47話 ファントムの魔導国家暮らし
―――魔導国家ルーン―――
その地はかつての魔法の開祖の生まれ落ちた地であり、今尚魔術の最先端をゆく魔法国家である。毎日のように魔術が飛び交いより深い魔術の深淵を覗くために生活の至るところに魔術に関する書物や触媒、記録表が見られる。
そんな場所に降り立ってしまった俺は少しだけ愚痴を言いたくなる。「なんでこんな物騒な国が出身地なんだ」と。
でも、なってしまったものは仕方がない。兎に角アップデートでアイテムが持ちきれなくなってきているので今は宿屋かマイハウスを購入しなければ捨てなければいけなくなってしまう。
倉庫スキルは持っているがその容量を限界なため早急に購入しなければいけない。一先ず【鑑定】で店を探せば―――あった。
俺がその店―――建築会社―――に入店するとすぐに通された。
「いらっしゃいませお客様どのような家をご所望で?魔術実験場や魔法植物栽培スペースまで何でも揃えさせていただきますよ」
中で待っていたのはどことなく侮れない雰囲気を持った小太りのおっさんだった。右手に電卓、いや、杖を持っていて乱暴な客は成敗できる様だ。
「ああ、取り敢えず大きな倉庫が必要だな。魔法植物栽培スペースとやらも用意してほしい」
「かしこまりましたそれでは―――」
※
話がまとまり早速家が作り上げられた。5分で。
これで荷物が落ち着くな。うん?いくら掛かったか?野暮なことは聞くな、決して予算オーバーで懐に傷が入ったくらいなんてことはないのだから。
この家の位置はこの国の商業区画近くであり買い物もスムーズに行える。中々に良い立地の場所に建てたものだ。その立地でここまで予算が―――いや忘れよう。
さて、一段落もついたことなのでステータスを振り直そう。
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名前 ファントム 男 Lv48
職業:災害の魔導師
災害の魔導師:大魔法に特化した魔導師。地殻変動を引き起こす程の強さを誇る。
SP1 0
SP2 0
生命 1000/1000
MP 3000/3000
STR 200
VIT 200
DEX 200
INT 2650(+1500)
LUK 50
AGI 200
スキル
魔導眼Lv10、天眼Lv9、元素魔術Lv7、
精霊魔術Lv3、無属性魔術Lv6、
空間魔術Lv1、魔術付与Lv7、
召喚魔術Lv1、契約魔術Lv1
補助魔術Lv9、呪怨魔術Lv6、回復魔術Lv7、
魔術創造Lv10、杖術Lv9、杖技Lv9、
魔力回復速度上昇Lv10、魔術強化Lv10、
魔術独立化、魔術構築強化、多重詠唱Lv10、
高速詠唱Lv9、覇気Lv3、疾風、
属性剣、超改造、倉庫Lv4
無属性魔術:属性を持たない現象を引き起こす魔術。
空間魔術:空間を制御し転移や収納を可能にする魔術。
杖術/杖技:杖を用いた物理戦闘用の技術を扱える者のスキル。
創造魔術
天候魔術Lv7、茨の束縛、
回復不能、反重力化
天候魔術:プレイヤー『ファントム』が創造した魔術の集合系統。天変地異や地殻変動を引き起こす種類の魔術が複数含まれている。
茨の束縛:プレイヤー『ファントム』が創造した魔術。対象を拘束し固定1ダメージを毎秒、魔術が解除されるまで持続する。
回復不能:指定した対象の回復行為を禁ずる魔術。正確には身体があらゆる回復行為を受け付けなくする魔術。製作者ファントム。
反重力化:指定した対象に掛かる重力を反転もしくは無くし地上での活動を制限する魔術。製作者ファントム。
装備
頭:伊達メガネ【暗視】
胴:ボロ布のマント
防寒着【寒冷無効】
寒冷無効:寒冷地域での活動が可能になる。
腕:ミサンガ
腰:アイテムポーチ
脚:耐火性ブーツ【火耐性】
杖:古の腕時計【不変】【成長】【過去視鑑定】
INT+500
過去視鑑定:対象の過去を覗き見ることができる。骨董品向け。
トレントの杖
称号
厄災、天候王、殺戮者
厄災:プレイヤー、モンスターに関わらず一定の災害を引き起こした者に送られる称号。効果:スキル【魔術構築強化】、【魔術独立化】獲得。
天候王:天候魔術のレベルが5を超えた者に送られる称号。効果:INT+1000、天候魔術製作者はスキル【超改造】を獲得。
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よし、問題ないな。さて、取り敢えず近場のフィールドにでも向かってレベリングでもしよう。
なんて、市街地から出ようとすると三人組の男がこちらを見ていた。
何やら全身を隅々まで品定めするようにまじまじと見られているのがわかる。さっさとフィールドに行きたいのだが残念なことにその出入り口の門にその三人組が立ち塞がっているのだ。
意を決して門に向かって歩けば当然のように前を塞がれた。
三人組はガラの悪い出で立ちをしていて、第一印象は当然不良。当然のように革ジャン。肩当ては棘付き。やけに露出も多い。立派な世紀末系のやつだ。しかしこれは装備として大丈夫なのか?
