40話 その暗殺者魔術の世界に降り立つ。
《サーバーアクセスが完了しました。ようこそOMOへ。
新規登録を始めます。身体スキャン開始―――完了。戸籍情報より性別を男性で固定しました。
名前の設定が完了しました。ガリル様。ご帰還ありがとうございます。
外見設定が完了しました。
職業【弓士】を選択しました。
ステータスの設定が完了しました。
スキル取得が完了しました。
以上でアカウントが完成しました。
ランダムスポーンを開始します。
スポーン開始。目的地はラスタドールです。》
※
「ふむ……」
キャラクターを設定してゲームを始めてみたが、かなりグラフィックが凝っている。
初めに抱いた感想はそうだった。そう思うのは当然と言えば当然で、荒廃した都市や荒野しか広がっていないGBOとは違い、とても多くの情報が広がっているのだから。
「これはアルサト……いやサナも楽しむだろう」
それだけ綺麗な風景だった。さて、まずは能力を確認せねば。
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名前 ガリル 男 Lv1/100
職業:弓士
ステータスポイント(SP1) 50
スキルポイント(SP2) 100
生命 100/100
MP 100/100
STR 0
VIT 0
DEX 0
INT 0
LUK 0
AGI 0
スキル
なし
装備
頭:なし
胴:見習い弓士の革鎧(軽)
腕:なし
腰:アイテムポーチ(※アップデートで実装されました。)
足:見習い弓士の軽靴
主装備:木の弓 (残弾:20)
副装備:バトルナイフ
称号
なし
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ひとまず最も役に立つ能力を取らなければな。
ステータスは振らずに素の力でどれだけ戦えるか把握しておけば、ステータスも上手く振れるだろう。
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獲得可能能力(弓士推奨)
消費SP2:10
狙撃、跳躍、遠視、集中、遅延、貫通
消費SP2:20
加速、連射、速射、剛射、曲射
消費SP2:30
追撃、罠師、遠射、散射
消費SP2:40
回避、鷹目、感覚強化
消費SP2:50
属性付与、状態異常付与、弱点看破
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なるほど、詳細を見る事も出来ると。この中のスキルは恐らく自力獲得できる物もあるだろうから、それ等は却下だ。俺なら―――
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SP2 100→0
獲得スキル
跳躍、加速、遠視、集中、遅延、追撃、加速
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この中でも特に気になった能力が【加速】と【跳躍】そして【遅延】だ。
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加速:その名の通りの能力。使用時間1分。
最高速度は発動時間最後地点で60/h
再使用まで5分。消費MP10
跳躍:任意の方向に一定の距離分跳躍する。
消費MP5
遅延:あらゆる現象を遅らせる。
消費MP10 対象が自身なら0
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上手く行けば思いついたことを実行できる。サナの役にも立つだろう。
「【遅延】、対象:Lv」
《レベルアップが【遅延】の効果より遅れます。解除するまでレベルが上がりません。》
成功したな。さて、これからステータスの基礎値を割り出そう。
「っと……その前に、【加速】【遅延】、対象:最大発動効果時間を0.1秒に設定」
《スキル【加速】の効果時間が極端に短くなりました。時間が余りました。想定外問題発生。システムに接続……完了。新規プログラムをロード……完了。スキル【加速】の性能が変更されました。》
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加速
その名の通りの能力。使用時間1分。
最高速度は発動時間最後地点で60/h
再使用まで5分。消費MP10
使用時間を短縮した場合残りの時間はノーコストで使用できる。
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上手くいった。最高時間が効果時間の最後なら効果時間を短くすれば効果を直ぐに引き出せる。
計算すれば俺ははじめの一回分消費するだけで後は加速を600回はノーコストで使用できることになる。
今は恐らく俺だけが使える技術だろう。【遅延】優秀だな。
さて、気を取り直して基礎値の測り方だが、ほとんどのゲームは初期値はたいてい全てのステータスが統一されていると仮定して行うのであまり期待はできないが、1番わかりやすい│攻撃力《STR》を見れば大まかに分かるだろう。
そして、その測り方は……。
目の前のスライムを殴るのみ。
このスライムは街の訓練所という施設の防御力0で生命1000のサンドバッグ的立ち位置の訓練用MOBだ。ちなみに経験値は入らない。
そして俺が与えたダメージは……。
《スライムに1のダメージ!》
なるほど、では次は訓練室のナイフ(攻撃力3)で斬りつける。
《スライムに16のダメージ!》
次は訓練室の剣(攻撃力5)
《スライムに26のダメージ!》
次は戦闘槌(攻撃力6)
《スライムに31のダメージ!》
……これでステータス無振りの基礎値が断定して表せそうだ。
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ステータス基礎値の暫定値
STR 5
VIT 5
DEX 5
INT 5
AGI 5
LUK 5
備考:恐らく5増加毎にダメージが1ずつ増加する。
確定
攻撃力=武器にもあるであろう基礎値÷5
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ステータスを振れば今後の成長をより効率的に出来るだろうがこれは保留して、今できる最重要事項を済ませよう。
面白い能力が生まれそうだ。
※
俺がやってきたのは図書館。ゲーム内の情勢や文化、言語あらゆる情報が収められた所謂OMOのグー○ル先生と言ったところだろう。
やはりまずはこのゲームの看板である魔術の書物(正式名称は【魔導書】)の初級編を読んでおきたい。
魔導書のコーナーは……ん?カウンターの雑誌置き場に何やら魔導書らしき物が……。
「ふむ……『魔術の概念を知ろう!〜初級編前の基礎編〜』か、何事にも基礎は大事だよな。読ませてもらおう」
※
さて、判明したことは魔術にはいくつか種類があり、得意とする分野がそれぞれ違うことだ。要約するとこうなる。
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分類
攻撃魔術、防御魔術
補助魔術、創造魔術
独自魔術、領域魔術
精霊魔術、召喚魔術
属性
火、水、風、土、闇、光
無、時、創造、その他諸々
媒介
杖、符、魔石、宝石、その他諸々
・上記の3つの要素を組み合わせて初めて魔術が発動する。
・独自魔術は個人が作り上げた魔術を指す。
・領域魔術は広範囲に影響を及ばす大魔法を指す。
・属性は種類が膨大で組み合わせによっては非常に強力な魔術になる。
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つまり初歩の初歩、概念を学んだ訳だ。まだまだ残ってはいるがいつかは読み終えられるだろう。
《プレイヤーで初めて『魔術の概念を知ろう!〜魔術入門前の基礎編〜』を読破しました。魔素感知能力が僅かに向上しました。すべての系統の魔術習得が解禁されました。脳波解析による理解度の測定結果により一定の基準を満たしました。転職の可能性が生じ、魔術師への転職が可能になりました。》
なるほど、他のプレイヤーは誰も基礎編の蔵書を読まなかったのか……やはり基礎なしでは何をしても中途半端になるだけなのにな。
それと、体に血流のように流れるエネルギーを感じる。説明によれば『魔素』だろう、小説などでは自ら操作できる描写が多い。
やってみるのもいいだろう。
結城 蓮です。
急な仕事が入って先週出せませんでした。すいません。
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また次回会いましょう。