79話 天使侵略4日目
天使が侵略を始めてから四日経った。上空から無限のように現れていた天使軍も戦えるNPCとプレイヤーの奮闘によってようやく天使の総数を半分まで削った。そして今ラスタドールでは異常事態が発生していた。
突如としてラスタドール白い龍が現れたのだ。幸いにも危害を加えて来る事はなかったが、その白い龍が現れたことを皮切りにラスタドールに数多のワイバーンやモンスター、亜人が殺到しているのだ。中では基本的に己が領域から出ようとしないエルフまでいたのだ。何故このようになったのか。それは少し前に遡る。
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「やばい……すっごく暇だ」
「まさか近隣の天使は全部片付けられてたとは思ってなかったもんね」
サナ達は能力を試してみたかった為意気消沈とラスタドールに戻ってきたのだ。結果かなり安全になったラスタドールで暇を弄んでいたのだ。
「暇なら……掲示板を覗くか?」
「え?なにそれ面白そう」
そこにガリルからの鶴の一声でサナはOMO内の掲示板の存在を知ってしまったのだ。早速適当なスレッドを検索し書き込みはせずに潜ってみたサナはそこで物資不足に困っているスレ民を見つけてしまったのだ。
「えっと、『初めて掲示板使うんですけど、通常価格で提供できますよ』っと」
そう書き込んだ瞬間あっという間に身バレした。スレ民曰く『龍人の商人はお前しかいない』と、そして早速身バレしたサナは開き直って固定ハンドルネームを『サナ』に変更してその場のノリで支援物資をばら撒くことになってしまった。
「『人手がいります。猫の手でも、ワイバーンの翼でも、鬼の手も、リザードマンの手も借りたいです』と。これホントに集まったらヤバイなあ」
サナはこんな突発的な出来事に人が集まるとは思ってもいなかったが、ここでスレ民の祭り好きを思い知ることになった。
その後本当に集まってきたワイバーンやエルフの集団、ダッシュでヒノクニ(ラスタドールまでおよそ3000km)から来たオーガなどなど、ラスタドールがあっという間にお祭り騒ぎになったのだった。
「こんなにいるならもう少し生産した方が良いかな?材料は今足りなさそうだから……ガリルに頼むか。【レシピ:グレーターポーション×10000】」
これから存在する100の地点に物資を届けるためにサナはすさまじい速度でアイテムを作り終えた。
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「じゃあ、運送方法を言います!まずは私の【加護】を受け取ってください」
「「「「「ん?」」」」」
早速サナが爆弾を放り込み集まった皆が思考停止状態になったがサナは気付かず話を進める。
「飛行できない人は加護でスキルを貸し出すのでそれを使ってください!アイテムはマジックバックに入っているのでそれを運送してください」
「「「「「はえ?」」」」」
更に次の爆弾。集まった皆は話に追いつけずに間の抜けた返事しかできなくなる。
「報酬は私への作成依頼の【優先権】です」
「「「「「ホワイ?」」」」」
最後にようやく分かったことは、サナがとんでもなくおかしい事をまたやらかした事だけだった。そんな困惑する皆を放っておいてサナは次々と【加護】を渡していく。元から飛べる者には【加護(小)】を、飛べない者には【加護(中)】を次々に渡していった。
10分後約500人と30体に加護を授けたサナは輸送する物資を渡すと同時に道中の物資として食料とポーションを別口に渡した。
「届け終わったらちゃんと帰ってきてくださいねー?それじゃあお願いしまーす!」
「「「「「お、おーーー!」」」」」
結局誰もサナの異常なおかしさに口を出せなかった。それに目の前の本人は満面の笑みで送り出してくれたのだ。口に出す気すら削がれた皆は各地に向けて飛び立った。
※
《付与した加護が100を超えました。神格が上昇します》
《付与した加護が200を超えました。神格が上昇します》
《付与した加護が300を超えました。神格が上昇します》
《付与した加護が400を超えました。神格が上昇します》
《付与した加護が500を超えました。神格が上昇します》
《神格を計測します…………完了。【下級神】に昇級しました》
《加護(小)を授けた存在からの供物が捧げられました。魔力を300獲得。魔力結晶に変換されます……魔力結晶を3個獲得しました》
《加護(中)を授けた存在からの供物が捧げられました。魔力を51100獲得。魔力結晶に変換されます……魔力結晶を511個獲得しました》
《【加護】に新しく【魔力結晶交換所】が追加されました》
《ラスタドールの住民が白幸龍を信仰しました。信仰者には自動で【加護(小)】が付与されます。信仰者からの供物が捧げられました。魔力を34800獲得。魔力結晶に変換されます……魔力結晶を348個獲得しました》
……さっきから物凄い量の通知が続いてるけど……これまたやらかした?え?ちょっと加護渡して皆が飛べるようにしただけでこんなに通知来るの!?
《下級神昇級の報酬として新たなスキル【眷属契約】を獲得しました》
《【寵愛】を授けた存在は自動的に眷属になります。シズ、ユズ、レン、ガリル、モミジが眷属になりました》
もうホントに何がどうなってんのさーーーー!!
結城 蓮です。
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また次回会いましょう。