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39話 生産職は天職でした。


 「色の見方を教えて下さいっ!」


 無理を覚悟で私は店主さんに頭を下げた。色を見ることができなければ私はそこそこでしか働けない中途半端になってしまう。


 それだけは嫌だ、これから仲間のために沢山作らないといけないから。


 こうして頭を下げ続けるサナを見た店主は軽く笑いサナに告げる。


 「そんなことか。頭下げるような事じゃねぇよ、こっち見な」


 言われて顔を上げると目の前にリュゲイルが居るものだからサナは少し驚き後ずさった。


 驚かせる事を予想していたリュゲイルは「悪いな」と謝りながらサナを店の隅にある商談スペースに座るよう促しサナも素直に従い対面で話し合う形になった。


 「さて、色の見方だが……ぶっちゃけ大雑把にしか分からん」


 軽く空いた言葉の間にわざとらしく喉がなったが予想外の言葉に少し躓くサナ。


 その様子を見てリュゲイルはサナに幼い頃の愛娘(ミュゼ)のお茶目な姿と重なり僅かに感傷に浸るが切り替えて説明を続ける。


 「はっきり言えば【魔力感知】【鑑定】【天眼】etc……感じたり視たりする事の得意な能力に頼るんだ。なくても慣れれば僅かな空気の違いで判別できるが、おすすめはしないな」


 「あ、【天龍眼】持ってますっ!」


 少し不安そうにサナが告げる。提示された名前に含まれないが、元が【鑑定】と【魔力感知】だった為ひとまず口に出したのだ。


 だが、その名を聞いてリュゲイルは少し驚いた。


 (【天龍眼】か、確か龍の力を得た者の瞳が変質したものだと聞いたことがあるな。確かつい最近だと30年前の【龍王】が保有していたはずだな)


 「問題ない、むしろその眼は好都合だ。龍の瞳は全ての本質を見抜くと言うからな。色も正確に視ることができるだろうよ」


 残っていた不安要素も消え去り話を聞く姿勢になったサナをリュゲイルは見逃さず説明を始めた。


 「じゃあ、始めるが【天龍眼】は鑑定能力があるはずだ、そこが大きな鍵だ。まず鑑定は『神界にアクセスして対象の情報を引き出す』って言うのが基本的な本質だ。だが、とある鑑定師が『鑑定結果に鑑定をかける』っつう事をしたことがあってな、より詳しい情報を得ることができるってことが分かったんだ」


 そこまで話してリュゲイルが言葉を切る。そしてサナをみて「質問はないか」と目で促すとサナが言葉を発した。


 「どこまで詳しく鑑定ができたの?」


 情報はいつの世も重要なものだ。1つでも多くの情報があればできることは一気に増える。なんの気もなしに聞いたのだとしてもとても重要な内容であった。


 「おそらく全部だ。」


 「おそらく?」


 「ああ、詳しい情報が知れるとなってどこまで分かるか探ったそうなんだが、情報が多すぎて終わりが見えなかったんだと、理論上は見えるはずだ。そして、このより詳しい鑑定を技術として【解析】と名付けられたんだ」


 「【解析】……」


 リュゲイルから伝えられた技術。これは運営が予め用意していた│PSプレイヤースキルでNPCから教わるか自己発見するしか習得方法がない。


 この【解析】実はかなり重要な要素で、魔術師は必ず身に着けたほうがいいと言ってもいいほど重要なPSだ。


 │全て《・・》の情報が得られると言うことは、例えば魔術の術式まで覗くことができる。すなわち覗いた術式を【魔法創造】で構築すれば相手の魔術を完全に習得できると言うのに等しい。


 そこまで優秀なPSを教えてくれるNPCは少なく、親しくなった鑑定師などにしか教えてくれないため現状習得したプレイヤーは片手で数えることが出来るだろう。


 「じゃあ【解析】を使って魔力の色、性質を見るんですね?」


 全ての情報を視ることができるのなら色も性質も視えることになる。「知りたい」情報が視えるのならばこの答えに繋がるのは自然の流れだろう。


 「そうだ。制御は少し骨が折れるが嬢ちゃんなら使いこなせるだろう」


 リュゲイルはそう言いつつもサナが制御に苦労しないだろうと考えているからこそ「今ここで使ってみろ」言外に意味を含みながらサナに告げた。


 「分かりました!……【解析】」


           ※


 私は店主さんが説明したようにまず自分を鑑定した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前 サナ 女 Lv20/100


 職業:奇妙な商売人

 副業:常闇の生産者


 ステータスポイント 50


 スキルポイント 0


 生命 1200(+200)/1200(+200)


