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始祖の龍人  作者: どらっご
0章 始まりの疑問
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1話 娘の疑問


“二世の壊戦”という地獄が終結し、平和を取り戻した世界。

そんな世界で、結果的に世界を救った少年と少女はひっそりと結婚し子を育んでいた。



「ねえお父さん」


いつも通りのとある休日の昼下がり。

父親となり、今は家のソファで娘こと蓮藤瑠蘭(れんどうるらん)を膝の上に寝かせて座る蓮藤蘭太(れんどうらんた)に、その膝で寝る娘が話しかけた。

ちなみに今隣には妻の蓮藤瑠流(れんどうるる)が蘭太の肩に頭を乗せて眠っている。


「なんだい?」

「ふと思ったんだけどね、私たちの祖先ってどんなひとだったんだろう?」

「う、ゔぅ〜ん……」


そういえば知らないな…と思った。

蘭太達は一応歴史を見る、すなわち世界のデータベースにアクセスする力を持っているが何故か自分達の祖先というか始まりの原点の情報が9割8分ほど、つまりほぼ全てない。分かっていることは元はただの人間の少女だったということのみ。


なので、答えは…。


「一応人間の女の子ってこと以外は分からな」

「何!?知りたい!?そのことよく知ってるヤツに会わせてあげようか!?」

「うわぁッ!!」


分からんと答えようとした蘭太の言葉を遮って突然現れた創造龍のカルナが割り込んできた。

突然。まさに突然だ。何処からともなく突然である。


驚いた勢いで瑠蘭は蘭太の膝から転げ落ちて床と背中をぶつけた。


「なにさ!ボクに対して家の中に出てきた虫に対する反応みたいなことしないでよ!?」

「いやするに決まってるでしょ…?また鍵かけたドアすり抜けてきたな…?」


カルナは心外そうな物言いをした。

補足しておくと、カルナは雌個体であるが一人称は「ボク」である。どこでそうなったのか。


コン、と軽くカルナの頭を裏拳で叩いておく。


「毎度言ってると思うんだけど、来るときは扉ノックかインターホンって頼んでるじゃん?記憶力大丈夫?歳来てる?それとも偽物じゃない?正直心配なんだけど?」

「そんなに言わなくてもいいじゃん!ボク本物だよ!?よく見てみる!?

