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君と僕とそれから・・・

作者: ☆sola★

孤独を求める少年は周りからの注目を集めるばかり・・・

御世辞でもかっこいいとは言えないその容姿の割に彼は多くの才能を持っていた。

勉強、音楽の才能、優しさ・・・

みんなと仲良くしたいと思っていた少年だが、ある日気づいてしまった。


(みんなは僕自身を見ていない・・・)


みんなが見ているのは彼の才能だけ。

優しいさを逆手にとり彼の才能を利用しようとしてるだけ。

だから彼は孤独を求めた。

集団から抜け出した彼は・・今日も独りで過ごす。



春、少年は中学生となった。

周りではみんなが楽しそうに話をしている。

しかし、ただ一人・・そう、彼だけは只一人笑いもせずに学校への道を歩いていた。


クラスが発表され教室に行くといつもの言葉が聞こえてくる・・


「何あれ・・・キモ」

「うぇ・・マジ最悪だね」」

「オイ・・あいつマジ笑える」


聞こえてくるのは容姿の事。だが彼にとってこれを聞けるほうがまだましだった。


1ヶ月後・・・


「ねぇ!ここ教えてよ」

「なぁ!今度どっかいかねぇか?一緒に行こうぜ」

「ぜひ吹奏楽部に入ってくれよ!」


聞こえてくるのはみんなの楽しそうな声。

それには頼りにされたり憧れをもった感情が込められている。

でも・・・それは彼が一番嫌いな声・・


(みんなは・・俺を見ていない)


彼はみんなに見られてない・・見ているのは彼の才能だけ・・

そんな彼にも一人だけ・・・心を開けるだろう存在がいた


ガラガラ・・バタン


「今日のお勧めの本は何?」

「今日は・・・これかな?」


彼女は唯一彼の事を見てくれている。

彼はそれがとてもうれしかった。だから彼女との時間は大切にしたかった。


彼にとってそれはかけがえのない大切な時間・・・彼の記憶で唯一笑っていられた時間。

多分そのままの時間が続けば・・彼は変われたのかもしれない・・・



2年のとある秋の日・・・


今日もいつも道理に彼女に会いに行く・・・


「今日のお勧めはなんですか?」

「・・・これ・・」


今日は少し違ってた。彼女が渡してきたのは詩集。


「詩集?」

「・・うん・・あなたに・・読んでほしかった」


彼女の哀しそうな目は今でも忘れられない。

そして、これが彼の崩壊への物語の始まりだった。



とある休み時間・・・


「ねぇ聞いた・・・彼、変な噂があるらしいよ?」

「うぇ・・マジ?」

「うわぁ〜いつかやるとは思ってたけど・・・マジかよ」


その日から彼の耳に届く声は変な噂ばかり。

暴走族だとか・・万引き常習犯とか・・・変な噂ばかり・・

しかし・・その中で・・彼は耳を疑う声を聞いてしまった・


「彼・・小学校の頃友達と喧嘩して家族に謝りに行ったらしいよ」

「喧嘩しただけで?」

「なんでも・・・「俺を見ていない!」とか騒いでたらしいよ」

「なにそれ・・ありえな〜い」


それは知られるはずのない事・・

その過去を知っているのは俺と彼女の二人だけ・・・

・・・・・・・・彼女は


      裏切ったんだね・・


その放課後に彼女を呼んで聞いてみた。

彼女は泣きながら謝った・・ごめんね・・ごめんね・・って

だから彼は許したんだ・・彼女ならきっと理解したんだと思ったから・・


次の日、机に1枚の紙が置いてある。


  すぐに校長室に来ること


訳も分からず行ってみればそこには先生と彼女と彼女の親が立っていた・・

どうやら彼女は家で泣き続けていたらしい・・

それを知った親が聞いてみると彼にいじめられたと言ったらしい

それを聞いた彼女の親は校長に抗議しに来たとのことらしい。


「理由はどうあれ、君が悪い・・謝りなさい」

「・・・・・」

「うちの娘が泣いていたのよ・・それをそんな冷たい目で見て・・・」


彼はその後の言葉の先を覚えていない・・彼女の母親が言った言葉


   「腐った人間が才能ある人間をつぶさないで!」


人間としては汚い言葉かもしれない。

母親としては最も良かった言葉かもしれない・・

でも・・・彼女にはどう聞こえたのだろうか・・・

彼は決して周りに劣ってはいない・・・むしろ優っている。

しかも今回悪いのは明らかに彼女の方・・・それなのに彼はただ言われるばかり・・・

彼女にはもう・・彼と目を合わせる事が出来なかった・・・


数日後、彼はクラスで浮いた存在になっていた・・

誰も近づかないようにしているわけではない・・彼が近づかせないようにしているのだ。

その眼に現れる拒絶の感情・・・彼は一人を求め始めた・・

信じる者はもういない・・頼れるものももういない・・

いくら他人を助けても・・他人は彼を助けてくれない・・


そんな日々が続いて卒業式。みんなは泣いていたが彼だけは何も感じてはいなかった・・

彼はみんなとは違う少し遠いい学校を受験した。

半分はみんなから離れるため。

半分は高校から変わろうとするため・・


そんな姿を彼女は見ていた。

あの事件以来、彼女は彼とは一言も話してはいない・・

家に帰って彼女は卒業アルバムを読み返す・・

彼の写真は個人写真以外に一枚もない・・・

そう・・彼との思い出は図書室でのわずかな時間だけ・・

そこでふと彼の卒業文集が目にとまる・・・

それを見て彼女はただ泣くばかりであった・・


卒業文集 題名「君と僕とそれから・・・」

 君は周りにたくさんの物を持っていて。君はたくさんの喜びを感じている・・

 僕の周りには何もなくて。僕は何かを奪われ続ける毎日・・・

喜びを感じたのはいつの日だろう?わずかな時間の中で僕は一体どれだけの事を学び感じで来ただろう?

それが続けば僕は変われた・・・でも、人は変われない・・。

 もし僕にもう一度チャンスがあるならば・・・それはやり直すために使わない。

そのチャンスは使わずにとっておくだろう。

 僕にはもう手に入れることが出来ないものを君は今手に入れることが出来る。

それは、とても大切なもので、未来さきの自分に必要になる。

 全部が君のせいじゃない・・・僕が弱いから手に入れられなかった・・・

未来さきに行っても・・・君が強く強くなることを思っている・・・

        好き"だった"よ。ありがとう・・・

君にある幸せが僕の道を照らしてくれた・・・僕の孤独への道が君の幸せを照らした・・

    誰も悪くない・・・悪いのは・・・弱い僕だ・・・



涙が止まらなかった・・・これが誰に対しての事なのかなんてすぐにみればわかってしまう。

それでもただ・・何度も読み返すしか出来なかった・・


彼は最後に校舎を振り返る・・それは孤独の道を指し示してくれた物。

ここは原点であり・・思い出の終着点でもあった・・・

そして彼は歩きだす・・片手には詩集を・・・思い出は一つだけで十分だ

このお話はフィクションではありません。

現実のお話です。

これは作者のつらい過去話を簡潔にまとめた御話で現実はもっとつらかったです。

何故、この小説を書いたかというと、同情ではなくこんな風に悲しむ人がいることを知ってもらいたかったからです。

読んでくださった方にはお礼の気持ちでいっぱいです。

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