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56話 ゲリラ探索イベント!


 「う〜ん……」


 ガリル達から武具作成の依頼を受けてから3日経過した。でも、未だに納得の行く性能が思いつかない。鍛冶レベルは上がっていってるのだけどはっきり言ってマンネリ化してきてる。


 二人のオーラ(魔力の色)は既に見せてもらっているから問題は無いけどやっぱりいいアイデアは出てこない。


 ファントムさんの装備は大体の設計は終わってもう作り始めてるんだけどガリルに至っては一切進展がない。やっぱりファントムさんのものを終わらせてからガリルのを作ろう。


 まずは時空亀の巨大甲を無駄のないように削って形を作る。ファントムさんはどんなものでもいいと言ってくれているから勝手にやらせてもらう。


 とは言っても甲羅を正六角形に沢山削り取るだけなので必要なのは手間だけ。この甲羅は大きすぎて時間はかかるけど沢山欲しい量が手に入る。


 次に鉱石系素材の共鳴石、そして飛翔石を【生命錬成】で不純物を取り除いてから混ぜ合わせる。完成した素材にユズちゃんに頼んで作ってもらった術式を刻んで、それを削った甲羅一つ一つに【生命錬成】で傷を付けずに内部に埋め込む。最後に少しだけ残った鉱石に時空亀の魔石を混ぜて別の術式を刻んで完成。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名称:時空間自動飛翔防御壁ディメンション・シールド・ドローン


 種類:アクセサリー(指輪)


 Lv1/100


 攻撃力 0

 防御力 5000

 耐久力 100000

 保有魔力 1000

 魔力の色 時5、天空5


 スキル


 浮遊Lv10、飛翔Lv10、短距離転移、

 自己修復【時間遡行】、空気圧縮防護壁、


 制作者:サナ


 (素材:時空亀の魔石×1、時空亀の巨大甲×1、飛翔石×50、浮遊石×50)


 説明:指輪と正六角形の盾×1000枚の防御専用ドローン。指輪が操縦機の役割を持ち自分の意志で操作ができる。オートモード有り


 自己修復【時間遡行】:時を遡り自己修復を行う。欠片さえあれば復活するので実質破壊不可能。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 よし、完成。後はガリル用の刀だけど……どうしようかな……。


 《ゲリラ探索イベントが開催されました!採掘、採取、討伐時に限定素材が排出されます。種類は各五種類になっております。見逃しの無いようご注意ください。尚、制限時間は2時間です》


 うわっ!ゲリライベントっ!?限定素材っ!?やるしかない。


 「久しぶりに武器を手に取らないとね」


 私は久々に【解体包丁】を発動した。


 そして次にあるものを買いに行く。今回の素材を無駄にしないためのアイテムでこれから必須になってくると思うから早めに買っておかないと後で手に付けられなくなる。


 「リュゲイルさーん!【解体】のスキルメモリーくださーい!」


 そう、私が狙ったのは【解体】。この料理スキルに含まれてる【解体包丁】に何かしら関わりがありそうだからというのもあるけど、純粋に取れる素材の質と量を増やしたいから。


 そんな理由でリュゲイルさんのお店にむかったんだ。


 「おお、嬢ちゃんいらっしゃい。元気そうだな。それに、ラッキーだな。最後の1つの【解体】のスキルメモリーだ」


 ギリギリセーフっ!このOMOは商品の品切れがあって、売り切れたらその希少性が高いものほど再入荷に時間が掛かるから本当にラッキーだった。


 「あ、じゃあ『トレントフルーツ』も5つください!」


 「お、よく買うな。値段は20万と行くところなんだが負けてやる。15万だ。お前には世話になってるからな」


 「リュゲイルさん太っ腹〜♪今度またポーション売りに来るねっ!」


 ふっふっふっ……これが日々の積み重ねってやつだよね。やっぱコネは大事大事。


 さて、このトレントフルーツはかなりの魔素(MP)を含んでて食べたら少し体力を回復して、魔力を500回復してくれる少しお高いアイテムで、1つ一万Gするけど今回は無料でくれたみたいになってしまったんだけど、有り難く使わせてもらう。


