幽霊恐怖症の俺が一人暮らしを始めたが、まさかの事故物件に当たってしまい不安だったが突然目の前に美少女幽霊が現れた
思いつきで書きました。
是非読んでくださったら嬉しいです!
俺の名前は石橋光樹。重度の幽霊恐怖症だ。
そんな俺は高一になり、家の都合で一人暮らしを始めることになった。
今日から俺が住む家はなんと事故物件なのだ。
本当にやめてほしい。俺は今日初めてそのことを知った。
事故物件なんて幽霊が出るに決まってるだろ。
夜とか絶対、一人でトイレに行けないやつだ。
それでも俺は仕方なくこの家に住むことにした。
最初のうちは何も異変はなかった。
二日目、三日目と続き、特に変化はない。
それがどうだ。
一週間を過ぎたあたりから恐怖は始まった。
「うぉ!」
「お、驚かせちゃってごめんなさい!」
まるで幽霊のような変装をした美少女が俺の前に現れるという恐怖が。
幽霊のような変装をした美少女?
「それ変装?」
俺は聞いた。
「ち、違います!」
その美少女はオドオドしながら応えた。
「あの、どちら様?」
「私はこの家の地縛霊なんです」
その子は幽霊だと自称した。
「無断で入ってくるのやめてもらえます?」
「だから、私は地縛霊なんです!」
その子は必死に言っていた。
「見た目、人間じゃん」
その時はまだ見た目に惑わされていて信じれなかった。
「そんなに信じてくれないなら見せますよ」
そう言ってその子は、小柄な身体と綺麗なストレートヘアをひらひらとさせながら宙に浮き、ぱっちりとした目でこちらを向き、ドヤ顔をした。
その容姿はとても可愛らしく、まさに美少女であった。
「う、浮いた」
「これで信じてもらえますか?」
「出たー!」
俺は目の前に起きた、あまりに驚愕な出来事に悲鳴を上げた。
だって、人間が宙に浮くなんてあり得ない。
彼女の言っていたことが本当だったとは思いもよらなかった。
俺は幽霊が嫌いだ。そんな奴の目の前で宙に浮く人間が現れたら叫ぶに決まっている。
「そんなに驚かなくても……」
彼女は申し訳なさそうな顔をした。
しかし、今の俺にはそんなことは関係なかった。
「く、くるなー! この家から出て行けー!」
「出て行けと言われましても……。この家は私の家なんですから無理ですよ」
「ここは今日から俺の家だ!」
「だから、一緒に過ごそうと交渉しにきたのですが」
「そんなの絶対に嫌だ!」
俺はまるで癇癪を起こした子供のように、自分より遥かに年下であろう幽霊の前で喚いた。
「でしたら、貴方はこの家から出ていくことになりますが」
「それも嫌だ!」
「はぁ」
彼女はため息をついた。
恥ずかしいのは分かってる。だが、俺がこの家から出ていくのは不可能に近い。
何故なら、住む場所が無くなってしまうからだ。
それだけは困る。
やはり、彼女が出ていくしか選択肢はないのだ。
「だったら、君が出てけばいいだろ!」
「それは無理です」
「私は地縛霊ですから、私単体ではこの家に出ることは許されない決まりなんです。貴方と一緒に住むのであれば、それは幽霊との契約とみなされ、私は自由に行動できるようになるんです」
「誰が幽霊なんかと一緒に生活するか!」
「嫌でしたら出て行ってください」
「嫌だ!」
「なら、どうすればいいですか?」
彼女は困った顔をする。
「君と契約すれば、自由に動けるんだよな?」
「はい」
「契約するからこの家から出てってくれよ」
「それは無理です。契約というのは私と一緒に過ごすこと。なので、離れることはできません」
「もし離れたらどうなるんだよ」
「それは出来ません」
彼女は頑なに否定した。
それはつまり、俺がこの家から出て行くか、幽霊である彼女と一緒に生活をするかの二択しかなかった。
俺がこの家から出てしまったら、住む場所が無くなってしまう。
そうなったら、必然的に彼女と生活するしか選択肢は残されていなかった。
「俺が……幽霊と一緒に暮らすのかよ」
「安心してくださいよ。私は悪いことはしません」
彼女は満面の笑みで言った。
「……分かったよ。その代わり、うらめしやーとか言うんじゃねえぞ。こえーから」
「うらめしやー」
「ぎゃー!」
こうして、幽霊との生活が始まった。
◯
「そう言えば、君の名前って何だよ」
「忘れました。生前の記憶もありません」
「地縛霊になった理由もか?」
「はい」
俺と彼女は朝食のホットミルクを飲みながら会話をした。
「君って幽霊なんだろ?」
「はい」
「幽霊……。レイなんて名前はどうだ? 安直すぎか」
「素敵な名前です!」
「そ、そうか」
俺の微妙なネーミングセンスにレイは喜んでいた。
「俺とレイが離れなければどこかに行けるんだろ?」
「はい。ある程度、離れていても大丈夫ですが」
そうだったのかよ。
だったら、わざわざ家に入れなくても入り口の外にレイを座れせとけばよかったじゃないか。
いや、それはさすがに可愛そうだ。
「どこか行きたいとこはあるか? ちょうど休日だし」
「いいんですか!」
レイは嬉しそうに笑った。
「あぁ」
僕は応えた。
「そうですねー。私、記憶がないので特に行きたい場所が分かりません」
「そうだった。だったら、俺の買い物に付き合ってよ」
「もちろんです!」
レイはまた、嬉しそうに笑った。
◯
「どこですか、ここ」
「アニメショップ」
二人が来たのは、俺が最近通っているアニメショップだ。
「うお! 『転生したら幽霊だった件』の最新刊出てるじゃん!」
「それ私じゃないですか」
「かもな」
俺とレイは「あはは」と笑った。
幽霊恐怖症の俺だが、このラノベは面白い。
何故なら、出てくる幽霊が可愛いからだ。
「表紙の女の子可愛いですね」
レイが言った。
「どことなく、レイに似てるかもな」
俺は応えた。
「そうですか? 嬉しいです」
レイが恥ずかしそうに照れた。
よく見たら、レイは可愛い。
幽霊恐怖症の俺でもレイなら、このラノベの表紙の女の子みたいに平気になるのかも知れない。
本はそのままレジに持って行き、お会計を済ませた。
「レイは欲しい本とかないのか? 特別に買ってやるぞ」
「いいんですか! だったら、これが欲しいです」
レイが指を指したのは怖がられない幽霊と言うタイトルの本だった。
「こんなのでいいのか?」
「はい! これで貴方に怖がられないですね!」
レイは笑った。
「あはは、そうかもな。それより、レイにビビってて、まだ俺の名前言ってなかったな」
「あ、そうですね」
「俺は石橋光樹。まぁ、光樹って呼んでくれ」
「分かりました、光樹さん」
「ずっと気になってたけど、レイって俺に対して他人行儀なんだよな。契約したんだから、もっと気軽に呼べよ」
俺が言うと、レイは下を向き、息を深く吸い込んだ。
「分かりました。よろしくね、光樹くん」
レイは顔を上げ、髪が舞いながら、笑った。
俺は一瞬、ドキッとした。
レイの笑顔があまりに可愛かったからだ。
レイの欲しがっていた本はもう一度レジに持って行き、買った。
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