説明
今まで何度もあった 人生の分岐点。
沢山あった決断の中には、人生が大きく変わる入り口も存在していた。
自分は選ばなかった方の人生。
でも、そこが分岐点となってパラレルワールドが広がり、それぞれの世界に存在する[私]がいるんだって!
選ばなかった方の人生を歩んだ[私]はどうなったのか、その[私]に憑依することでパラレルワールドに入り込めるんだって!
憑依の仕方は寝ている時。
憑依に成功すると、そこまで生きてきた記憶が脳内に流れこんでくる。
憑依されてる方の[私]は、
夢の中に閉じ込められている状態に。
苦痛は一切なく、夢の中に居続けることになる。
憑依できる対象は、パラレルワールドで同じ時間生きてきた[私]に限られる。
つまり、46歳の私なら、別世界の46歳の[私]に、というかんじ。
憑依解除するには、目を閉じ、元の自分の記憶に意識を集中させる。
元の自分の記憶が最優先された瞬間に憑依解除。
憑依に制限時間はない。
好きなだけ憑依し続けることは可能。
ただし、憑依し続けることで、本来の自分の記憶は徐々に薄れていく。
最終的には完全に消滅し、二度と復元することは不可能。
つまり、そうなったら、元の世界に戻ることは永久に出来なくなる。
それぞれの世界ごとに寿命は異なり、元の世界を基準に、寿命が長い世界ならプラス効果で生命力が蓄えられるが、寿命の短い世界にいった場合、マイナス効果により、一気に症状の悪化を引き起こす可能性もある。
また、すでに死亡している世界にいった場合は、人生最後の日に飛ばされる。
当然、絶命の瞬間に立ち会うことになり、マイナスダメージは計り知れない。
プラスよりマイナスの方が影響を受けやすく、そこが大きなデメリットではあるが、少しずつたまるプラスの影響を蓄積すると、植物状態からの奇跡的回復という一発逆転劇がおきるかもしれない。
が…過去、そこまでの結果に到達出来た者は、ほんの一握りにすぎない。
どのくらい生命力が溜まれば回復出来るのか、どのくらいのダメージを受けたら死ぬのか…。
それは体力、精神力、気、性質、生命力あらゆる面で大きく個人差があるため全く不明。
「と、説明はこんなとこだ。
どうする?行ってみるか?」
うーん…。
「もし、行かないって言ったらどうなるの?」
「今のお前だと、自発呼吸は出来るけど意識のない状態だから、一番始めの、漆黒の闇の中。
無意識の中に放り込まれるな。
いつ意識が戻るか、はたまた、いつ死ぬか…。
自分ではどうにもならない状態に置かれる。
自分の意思で動けるチャンスは今しかないぞ。」
「そっか……。」
ベッドの傍らに、顔面蒼白で手を握るパパ、つまり夫の誠人。
私がずっと植物状態でいたら、誠人への負担は半端ない。
一番良いのは回復することだけど、死ぬことになったとしても…。
自分の人生、自分でケジメつけてやる。
「やるっっ。」