 今度Aランク帯のポーション売りに行こう。


           ※


 ガキィィィンッと音を立てて鉱脈の一部が崩れ落ちて輝く鉱石を含む石が露出する。サナは笑みを深めてもう一振り【解体包丁】を鉱脈に叩き込む。


 今度は沢山の鉱石が転がり落ちサナの【倉庫】スキルに収納される。アイテムを確認したサナは満足気に次の鉱脈に移動する。ゲリラ探索イベント開始から5分。持ち前のAGIを活かして既に5つの鉱脈を回っていた。


 6つ目の鉱脈を採取し終えたサナは汗などないのだが額を腕で拭い【倉庫】の中身を確認する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ソート:イベントアイテム【鉱石】


 ・魔喰王鋼×5

 魔力と肉体を喰らう金属。生物性素材と加工する。


 ・魔散水晶×2

 魔素を一切通さない水晶。主に魔術防御装備に使用される。


 ・吸魔染色岩×2

 周囲の魔素を取り込み変色する鉱石。主に環境調査用のアイテムに加工される。


 ・万花玉×1

 一度だけ生物の魔力の色と性質を完全に再現する不思議な鉱石。オーダーメイド装備によく使用される。


 ・霊鉱石×1

 特定の強さの魔力を流すと不死性魔物(アンデッド)を活性化させる霊気や妖気に変換する特殊な鉱石。【死霊術師】が喉から手が出るほど欲する希少鉱石。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「……うん、ひとまず鉱石系は全種類取れたけど失敗したときの予備も取っておこうかな」


 サナは再び【解体包丁】を構え鉱床に振り下ろした。今回は運良く沢山の鉱石が取れた。それに気を良くしたサナはどんどん深く鉱床に潜っていき今日何度目か分からない【解体包丁】の振り下ろしをした。


 すると見たことのない建造物の一部のような破片が出土した。


 「なにこれ?人形?」


 それは石を削り出して作られた人の形を模した物だった。何やら両手ほどある武器を持ち兵士のような格好をしていた。サナが首を傾げているとシステムアナウンスが響いた。


 《古代遺跡【ルーバニア】を発見しました。結界の一部に触れた為入口が出現します。クエストが発生しました。古代遺跡【ルーバニア】の第一発見者になりました。3日間独占して遺跡を探索できます。》


 《プレイヤーで始めて古代遺跡を発見しました。称号【古代遺跡探索者】を獲得しました》


 「え?古代遺跡?結界の一部って石人形(コレ)?」


 サナは先程の石人形を手にとって見るが特に魔術的な気配は天龍眼でも見当たらなかった。


 「でも、始めて見つけた古代遺跡だから見ておいて損はないよね。それにイベントも遺跡からの採取とモンスターの戦闘で取れそうだし」


 意図せず古代遺跡を見つけたサナは迷ったが3日間の独占と未知の素材に惹かれて迷宮探索を開始した。入口を探すのが先決だが。


 暫く鉱石を採取しながら奥に進んでいくと本来は大きいであろう入口の一部が岩肌から露出して入口を作っていた。


 中に入れば埃にまみれているが比較的綺麗な状態の王城といった雰囲気の内装になっていた。内部は暗いのだが天龍眼の効果なのか視界は昼のように良好。万全の探索が可能になっていた。


 「意外と綺麗だなぁ……あっ!壺発見!」


 そして、暫く歩けば何やらオブジェクトを発見した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 鑑定不能


 名称:古代の壺


 説明:古代の壺だ。【考古学者】なら何か知っているかも?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 中にはスキルメモリーが入っていた。


 「いやっ!説明少ないって!」


 鑑定が効かないのではどうしょうもない為結局そのままサナは奥を目指す。だが、道に迷うことはない。


 【地図作成】のスキルを持つサナには迷子の心配はない。現実を除いて。その後も弱いスケルトンやゾンビ等を撃退しつつアイテムを集め進んでいったサナの前に重厚な扉が立ち塞がる。


 恐らく王の間なのだろう。5メートルを超える高さの騎士像2体が扉を守るかのように仁王立ちしている。


 いかにもボス戦といった雰囲気の部屋を前にしてもサナはなんの迷いもなく進んでいく。


 内部は高い天井と赤い花道、シャンデリアが飾られ王の権威を示すかのような長い通路になっていた。


 そしてその歩みが玉座の前にたどり着いたその瞬間、玉座に座していた時が経ち骨だけとなった王だった呪怨骸骨王(カース・ロード)が立ち上がり怨骨死兵軍団(カース・アーミー)を喚び出した。


