこまで怖がる事はないと思うぞ?あいつら見た目だけでそこまで強くないし

 なんだったら蹴っ飛ばすだけでも十分に追い払える程度だからな」

そこへいつの間にかカライがシンの後ろに立っており恐怖はそこまででもないと告げる

「のわぁ?!カライ!お前急に背後に立ってんじゃねぇよ!びっくりしただろ!!」

完全に油断していたシンはカライの気配に気づけずとても驚いていた

「別に驚く事はないだろ?それよりもさっきの話だけどマジであいつら子供より弱いから

 でも中には強力な毒の魔法が使える個体もいるから危険な事に変わりはないがな」

なんでも今シン達が見ている魔物はそこまで危険性はなかったりするらしい

しかし中には毒を含む魔物のいるらしく危険がないといえば嘘になるみたいだ

「・・・いや・・・十分にたくましいじゃねぇか・・・」



「それよりも気になってたんだが・・・なんか夜になってから谷の中が鮮明に見えてこないか?」

するとここでカライが日が落ちてから何故か谷の様子が鮮明になってきた事に気がついた

「確かに・・・やっぱりこれも魔物だっていう事か?」

それを見てシンはやはりこの他には魔物なのだとようやく実感したようだ

「だろうな・・・それにしても死者に会える谷か・・・

 やっぱり伝説だとは思うが会ってみたいとも思うよな〜・・・」

その時にシンは一体誰に会ってみたいのかとも思ったが

カライの真剣な表情を見て気軽に聞いてはいけない相手なのだろうと諦めた

そして今度は反対を見てみると今度はララが悲しそうな顔で谷を見ていた

おそらくは彼女も死者に会ってみたいのだろう

その相手はたとえ聞かなくても予想は出来ていた

(死者か・・・俺はもし会えるとしたら誰に会いたいと思うだろうか・・・)

祖父のリンジュに関してはすでにちゃんと自分の心の中でケジメはつけており

今更会いたいと思うような事はなかった

むしろそんな風に思っていたら本人に会った時に殴られてしまうだろうと考え

それだけは絶対に嫌だと苦笑いし再び誰に会いたいかを考える

(・・・やっぱり俺も両親なのかな〜・・・正直顔も知らないんだけど・・・)

そう・・・シンは両親の顔を見た事はないのだ

生まれてすぐに二人とも死んでしまい写真や絵なども残っていないため

おそらく会ったとしてもそれが両親だとは気がつかないだろう

「まぁ・・・今は死者に会うよりも守らなくちゃいけない人がいるからな」

シンは死者に会っている暇などないと思っていた時と目を開けた時だった

「・・・てか・・・なんか谷が迫ってきてないか?」



「「「「えっ?」」」」

谷の中に連れ込まれてしまった一行

彼らはその中で本当に死者と出会うのか?!

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