砂漠の奔放王子
新しいキャラ登場!
あれからしばらく旅を続けてようやく一行は砂漠の入り口であるオアシスにたどり着いた
「ようやくオアシスか・・・なんか予定よりもだいぶ遅れた気がするな」
シンはここまでくる道中に色んな事があったせいなのか
予定よりも遅れて到着したような感覚になっていた
「そこまで心配するほど日程的にはズレはない・・・だが急がなくてはいけないのは事実だ
とにかく今日は色々な買い出しを済ませて明日にでも首都でもあるアデムに向かうぞ」
しかしシンが思っているほど予定にズレはなく
ナオマサの話ではそこまで心配する事はないようだ
それでも待っている人達がいる事に変わりはなく出来るだけ急がなくてはいけない
「ここからは別れて行動するぞ・・・
私は馬の代わりとなるラクダを借りられないかと聞いてくる
お前達は砂漠越えに必要な物資を買えないか確認してきてくれ」
ナオマサは一人で馬の代わりとなるラクダを探しに向かい
残された四人は砂漠を越えるのに必要な物資を買いに向かった
「といっても・・・砂漠越えに必要なもんってよく分かんないんだよな〜・・・」
シンは初めて国から出たのもあり
砂漠に必要なものに関して何がいいのか全く分かっていなかった
テンテコやマイマイは別で情報収集に向かってしまい残されたララに聞くしかないのだが
「・・・えっと・・・実は私も何が必要なのかまでは・・・」
前に砂漠越えを体験したララも従者に荷物を任せていたので何があったのかまでは知らなかった
と言うよりも今回のように馬に任せてきたのではなく魔道具を使っていたので
実際は砂漠を越えるのにそこまでの時間は必要なかったりした
「マジか・・・やっぱりここは現地の人に聞くのが良さそうかな〜・・・」
シンは諦めて現地の人に聞きながら物資を買った方がいいと考えていた時だった
「やめておいた方がいいぜ?ここの奴らは意外と値段を吹っ掛けてくるからな」
後ろから声が聞こえて二人が振り返るとそこには豪華な衣装を身に纏った青年がいた
「えっと・・・もしかしてあなたもこの国の人なんですか?」
「ああ!というか俺はこの国の王子様だぜ?」
まさかの事態に思わずシンとララの思考は完全に停止してしまった
「まぁ・・・どっちにしても今は砂漠越えなんて出来ないけどな」
すると王子様は何故か道具を買ったとしても今の砂漠を越える事は出来ないと告げる
「・・・それはどういう意味でしょうか?」
正気に戻ったシンは真剣な眼差しでその理由について確認する
「ここら辺には昔から砂漠に住まう魔物が潜んでいるんだ
昔は討伐隊なんかを送ったりしたんだが毎回逃げられるんで面倒になったらしくてな
出現する時期だけに限定して追い払うようにしていたんだが・・・
今回に限ってその討伐隊が出せない状況になっていてな・・・
そして今まさにこの近くをその魔物が彷徨いてるってわけさ」
どうやら砂漠越えを出来ない理由はこの砂漠に住んでいる魔物の所為らしい
普段はこの時期になると討伐隊が追い払ってくれるらしいのだが
今回に限っては何故かそれが出来ない状況にあるらしい
「参ったよ・・・俺もここまで買い物に来ただけなのに足止めを食うなんてね
おかげで帰ったら親父殿からお説教を受ける羽目になりそうだ」
気さくな感じで笑うその顔を見てシンは本当にこの国の王子なのか疑っていた
何故ならば彼から王族や貴族が発するような圧迫感を感じないからだ
むしろ村人や下町の人間など親しみやすさのようなものすら感じている
「・・・そういえば・・・そっちの女の子はどっかで見た事あるな・・・」
ここでようやく王子様はシンの隣にいたララに気がついたようで
確かに会った事があるはずだと必死に自分の記憶の中を探していた
「・・・お久しぶりですカライ王子・・・ララ・アール・セムギです」
それに見かねたのかララは自分の名前を告げるとようやく王子様は思い出したようだ
「そうか!アルブレのお姫様か!もう何年も会ってなかったらから分からなかったぜ
でもなんであんたが騎士団も連れないでこんな場所に来てるんだ?」
「・・・それなのですが・・・少しだけお話を聞いてくれませんか?」
三人は近くのお店に向かいララはこれまでの経緯を全て話した
「なるほどな・・・国も守る騎士団の反乱か・・・そりゃあ大変だったな・・・」
さすがのカライも先ほどの話を聞いて真剣な顔つきに変わっていた
そして何かを考え込むように頭を悩ませてもいた
「・・・おたくらの事情も分かったしこっちに援助を頼みたいのも理解できたが・・・
すまんな・・・もしかしたら力にはなれないかもしれない・・・」
そして次に出た言葉は今の二人にとってもっとも最悪な言葉だった
「実はうちの国もで反乱ってわけじゃないがとある商人が莫大な富を持ち始めてな
その金で国の至るところを買い占めていて正直そっちで手が離せないんだ」
どうやらこの国でも似たような事が起こっており他国を助けている余裕はないそうだ
「・・・そう・・・なのですか・・・」
さすがにこれを聞いてしまってはララも無理に援助を頼むわけにはいかず
断ったカライも本当に申し訳なさそうな顔をしていた
「・・・まぁ・・・俺だけで判断できる事でもないから・・・
やっぱりまずは親父殿に会う方がいいだろ・・・と言ってもいつになるかは分からんが」
それでもこの話をするのならばやはり自分の親である国王にするのがいいとカライは告げるが
問題はその話し合いをする為には魔物をどうにかして砂漠を越えなくてはいけないという事だ
「ちなみにですけどその魔物ってどんな奴なんですか?」
シンはその魔物がどんな種類でどんな能力を使うのかを聞く
「俺が聞いた話だと細身のトカゲのような姿をした魔物のらしくてな
能力としては自分の周囲に砂嵐を発生させる事が出来るらしい
討伐隊もその砂嵐の所為でまともに攻撃できなかったり簡単に逃げられたりしたみたいだ」
カライの話ではどうやらその魔物は砂嵐を引き起こす事が出来る魔物らしく
砂漠で身を隠したりするにはこれほどまでに優秀なものはないだろう
(砂嵐・・・ディパシーのスピードなら突破できるか?