 それはすべての兵が骸骨馬(スカルホース)に騎乗しており生半可な者では相手をすることすら叶わない。


 かつて最強と呼ばれた騎士集団の成れの果て、死して尚君主の矛として侵入者を排除するべく骸骨馬を走らせるが、先陣を切った一体の兵が侵入者(サナ)に呆気なく散らされる。


 「【窃盗(スティール)】……これ便利だね」


 そう一人呟いたサナの右手には1つの魔石が握られていた。


 サナは【倉庫】に魔石と兵を仕舞うと怨骨死兵軍団に向かって駆け出した。それに反応して攻撃を開始する骸骨兵たち。投擲、剣術、魔術、集団戦、どれに持ち込んでもサナにかすりもしなかった。いや、正確には当たってもすり抜ける(・・・・・)のだ。


 「「「「「!!!???」」」」」


 困惑する骸骨たち。そして自棄になり大振りの攻撃が増える。しかし当たらない。対処のしようもない相手に何時しか彼らは立ち尽くすしかないのだった。


 そんな彼らを嘲笑うかのように蹂躙を始めるサナ。その中で一人の骸骨は失いかけていた意識で願う。


 ―――夢なら覚めてほしい―――と。


 一人残さず棒立ちしている怨骨死兵軍団を眺めながらサナは興味深げに眺める。近寄ってコンコンと頭をノックするが一切反応しない。まるで立ったまま眠っているのかのように。


 「どんな夢見てるんだろ……試しに作ってた『永眠香』かなり便利だね」


 しかしそれの原因はサナの自作した強力状態異常付与アイテムの効果だった。


 強力な依存性と毒性を持つ『エンジェルローズ』の密を濃縮しトレントから作ったタブ粉と混ぜ合わせ固形化し作り上げた特製のお香だ。


 エンジェルローズは魔力、味覚、嗅覚を介して侵入しその睡眠毒の過剰摂取による外敵の排除を行う魔界の花で地元民でも死亡者の絶たない危険物なのだ。


 そんな香を焚かれた怨骨死兵軍団は一溜まりもなく無力化された。


 「【捕縛】、【窃盗(スティール)】」


 そしてそのまま拘束され全員が魔石を抜かれ討伐された。


 「さっき取ったけど、このスキル私のステータスとの相性良くて助かったなぁ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 窃盗(スティール)


 プレイヤー、NPC、モンスターからアイテムを盗むことができる。帰属性の物と、抵抗されれば盗めない。窃盗品はLUKに依存する。盗難の防止には【倉庫】に収納するか【窃盗無効】スキルを取得する必要がある。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そう、先程のスキルメモリーに記録されていたスキルは【窃盗(スティール)】で、LUKの高いサナに相性の良かったスキルだった。


 そして、魔石を直接抜いたことも討伐に加算されるのか限定ドロップも幾つかドロップした。これで限定ドロップ全ての素材が揃った。採取に関しては壺やら花瓶やらの回収で何故か獲得できた。


 「あ、ボスはこれでいいや」


 目的を果たして最早ボス戦等やる気のないサナはボスにあるアイテムを投げつけた。それは物納スライムを作る際の失敗作で発動した途端際限なく物を仕舞うためお蔵入りしたアイテムの一つだ。


 その発動状態で偶然近くにモンスターがいたがそのモンスターは失敗作物納スライムに瞬時に呑まれ綺麗なバラバラ死体となっていた。今では調整ができるようになり簡単解体機になるのでサナが愛用しているのだった。


 因みに容量いっぱいまでアイテムを収納すれば自然と停止するが、いかんせん整理に手間取られるため誰も欲しがらないだろうとサナは判断したのだが、一部のモンスターにとっては特効薬並みに通用するので本来なら需要も出るのだがそれはタラレバの話である。


 発動状態のその失敗作物納スライムこと解体用スライムはボスを一気に呑み込んで消し去り綺麗に解体された素材として帰ってきた。


 「え?嘘……本当に倒せたんだけど……」


 しかしそれだけで倒せるとは思ってもいなかったサナは拍子抜けしたように呟く。


 そんなサナを置いてアナウンスが響き始めているがそんなことは頭に入らないほど驚いているのだ。


 《始めて古代遺跡を攻略しました。称号【古代遺跡踏破者】を獲得しました》


 《プレイヤーで始めて古代遺跡を攻略しました。称号【先駆者】を獲得しました。功績を認められました。条件:古代遺跡関連称号3つ獲得。最適報酬を選別……完了。新たにスキルと称号を獲得しました》