だが、見た目に反して装備はそこそこ良いものを着ている。今の俺の装備より格段と。まぁ何事もないといいな、なんて通用するわけもなく絡まれた。
「よぉそこのおっさん。貧相な装備だなぁ?そんなんだとあっという間に殺されちまうぜぇ?」
と、一人目であるモヒカン男。色は金髪だな。
「そうそう、イカス時計は格好いいがそれ以外はお粗末だぜぇ?」
モヒカン男に追従して、モヒカンBもさり気なく褒めながら迫る。こいつは青
「だからよぉそこの『セーキマツ』って店で出直してからここを通りなぁ!?」
更にモヒカンC。もう、店の名前までお前ら合わせかよ。ん、でもあれ?これは絡みではなく心配か?こいつに至ってはなんだコレ?虹色……?
「俺たちゃこんなナリだがぁこの街から先ある若者がホイホイおっ死ぬのは殺したいほどむかつくんでなぁ」
モヒカンA……お前良いやつだな。
「割引券もありすぎるほど持ってっからよぉこれ使えや」
モヒカンC……!
「俺たちを出せばあの癖モン爺さんも贔屓にしてくれらぁ」
モヒカンB……!
「「「ほら行って来いや」」」
俺は3人に大量の割引券とモヒカンAの紹介状を手渡されS級装備店『セーキマツ』へと入店した。
中では一人の中年のおっさんが革を弄りながら店番をしていた。種族はドワーフか?ドワーフといえばそれはそれは偏屈だという職人気質の人が多いと聞いているが。
「すいません買い物を―――」
「帰れ!!」
「っ!!?」
「―――と言いたいが彼奴等の紹介だろう?」
一瞬途轍もない怒鳴り超えに体が硬直したがこれは威圧スキルの効果だ。上位スキルの覇気でなんとか打ち消す。
ガチモンの偏屈ドワーフだと内心思っていると、目の前にいきなり服や革鎧が積まれていた。なんだ、何が目的で?
「ホレ、貴様にはそれがお似合いだろう。値段は……どうせ文無しじゃろうから漬けといてやる。さっさと帰りな」
困惑していた俺に偏屈ドワーフが告げる。聞きたいことが多いが、俺が口を開く前に俺をつまみ上げて装備もろとも追い出されてしまった。
「何だったんだ」
まぁいい。せっかくの装備なので性能を見てみるか。
「…………っ!!??」
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覇王の伊達メガネ【攻撃予測】【視力強化】
頭用装備。かつての覇王の愛用していた伊達メガネ。INT+500
掛ければ相手の動きを予見し、目も良くなる。
覇王のスーツ【不燃】【不凍】
胴用装備。かつての覇王の愛用していたスーツ。VIT+500
燃えない、凍らない。
覇王のミサンガ【幸運】
腕用装備。かつての覇王の趣味で作られたミサンガ。LUK+500
なんとなく運が良くなりそう。
覇王の革ポーチ【ストレージ】
腰用装備。かつての覇王の愛用していた革ポーチ。日ためと裏腹によく入る。
倉庫の上位スキル持ち。
覇王の革靴【疾風迅雷】
脚用装備。かつての覇王の愛用していた革靴。とても早く走ることができる。AGI+500
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何故か覇王本人の服のお下がりを頂いていた。しっかり【鑑定】しているから間違いはないのだが……性能が良すぎて怖くなる。漬けられているけどいくらするんだコレ?
そんな怖い考えが巡ったがそれを振り切るように俺は門に向かって、歩き出した。
結城 蓮です。
寒いです。今日は食事以外布団から出ずに作業してます。
ちょっと今までの投稿を書き直すかもしれません。まだまだ拙いので精進していきます。
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また次回合いましょう。