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46話 其の忍と無神論者は再び相まみえる


 時はしばらく遡り、その場所をヒノクニへと移り時は刻みだす。


 相変わらず剣術を反芻してその身に刻みつけるように如月を振るうシズはただひたすら無心に体が動きを覚えることを待っていた。


 何故と問われると返す言葉は決まっている、いや、決められていた(・・・・・・・)


 それは主たる人物を守り、害する者を斬り伏せる刃となること。彼女の生まれ落ちた本城家はとある家に属する家臣であり、幼き頃からその身に武芸を宿すことを義務付けられているのである。


 ある意味で習慣とも言えるが、定めれた掟でもある何とも言えない"習慣"だった。


 「早く合流しないと……いくらここでもとは言っても直らないからね……」


 自嘲気味に独り言を呟くシズ、今回出身地が決まってしまう仕様は予想外だった。お陰で少し焦りが生じ普段しないような独り言まで漏らしてしまっているのだから。


 《システムによる解析の結果、『本城流守護剣術』を検出しました。…………命令受諾。構築されたデータをインストールします…………インストール完了。これより『本城流守護剣術』に【剣技補正】が加わります。熟練度、修練度の測定に成功しました。スキル【本城流守護剣術Lv7】【本城流守護剣技Lv6】を獲得しました。》


 だが、反復練習はシステムに届いたようでスキルとして補正が加わるようになった。


 剣技補正とは【一文字】のようにシステムに存在する"技"の攻撃力やクリティカル率に上昇補正を与えるもののことである。つまりこれからシズの現実(リアル)の剣技がこの世界で"技"として扱えるということであり、そこいらのスキルより遥かに強くなっているだろう。


 「レベルがカンストしていないということは、まだこの剣術には先がある……まだ先は長いね」


 だが自身の炎剣技も怠らない、というより炎剣技を本城流守護剣技に応用していると言うのが正しいだろう。


 そして、剣を振り続けていたシズだが、街が騒がしくなり中断してモンスターの発生を期待して路地を通り街に出ると珍しく外国からの来国者が居たようだ。


 くだらないと一蹴して戻ろうとするがシズを呼び止める声に足を止める。


 「あっ!?シズさん?シズさんだー!まってーー!!」


 ユズである。実はこのヒノクニ、最も近い国に神聖国家ホリマーズがあり、その出身であるユズが『いかにも極東の国』といった文化のヒノクニをひと目見たく徒歩で不法入国もとい観光に来たわけだが、その距離なんと約5千キロメートル。


 馬なども使用できるのに対して徒歩である。軽々しく入国しているが馬鹿にならないほど難しい屈強なモンスターや盗賊を出るためほとんど無謀。端的に言えばユズは時たまアホであると言えるだろう。


 「あら、ユズちゃん。よく来たねいらっしゃい。偶然出身地が近かったみたいだね」


 そんなことは露知らずシズはユズを待ち歓迎の言葉を告げる。


 「はいっ、もうそろそろお姉ちゃんや虎式さんにも合流しないとって思って近いところに来たんだけどシズさんにあっちゃいました」


 笑顔を絶やさず丁寧に年上を立てて言葉を返すユズ。だが、その言葉の中に無視できない単語があった。


 「虎式って大輝もここに?」


 「はい、リアルで本人から聞いたんですが、お姉ちゃんがOMOやってるのを聞いて興味を持ったらしいんですけど……」


 言葉を濁すユズだがこれから先は二人はその答えを分かりきっている。


 「過保護だね。前のゲームでも影からアシストしてたし」


 「でも、それだけ気にかけてくれてるんですよねお姉ちゃんを」


 虎式大輝。シズこと海と同じ主に仕える家系の三男で兄弟の中より特出した身体能力と判断力により影の守護者、暗殺者として主をそばで守護する存在として育てられた男である。真名は明らかではないがこの名が最も多く使用されている。


 「そうだね、でもアレはもはや妹だよね。いくら守るべき主でも本人が砕けた口調にしろって命令してる以上は本人が思ってるように扱わないといけないんだし」


 これが大変なんだわ〜と嘯くシズにユズは苦笑しつつも嗜める。


 「まあ、普段金本家の後取り候補で自由が余りないんですからそれくらいは許してください」


 そう、海たちが仕える家は金本家でとある技術を秘術として伝えているためサナ―――美波―――はよく身柄を狙われる為学校以外への外出が殆ど認められていない。


 ユズ―――叶海―――は妹だがそれは見てくれで、本来は分家の従姉妹というのが正確な血縁関係だ。なぜ妹にしてあるといえば、誘拐未遂なども幼い頃から経験するため、その際心が折れないよう支えるため叶海は妹として育て上げられたのだ。


 「まあ、うん、わかってるよ。じゃあ取り敢えずラスタドールに行く手段考える?サナからはラスタドール(そこ)から魔界とやらに行けるって話だったけど」


 話を戻しシズが今後の動きを提案してくる。


 「そうですね、それに丁度いいのでその際ギルド本部を作りましょう」


 それに応じユズも、提案を返す。


 ギルド本部とはプレイヤーで結成したギルドの本拠地でプレイヤーの(ホーム)にもなる大きな建物のことである。それだけではなく所属するだけで特定の効果を受けたり、ギルドクエストという特別なクエストを受注することが可能になったりと幅が広がる為、既に結成しているところも多い。


 また訓練所があり何時でも模擬戦を行えたり、生産職専用のスペースまで確保されているため快適としか言いようのないものなのだ。だが、創立にはとても面倒な手続きや必要アイテムがいるが。


 「なるほど、それは確かに良いね。そうと決まれば早速ラスタドールに向けて出発だ!」


 「りょーかいですっ!!」


 意見が纏まり意気揚々と出発する二人。二人に唯一欠点があったとすれば即時即決といったところだろう。


 地図、アイテムも整えずヒノクニを飛び出したのだから。

結城 蓮

風引いて遅くなりました。

ふざけてる。コロナで予防同時にできてたのに。まさか体の冷えからいくなんて。喉ガラガラだよ。

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また次回合いましょう。

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