 《称号【古代遺跡探索者】、【古代遺跡踏破者】、【先駆者】と引き換えに称号【古代の理解者】を獲得しました。称号【古代の理解者】を獲得しました。スキル【古代語魔術】を獲得しました》


 《古代遺跡ルーバニアの攻略に成功しました。スキル【王の鼓舞】を獲得しました》


 《古代遺跡ルーバニアの攻略に成功しました。攻略特典が贈呈されます》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 古代遺跡ルーバニア攻略特典


 ・輪廻の果実(現在使用不可)

 ・スキルカスタムツール(消耗品)

 保有するスキルを1つ改造できる特殊ツール。

 ・開放の鍵

 特定のスキルの限界を突破させる鍵。スキル1つに付き鍵を1つ使用する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 王の鼓舞


 王として認められし者のスキル。自身の周囲100メートルにいる味方の全ステータスを1,5倍に強化する。※パッシブスキル



 古代語魔術


 現代の魔術を古代語を用いて使用するスキル。現代魔術とは効果が変わる。また、古代語魔術の付与も可能。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「えっ……こんな簡単なボスなのに凄い報酬が美味しい!」


 初めての古代遺跡攻略とプレイヤー初めての古代遺跡攻略を成し得たため凄まじい報酬を獲得していた。


 特に【古代語魔術】は希少性が高く、本来の獲得方法は実際に古代遺跡内部の古代語の解読をしなければ獲得出来ない。


 さらに古代語は実際に覚えてもスキルを獲得してからは一切使用しないため好んで取得する者が居ないことが現状である。


 そしてスキルを確認していたサナが【古代語魔術】のとある一文を見て目を見張る。そのまま顔を上げて自分に言い聞かせるように呟いた。


 「…………あっ!これなら作れるかも……!!」


 何かに気づいたサナは目にも止まらぬスピードで古代遺跡を後にしたのだった。


           ※


 「…………出来た〜〜っ!!」


 私は武具の完成に嬉しくなってつい叫んでしまった。できたよっ!最高の武具が!


 ホレホレ見てみなさ〜い今の私の最高傑作をっ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名称:滅刀・奈落 Lv1


 種族:???


 攻撃力:666

 耐久力:ーーー【破壊不能】

 保有魔力:6666

 魔力の色:ウツロイ10(初期装備者の色に変わる)


 スキル


 闇霊狼、霊装展開、捕食1、



 闇霊狼:1体の黒魔狼王を宿しており使用者の意志で具現化し、戦闘補助、騎獣の役割を果たす。


 霊装展開:闇霊狼の黒魔狼王を装備として纏うスキル。


(制作者:サナ

 使用素材:黒魔狼の魔石×1、黒魔狼の巨大牙×1、魔喰王鋼×5、万花玉×1、霊鉱石×5、極闇闘牛の柔皮×1、効果付与巻物エンチャント・スクロール【破壊不能】×1)


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 いやー大変だった!え?どこらへんがって?殆ど全部だよっ!


 【生命錬成】で、牙と鉱石達を1つに混ぜ合わせて刀状に加工したりとか。


 他にも私の魔力の色のウツロイだけを武器に綺麗に移したりとか。


 霊石を使って何とかガリルの倒した黒魔狼を守護霊役みたいな存在に作り変えたりとか。


 挙句の果てにはその黒魔狼を装備化させるなんて荒業までやったんだから。


 もう、貴重なはずの効果付与巻物エンチャント・スクロール【破壊不能】がオマケみたいになったよ!


 そう言えば滅刀・奈落(コレ)が出来たときに虹色のエフェクトが出たけど、多分いい効果何だと思う。ネットを見てもこの現象は見た人がいないから分からないけどね。


 さて、納品しに行こう。楽しみだなぁ。

先週はちょっと急な用事でかけませんでした。その分今回少し長いのでそれで許してください〜。


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[一言] ダニィ!?超絶レアなプレイヤーメイドの武器を自分で使わず納品するだとぉ!?
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