コント 多重人格 カウンセリング6回目
久しぶりのカウンセリングコントの投稿です。
患者
「私、もしかして解離性人格障害ではないでしょうか?」
カウンセラー
「解離性人格障害!?えーっと多重人格ではないか?って事ですか?」
患者
「そう!それです!」
カウンセラー
「よく多重人格の正式な病名を知ってましたね」
患者
「ネットで調べました!」
カウンセラー
「ネットですか。今はググれば情報がなんでも出てくるから便利ですよね。怪しい論説も混ざってますけど、学びのきっかけにはなりますよね」
患者
「ええ、SNSでお医者さんが『DSM-5に掲載されている病名以外を受診で相談するな!』ってツイートしていたので調べました」
※DSM-5とは米国精神医学会が発行している精神疾患の診断・統計マニュアル
カウンセラー
「あっ調べたきっかけは怪しい論説なんですね。正式名称を使えなんて書くアカウントは、信用しなくていいですよ。我々、医療関係者だって俗称を使いますから」
患者
「そうですよね。診察の時に感冒や白癬なんて言うお医者さん、聞いたことないです」
カウンセラー
「……風邪と水虫ですね。……本当に今は…ネットでなんでも調べられるから便利ですよね………ええっと、多重人格のお話でしたよね」
患者
「はい、そうです。先生に創作活動を勧められたので小説をいくつか書いてみました」
カウンセラー
「以前に読ませて頂きましたけど、よく書けてましたよ。文章を書く事が合っていたんですね」
患者
「はい……メンタルの安定にとても良かったんですが……」
カウンセラー
「何か気になる事でも?」
患者
「私の小説の書き方が特殊だと言われました」
カウンセラー
「書き方ですか?特殊とはどんな方法で?」
患者
「ええっと……。大体のストーリーを決めたら、頭の中の登場人物に勝手に喋らすんです。他の人に話したら、びっくりされて……」
カウンセラー
「なるほど、小説の書き方を説明したら自分が特殊なことに初めて気が付いたと」
患者
「ええ……普通の人は頭の中で自分以外の人格が、話しかけてきたり批評したりしないんですね」
カウンセラー
「そうですね。心の声の事を専門用語で内言語とは言いますが……。そこまで活発な人は稀かも……。私と会話している時も、よくセルフツッコミをされていますね」
患者
「脳内キャラの中でも比較的に冷静なヤツからのダメ出しです」
カウンセラー
「脳内の人格は、何人ぐらい居ますか?」
患者
「ちょっと数え切れません。どんどん増えます。現実にお会いした方や本やマンガで読んだ印象的なキャラとか……」
カウンセラー
「なるほど……。まずは結論から申し上げます。あなたは多重人格ではありません」
患者
「違うんですか!?でも、違う人格が自分の中に何人も居ますが……」
カウンセラー
「多重人格というのは、自分の人格が分かれてしまう症状です。あなたの場合は違う人格を自分に取り込んでいるんです」
患者
「取り込む?」
カカウンセラー
「カウンセリング中、私の事をよく観察していますよね。表情や雰囲気。話す内容も一言一句聞き洩らさないように」
患者
「えっそうですか?」
カウンセラー
「おそらく無意識レベルです。カウンセリングの時だけでなく、日常生活でも行っていると思われます」
患者
「喋ってばかりいないで人の話を聞けと言われますが」
カウンセラー
「口数が多いから誤解されているだけです。実際は誰よりも相手の言葉に耳を傾けています。幼少期、周囲と良好な関係を築けずイジメの対象になったトラウマから始めたのではないでしょうか」
患者
「中年になった今も、コミュニケーションに難があると人から言われますが……」
カウンセラー
「遠い目をしないで下さい。本題から外れるので、その話はあとで聞きます。いつも心の中で問いかけていませんか?彼は何故こう言ったんだろう。どうしたら彼女は喜ぶだろう。この人はどういう人生を歩んで来たんだろうって。何度もシミュレーションを繰り返し」
患者
「あっやってます。どんなジョークがウケるかとか考えてます!」
カウンセラー
「カウンセリング中にまで、冗談を言う人は珍しいですよ……。それを1人につき数十回、数百回もしくはそれ以上を行っています。相手の考えや価値観を取り込み、自分の中で再現しているんです。それが脳内の人格の正体です」
患者
「えーっと、それが本当ならどうして私は他人と上手くやれないんでしょうか?」
カウンセラー
「……今度はそのお話を聞きますね。その前に私からも質問を良いですか?」
患者
「何ですか?」
カウンセラー
「もしかして、あなたの脳内キャラの中に私も登場人物として存在しているでしょうか?冷静なツッコミ役として……」
患者
「……いつもお世話になっております……」
毎回1時間、カウンセラーさんとがっつりおしゃべりしてきます。楽しいです(*^▽^*)
※一応は診察の一環です。