高校生、有り金全部溶かした人の顔になる
25万円。
現在のオサムの資産である。
驚くべきことに50万円から一週間で資産は半分の25万円まで減っていた。
その間、1度もカヨシの家へ訪れることはなかった。
行けばカヨシに大目玉をくらう。だから損を取り戻さなければならない。
怒られない状態まで資産を戻してからカヨシの家へ向かおう。
そう思っているうちにどんどん資産は減っていった。
もはや食事も喉を通らなくなっていた。
これは夢かと思ったが、夢ではなかった。紛れも無い現実である。75万円を存した現実がそこにはあった。
サクラに大見得を切ってから1週間半でこのざまである。
この数日はサクラとも会わないように、校内では人気の無いところで時間を過ごしていた。
もはや25万円では購入できる株もどんどん限定されていた。
オサムは決心した。
正直にカヨシに謝ろう、と。
まずカヨシの家へ寄らなかったことを謝ろう。
次に損をしたという自分を認められなくて家へ寄らなかったことを謝ろう。
そして損を取り戻せもしないのに、取り戻せると過信してリスクの高いトレードを繰り返したことを謝ろう。
その上で今からでも出来ることをやろう。
まだ25万円残っているのだ。
1年で20倍という途方も無い数字をどうすれば出せるかどうかは皆目見当も付かないが、自分よりも優れた知識のあるカヨシに素直に指示を仰ごう。
その日の放課後、オサムは1週間半ぶりにカヨシの家へ訪れた。
オサムの顔を見たカヨシの第一声は「"ぬ"と"ね"の区別がつかなそうな顔してんな。」だった。笑い混じりの声だったが、オサムには笑って返す気持ちの余裕は無かった。
【資産】50万円 -> 25万円