「アホですか。せっかく寝てたのに…」

「ぅ…ごめんなしゃい…」


蘭太に抗議していたカルナはぎゃんぎゃん喚いていたせいで起きたルルに苦情を申され、大人しくなる。

そんなカルナに瑠蘭は話しかけた。


「カルナさん、それで、知ってるヤツに会わせてくれるってどういうことですか?」


きらきらした瞳で瑠蘭はカルナを見つめる。まさに好奇心の塊のような子だった。


「え、あ、そうだよ!ボクが命じれば絶対口を開く相手だから大丈夫!」

「なんか部下みたいな言い方…」

「実際部下だしボクの子だよ!神龍やってる!」

「しんりゅう…?」

「神様みたいな龍ってことだよ!」

「かみさまー!?」


ますます目のきらきらを輝かせる瑠蘭を見ながら蘭太は眩しいなぁと思っていた。


子どもの好奇心は大事だ。カルナも良しと言っているし是非とも連れていってあげよう。


「じゃあ…って、あれ?アクニリディアさんだったっけ?実体あったっけ……」

「あ、その点は問題なくなったから心配しないでね☆」


カルナはちら、と一瞬だけ視線を蘭太へ向けた。


「出来たんだ」





「やあ、はじめまして、でいいのかな?蓮藤蘭太」


龍界へやってきた蘭太達は早速水神龍のラ・アクニリディアと接触したが、そこにいたのは青年だった。


以前に水神龍は体を失っていたことを聞いていた瑠蘭はびっくりした。


「あれ?あれ?お父さん、あの人(からだ)ある!」

「ああそうだね。再構築したんだよ」

「なんで知ってるの?」

「俺が再構築のための遺伝子を提供をしたからだよ」

「遺伝子提供…?なんでそれで?」

「それについては余から話した方が良いだろう」


開幕質問攻めにあう蘭太。そんな蘭太の代わりにアクニリディア本人が答えることにした。


「まず小娘。余はお前のような人間と魂の在り方が異なる。余らは元々概念の存在であるが故に体を構成する全ての遺伝子=魂という扱いができるのだ」

「??????」

「つまり、血であろうが何であろうが余の遺伝子がある程度残っていれば余は復活できるということだ」


瑠蘭は硬直していた。驚きでもなんでもない。ただの脳のパンクである。

なのでルルが、


「とりあえずこいつらは体が吹っ飛ばされても血とかがある程度さえ何処かに残っていればいつでも復活できるっていう異次元の存在なの」


と耳打ちしておいた。それでなんとか理解できたらしく、瑠蘭の硬直は解けた。


世界の“水”を司るアクニリディアや、その他重要な要素を司る神龍達はは死んではならず、そのためにこのようなほぼ不滅の能力を持っている。

そして蘭太達が生きて遺伝子を繋いでいくことがそれすなわちアクニリディアの血を保持し続けるということであり、バックアップとしての役割を担って貰っているのだ。


「それで?用件は軽く母上から聞いているが改めて本人から言ってもらおうか」

「OK。ほら瑠蘭言って」

「はい!あ、アクニリディアさん!私たちの種族の先祖ってどんな方なんですか!?」

「………滅星獄戦に生きていた人間の、少女だ」


質問を投げた瑠蘭に対し、アクニリディアは時間を置いた後懐かしみを含んだ様子で答えた。


「彼女は人間、紛れもなく人間だった。出身は日本。…今の旧日本だ」

「私と…同じなんですね」

「その通り。だが龍を見ても好奇心を隠し切れないお前と違い、そいつは余が初めて会ったときが最も印象的だったが、余ら龍族に並々ならぬ憎悪を抱いていたという点と殺しをあまり躊躇わないという違いがある」


しかし、この話は都合上口頭でしか話せない。

とアクニリディアは言った。なぜなのか。


「本来神龍がやっちゃいけないことをコイツがやったからだよ」


問うた蘭太に、カルナがアクニリディアを指で指してそう答えた。

本来やってはいけない行為。それは“自身の神としての遺伝子を多種族に共有した”ことである。


「そういうことだ。故に知りたい者には口頭でしか伝えられぬ。…おっと小娘、メモは勘弁してくれ、それもしっかり禁則事項に含まれてしまうんだ」

「ええ〜」

「駄々こねると話せんぞ」

「仕舞います!お願いします!」

「あ、瑠蘭。メモ用具私が預かっておくから」

「お母さん…?」

「ん」

「はーい…」


予め持ってきていた筆記用具の全てをルルに回収され、丸腰状態になった瑠蘭はアクニリディアの前に座った。


「準備はいいか?」

「はい、いつでも」

「よし。あ」


思い出したように口をぽかんと開けるアクニリディア。一瞬吹き出しそうになったがどうしたのだろう。


「おい小娘、お前は所謂“グロ耐性”はついているか?」

「グロタイセイ?」


首を傾げて聞き返す瑠蘭。


「言い換えよう。血が噴き出したり頭とか腕とかが千切れ飛んだりという話を聞いても大丈夫か?」

「………う」

「戦争中の話になってしまう故、どうしても逃れられん。この耐性がないと最後まで付き合いきれんと思ってな」

「……がんばります」

「頑張ってどうにかなるものではないと思うが…」


うーん、と悩むアクニリディア。


「やばくなったら俺たちがどうにかするからそこは問題ないよ。だから話してあげてほしい」


そこへ蘭太が一言入れた。信頼が大きいだけにアクニリディアはそれで心を決めたようだ。


「分かった。頼りにしているぞ」

「ん、OK」

「ということだ小娘。始めるとしよう。始まりの龍人の話を」

「はい!」


覚えていてくれた方はいるか分かりませんが、お久しぶりです。約2年ぶりでしょうか、どらっごです。


もう前作でお終いにしていようと思っていたのですがちょこちょこ続きを書いていたら前作を載せるきっかけにもなった相手にチクチク「次まだっすか?^^」みたいなことを言われ、それならばストックも20個くらいあるし載せがてら復活してみるかぁと思いました。載せるに至った責任は全部彼に擦りつけます。(その彼はどうやら自身の作品のリメイクをやっているらしいです)


そんなこんなで戻ってきましたが、あらすじ欄に記載してあります通り更新は不定期になります。申し訳ありません。あくまで小説自体は他の事の片手間に書いている程度なので…。


さらに、前作から2年と経っており作者は前作の細かいことをほぼ覚えていません。

なのであまり無いようにはしますが前作との齟齬が生じている可能性がありますので何卒ご容赦ください。


最後に、今作の主人公は2話から登場します。


それでは今回はこんなところで。

これからまたどらっごをよろしくお願いします。


では、また。

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