でも砂地でも戦闘なんて初めてだしな・・・)
「カライ王子〜!一体どこに行かれたのですか〜?!」
するとそこへカライを探している声が聞こえてきた
「・・・カライ王子・・・もしかしてですけど護衛の人を置いてきたのですか?」
シンはまさかと思いながらもこの王子ならやりかねないと冷たい視線を向ける
「だってあいつめちゃくちゃうるさいんだよ・・・
まぁさっきの話をしなくちゃいけないから迎えに行かないとダメか」
カライは先ほどの話をしなくてはいけないと護衛の人を迎えに行くのだが
((・・・どちらかというとあなたを迎えに来ているのでは?))
立場が逆ではないのかと思いながら二人は去っていくカライの背中を見つめるのだった
「・・・とりあえず戻って魔物の事をナオマサと相談するか・・・」
とりあえず二人は物資を買うのを後にして約束していた宿屋に向かった
宿屋に着くと既にその前にはナオマサの姿があった
「やはり戻ってきましたか・・・その様子では既に状況は分かっているようですね?」
どうやらナオマサも既に魔物が現れたという話を聞いており二人も首を振って頷いた
「そうですか・・・それではこれからの方向を話し合いましょう・・・
と言いたいのですが・・・あの二人はどこに行ったのですか?」
そしてこれからの事を話そうと思ったのだがこの場にあの二人がいない事に気がついた
「お〜い!いい情報を手に入れてきたぞ〜!」
そこへ噂になっていたテンテコとマイマイが帰ってきた
「全員集合したな・・・それでは改めてこれからの事を話し合いましょう」
五人は宿の中へと入っていき部屋の中で先ほどあった事を話した
「そうですか・・・まさかここにカライ王子がいたとは・・・
ですがこちらの国も同じようになっていたとは・・・正直想定外でしたね・・・」
援助を求めに来たはずの国がまさか自国と同じようになっているとは
さすがのナオマサも思っていなかったようで完全に失敗したと苦い顔をしていた
「ええ・・・でもこればかりは責めるわけにもいきません・・・」
「それよりも!俺達の話も聞いてくれよ!」
すると二人の会話にテンテコが割って入ってきた
「その商人なんだけどさ・・・どうやらかなり怪しいみたいなんだよ
それこそもしかしたら・・・あの騎士団長と繋がってる可能性があるんだ!」
テンテコが話したその情報を聞いて三人は驚きを隠せなかった
何故ならば自国に戦乱をもたらした男が他の国でもその悪行を行っていたのだ
「・・・詳しい話を聞かせてもらえるか?」
ナオマサはどうしてそんな話になったのかそれを詳しく聞く事にした
「なんでも聞いた話によるとその突然現れた大富豪は巨人を操れるらしいんだけど
その時に騎士団長しか乗れないと言われている巨人らしいのも見た奴がいたんだってよ!」
なんとテンテコの話によると先ほどこの国をあらゆるものを買い占めている大富豪が
騎士団長にしか乗れないと言われている巨人に似たものと
一緒にいたところを目撃した者がいたらしい
「・・・他国の誰かと繋がっているのではないかと思っていたが・・・
まさかここでその繋がっている人物の情報を得られるとはな・・・」
前々から騎士団長が何者かと繋がっているのは考えていた事だったが
まさかこんなにもあっけなくその情報を掴めるとはさすがのナオマサも思っていなかった
「それで?その大富豪の狙いとかそういうのはわかったのか?」
シンはその大富豪が一体何をしようとしているのかテンテコに尋ねる
「聞くまでもないぞ!そいつの狙いは騎士団長と同じでこの国を手に入れる事だ!
それをする為に金にものを言わせてこの国のいろんなものを買い占めてるんだよ!」
どうやら噂の大富豪もこの国を奪うのが目的のようでやはり二人は繋がっているのだと確信する
「何にしてもこの情報を伝えないとな・・・その為にはまず砂漠に出る魔物か・・・」
これだけの事件を国王に伝えないわけにもいかないが問題はやはり砂漠に現れる魔物だった
「討伐隊が先ほどの大富豪絡みで動けないのならば自力でどうにかするしかあるまい
シンにとっては厳しい戦いとなるだろうが頑張ってもらうしかないな・・・」
「ならその話・・・俺らも混ぜてもらえないかい?」
砂漠に現れた魔物
果たして彼らはこれを倒して首都のアデムに辿りつけるのか?!