3話 大混乱のワールドギルドと運営
よく分からないけど、良いポーションが作れたみたい。
まぁ、いい素材を使ったからかな?だって薬草は入手しにくいらしいし。
蜂蜜だって蜂一匹一匹が拳大ほどあるんだもん、撒いてから取るの大変だったんだから!
きのこは…………うん、ごめんなさい近くに生えてました。
でも、良いポーションができたからいいの!
と言う訳で、最初の街ラスタドーラに帰還した。そして最初に向かうのは『ワールドギルド』っていう組織の建物―――そう妹ちゃんに聞いた―――に行く。
そのギルドは、主に知らないプレイヤー同士でクエストを受けるコミュニティとして利用されているらしい。
質素だけどボロくないそんな感じの建物だ。
私はその中の買い取り窓口に向かう、そして窓口の女の人に声を掛けようとして―――
「こんにちは、買い取り窓口です。何をお売りになりますか?」
―――掛けられた。
まぁいっか、じゃあ売りたいと思います。宿代くらいいくといいな〜。
「はい、これを売りたいんですけど……」
「……は?え?うそっ!?ハイポーション!?」
いきなり大きな声で叫んできた。み、耳が……
「どうやって!?初心者よね?見た感じ初期装備だし……」
「は、はい初心者です」
「どうやって手に入れたの!?」
さっきから何でこんなに驚いてるのだろう?さっきから周りの視線が多くなってきてるし……
「え?えっと……初心者の森の素材から作ったんですけど……」
「作った……!?どうやってそんな……」
そろそろ受け取って欲しいけど……言っちゃおうかな?
「あの、買い取ってくれないんですか?」
受付のお姉さんはきょとんとした顔をした後すぐに気づいたようで慌てて対応してきた。
「買います、と言うか買わせてください言い値で買いますから!!」
あれ?何でだろ?まぁいいや宿代いくらだっけ?
「じゃあ、宿を2ヶ月位借りられるくらいで良いですか?」
確か宿屋は一泊100Gだから……大体6000G位かな?
「えぇ!?6000Gですか!?」
あ、多すぎたかな……?
「ごめんなさい!高すぎましたか?」
「なっ……とんでもない!普通ハイポーションは最低でも10000Gはしますよ!?」
そうだったんだ。でももうレシピと、成功率を確保したから無料で作れるのに……でもこれ言ったら不味いよね……
「いいんです。マイホームを買うまでの凌ぎで宿を借りるためのお金が欲しかったので」
「そ、そうですか……わかりました。では確かに受け取りました。販売額の6000Gです。確認してください」
そう言ってお姉さんは私に6000Gを支払ってくれた。
よし、宿探して早速調合しようっと。
でも、宿屋ここには一軒しか無いんだよね。
※
なんやかんやあったけど借りれたよー!部屋!
では早速……商売のための商品生産を始めますか。
「錬金王」
そう言って私は実験室を展開してハイポーションを生産し始める―――
※
「まさか、こんなことになるなんてな」
「ああ、「魔女」の称号まで手に入れるとか……誰だよ作った奴……!!」
運営側の専用電脳空間にて頭を抱える者が複数名。
彼らは交代制でゲームを監視し管理をする者たちだ。当然開発をした人物も混ざり、バグなどの修正を行っているのである。
彼らは今とあるプレイヤーのスキル、ステータス構成について悩んでいるのだ。
それは『???』が予定より遥かに早く見つかってしまった事だった。
ゲームリリースからまだ一週間。β版は、一年しか経っていない。本当なら2〜3年後見つかる筈だったのだ。
それをたった一週間で―――しかも正攻法で―――崩されたのだから無理もない。
「そもそも『幸運』は運にポイント30振って0.001%でしか獲得できないんだそ!?」
「……獲得したんだから……しょうがないだろう!?」
そう、サナは物凄く運が良いのだ。ただし本人は一切の自覚がない。
結局、運営は3時間話し合い、様子見を決め込んだのだった。
※
結城 蓮です。
先日は誤った掲載をしてしまい誠に申し訳ございませんでした。
気を取り直して第3話です。
サナの異常さはこれからもっと際立っていきます。
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また次回会いましょう。