 MP 1100(+100)/1100(+100)


 STR 20(+20)


 VIT 20(+20)


 DEX 75(+60)


 INT 180(+140)


 LUK 260(+120)


 AGI 130(+120)


 


 スキル


 天龍眼Lv1、生命錬成Lv1、薬物錬成Lv1

 幸運Lv4、逃走Lv6、総合料理術Lv1

 総合裁縫術Lv1、総合鍛冶術Lv8、

 特殊道具作成Lv1、副装備作成Lv1

 倉庫Lv1、地図作成、通話、鑑定記録、

 深淵食(ダークネス・イーター)、免疫、超改造

 武器破壊(ウェポンブレイク)、魔導、


 装備


 頭:深淵のゴーグル


 体:深淵のマント


 腕:深淵の手袋【捕縛】


 足:深淵のブーツ


 杖:深淵の魔導書【魔術の記録(グリモワール)


 副装備:なし


 称号


 魔女、脱兎、料理人、錬金術師、ドラゴンイーター


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ここまではいつも通り。ここから魔力の色と性質を見たいから、MPを【解析】すればいいのかな?


 「【鑑定】:MP」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 MP 1100(+100)/1100(+100)


 魔力の色:ウツロイ9、純白1

 魔力の性質:他人と全く同じ魔力の色と性質に自身の魔力を変質させる。また、元に戻す事もできる。

 適正属性:無☆時☆空間☆創造☆


 ウツロイの色


 条件1:ボスを単騎討伐もしくは最もダメージを与える。

 条件2:アイテム、武器等のやり取りで相手から最重要情報、もしくは最重要物資を受け取る。

 条件3:初期選択職業が、商人であること。

 条件4:オリジナルアイテム・ウェポンを生産する。


 純白の色


 条件1:初期ログインから半月連続でログインし、なおかつ一度も死亡しない。(一日のログイン時間は2時間を最低限とする)

 条件2:初期ログインから半月の間PK(プレイヤーキル)をしていないこと。

 条件3:他プレイヤーやNPCを救済する。(回復アイテムを渡す、依頼をこなすなど)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 すごく適正属性多いなぁ……生産職向けの属性ぽいものもあるけど、何!?時って!!


 あ、そうだ!店主さんと比べたらいいんだ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 リュゲイル・レスト・ワーラルド


 LV87 年齢:186


 種族:魔血を継ぐ人間


 MP 15926/15926


 魔力の色:金6、赫灼3、大嵐1

 魔力の性質:国を統べる王者としての色と国を守る盾と矛になる王の炎に厄災の嵐を従える。

 適正属性:支配☆☆☆☆☆赫灼☆☆☆大嵐☆


 金の色


 条件:生まれながらに王の資質を持つ者、王となる資格を得た者のみが得られる色。


 赫灼の色


 条件不明


 大嵐の色


 条件不明


 スキル:鑑定失敗


 称号:レスト・ワーラルド魔界連合国100代目国王、覇王、赫怒の炎帝、魔王


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 まさかの国王様でした。嘘でしょ……え、何でこんな僻地でお店開いてるの?と言うか強っっ!!国王様強っっ!!


 「む、気付いたな。察しの通り()国王リュゲイル・レスト・ワーラルドとは俺のことよ」


 「えぇぇぇぇええぇぇえ!!!?」


 私はしばらく驚きっぱなしになった。


           ※


 「じゃあ、今更なのでこのまま話しますけど、店主さんわざと黙ってましたね?」


 大声を上げてから5分後落ち着いたサナは「渋くて優しい店主さん」と言う印象を持ってしまっていたサナは今更態度を変えることができなかった為今までの態度で接することにしたようだ。


 問い詰められたリュゲイルは何事も無いように言い放った。


 「ああ、たまにはわざとステータスを見せて驚かせるのも楽しいからね」


 つまりドッキリだ。自分の目の前の人物が国王だと思え言うのが無理なことなのに引っ掛からない人がいる訳がないのだ。


 「うわぁ……心臓に悪いですよ……でも、色々教えてくれてありがとうございましたっ!」


 リュゲイルの返答に苦い顔をしたサナだが、直ぐに礼を言い、「守護の腕輪」を置いて帰って行った。


 リュゲイルはその腕輪を見て「まだまだ成長の余地があるな、次来た時には最も良いものが見られそうだ」と呟き閉店の支度を始めたのだった。


結城 蓮です。

サナ編結構長くなってますね……。

次かその次からファントム、シズ、謎キャラのどれかの話にしようと思います。

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また次回会いましょう。

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