4話 運営の解決策
サナが必要行程をすっ飛ばして強引に(本人にそのつもりはないが)獲得した『???』。
そして進化した『錬金王』、『幸運』、【魔女】の称号―――
運営陣はあらゆる確率で『???』の獲得を制限していたが、あっという間に獲得されてしまった。
因みにだが、それぞれの性能は以下のようになる。
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幸運:LUK30時に低確率で獲得ができる。本来はLUK150で確実に獲得できる。
効果:調合、鍛冶、攻撃時の致命攻撃の発生率、探索、採取量、被ダメージ量削減等さまざまな事象に補正を掛ける。隠された秘境の発見にも効果を発揮する。
錬金王:錬金術を極めた者が得るスキル。
効果:錬金術、調合の成功率、黒魔術、闇・暗黒魔術の威力、効果に補正を掛ける。錬金壺が使える。
魔女(称号):魔術、錬金術を使える者の得る称号。
効果:魔術の威力、効果及び錬金術の成功率、生産数、均等品質に補正を掛ける。
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『???』の獲得の為に初心者の森に潜っても、幸運スキルを持っていることが前提で更に幸運スキル持ちでも発見は0.0005%と、極めて困難である。
もう、サナは知る由もないのだが、『???』の本来の性質はこのようになっていた。
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進化覚醒―――深淵への覇道
効果:生産系のスキルを進化更に覚醒させ、神の領域までの進化制限を解除する。ただし最終段階まで強化はされない、一定の熟練度を加算するだけである。
最終段階、神の領域に至ったスキルは所属パーティーの中の同系統スキル所有者に恩恵を与えることができるようになる。
1種類のスキルから1つしか神の領域に至れない。
そのプレイヤーがスキルを廃棄、譲渡、強奪されるか、アカウントを削除しない限りそのプレイヤー専用のスキルとなる。
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そう、ゲームの終盤などでやっと入手可能になるスキルなのだ。
運営陣は現在サナをどのようにするか会議を行っているのである。
「やはり、このスキルはゲームの進行上「サナ」から削除すべきだ」
「いや、それは不平不満が生まれる。そもそも何故このスキルを配置していたのだ」
「予め用意しておいたほうがシステムエンジニア達の負担も減る。さらにプレイヤー総数1万人では、獲得率はほぼ0に等しいからだ。」
そう、このゲームのプレイヤーは増えつつあるもののまだ1万人弱だ。その中で運値に30も割り振ったのはサナしかいない。
「それにだな、誰しも憧れるだろう?強き存在は。課金で強くなるプレイヤーが多い中課金をしないプレイヤーからすれば必ずしも不満は生まれる。だからそのままにしておいたのだ。条件も課金プレイヤーでは、なかなか持たないスキルがあるのだから」
ヒーロー願望。誰もが必ずしも一回は抱く憧れ。それを出されては少し弱い。
「確かにそうだが……流石に一週間からはキツイ。そこはどうするんだ?」
すると一人がにやりと笑い話しだした。
「そこは既に考えているわ。彼女には悪いけれど、タイミングが揃うまで彼女のスキルに制限を設けようと思うの。『幸運』は彼女の純粋なスキルだからそれ以外を制限する形ね」
「成程。でもそれで納得してくれるのか?」
的確な意見が飛んでくるがその質問を予想していたその者はこう言った。
「いいえ、少しだけお詫びの品を渡そうと思うの。彼女の望むのものを現状での最適なものをね」
「わかりました。ではいつ制限を?」
「明日のメンテナンスと同時にアップデートを加えるわ。そのときに実行するわ」
この案に過半数が賛成し会議はより広い範囲の議題にあたって議論されていく。
サナ―――金本美波はまさか自分がメンテナンスの原因を作ったなどとは思いもしないだろう。
結城 蓮です。
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まだ不慣れで変な文章になっていると思いますがこれからもよろしくおねがいします。
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また次回会いましょう。