閑話 ???
某所、PM9:00。
電化製品の稼働する音が微かに聞こえる薄暗い建物の中で4つの人影が密やかに会話を交わしている。
ビルの様な建物の様だが部屋の外からは不自然なほど音がなく部屋の不気味さを引き立てている。
「……どれ程リンクした?」
声のトーンが少し上がり日常会話程度の声量になり人影の1人―――軽くしゃがれた五十代後半男性だろうか―――が自身の正面の人物に問う。
その人影は手元にあったノート型PCを弄ると文章読み上げ機能が代わりに言葉を紡いだ。
『5%程デショウ。偶然発見シタ領域トハ言エソコニ干渉スルコトハ用意デハナイ。逆ニ、ヨク2ヶ月デココマデ干渉デキマシタネ』
無機質な声が響き周囲がより一層不気味になっていく。だが当の本人達は意に介せす話を進めていく。
「プロト0の制御は問題ないか?」
男が誰と知らず問うと今度は先程の人物の左にいた人物が返答を返した。
「かなり厳しいわね。アレは好き勝手にシステムを弄ってる。今の制御プログラムは突破されてしまったわね。至急新規プログラムを作成させてるわ」
今度はかなり若く高いトーンの女性の声だ。
声は更に続ける。
「しかもそのせいで向こうの法則を捻じ曲げたりして共通点が無くなっていくから干渉率の低下にも繋がっているの」
『問題ハナイ。アチラハコチラガ絶対ノ法則ナノダカラ、捻ジ曲ゲラレタ法則ニ従ッテ行クダロウ』
現状を報告しとても嫌そうにため息をついた女声に機械声がフォローを入れた。
そのフォローを聞いて少し肩の荷が下りたとでも言いたげな女声はそのまま引き下がった。
そして黙っていた最後の一人が口を開く。
「プロト0が好き勝手するのは仕方ないっすよ。誰だって人柱にされた挙げ句狭い部屋から出られないって知ったら、みんなこうなるって分かってるっすよね?」
若い男の声で軽率そうな声色でこの場に合わない雰囲気なのは口調から見てもそう言えるだろう。が、それを声にして発することはない。
「そんなのは分かっておる。して、共鳴が始まった者はいるのか?」
しゃがれ声が男を軽くあしらい女声と機械声に問う。
「5人ほど僅かに共鳴が始まっているわ。とは言っても感覚が少し強くなる程度だけれど」
『僅カニナガラ、エリアモ向コウノ地形ニ変ッテイッテイル』
その回答に満足いったのかしゃがれ声は椅子に腰掛ける。しかしふと遠い目をして呟いた。
「あの一族が協力してくれればこの計画も楽だったのだがな」
が、その声を拾う者は居なかった。研究員と思われる男が駆け込んできたからだ。
「緊急連絡致しますっ!プロト0がシステムを大幅に改変しましたっ!リンクが、1%を切りましたっ!」
その言葉にその場の全員に緊張が走る。しかし行動はすぐに起こった。
「プログラム構築班に連絡、至急プログラムをプロト0に発動。続いてシステムの修復を開始」
女声が即座に指示を飛ばす。警報装置が起動し人員を総動員させるためのシステムが作動した。
途端に騒がしくなるが近隣から苦情というものが一切来ない。またそれが不気味だがそれを気にする者などいないのだが。
そこに別の人物が訪れ女声に報告する。
「プログラム構築班から連絡、厳重に封鎖され侵入できませんっ!また侵入を誤った場合プログラムが定着する仕組みのようですっ!」
その報告を聞き女声は盛大に舌打ちしプログラム修復を中止することを命じる。そして爪を噛み苛立ちを表しながら女声は部屋から出ていった。
そして、その光景を捉えていた防犯カメラの映像をハッキングで覗き見していたプロト0:●●●●は一人呟く。
『私を思い通りにするのは100年早いよ。私がここでは神様なんだから』
一人嗤い新たな法則を思案するのだった。
結城 蓮です。
まだ自信は無いけどこれを後で理想通りに繋げられたらいいなって思う。
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また次回合いましょう。