【後半戦】高校生、アニメ化で株を買う(チャートはいつか貼る)
途中の話をすっ飛ばし。
忘れない内に書いておく(後で作品として肉付け予定)
日付は他の銘柄とかぶるので、最終的にはかぶらないようにずらす予定。(つまり架空の日付に置き換わる)
オサムは本格的に株を買い始めようと思ったが、何を買えば良いのか、全く検討がつかなかった。
「おじさん、どの業種を買えば良いか全然分からないんだけど。」
「オサムの趣味はゲームだから、ゲームの株を買えばいいんじゃないのか?」
「そんな安易に決めていいの・・・」
「いいや、安易じゃないね。全くもって安易じゃない。株で勝つ秘訣は自分がよく知っている業種を買うことだ。自分の分からないものを買うことこそ最も危険な行為だ。あのウォーレンバフェットでさえ、保険業の企業買収で多額の損失を出し、後に保険業に対する知識の不足を失敗だった認めている。自分の分からないものを買うと言うのは、世界一の投資家という男ですら失敗する危険な手法だ。だからお前は必ず自分の詳しい分野を買うんだ。」
オサムは家に帰ると、自分の好きなものを考えて見た。
まずゲームが大好きだ。だが、それだとゲーム株だけになってしまう。
何かないものだろうかと悩みながら、オサムは日課である株ニュースを眺めていた。
そこでふと気になるニュースを目にした。
当社主力書籍の映像化に関するお知らせ
「何か新しくアニメになるやつがあるのか。そういえば、ゲームだけじゃなくてアニメもそこそこありかもしれないな。さてさて、どの企業かな・・・えっと、アルファポジション?そんな名前の企業があるのか。なになに、この度、当社主力書籍である『ドア 自衛隊vs異世界』のTVアニメーション化が決定いたしましたので、お知らせいたします。 また、この告知を皮切りに、シリーズ最新刊の単行本及び文庫(上・下巻)を順次、刊行する予定でありま す。続報については以下、アニメ公式サイトなどでお知らせしてまいります・・・っと。」
オサムはその銘柄のメモを取ると、翌日カヨシに相談した。
「おじさん、この946Xのアルファポジションって良いかなと思うんだけど。」
「理由は」
「アニメ化をするみたいだから、なんとなく良い方向に動いてると思うんだよね。」
「はぁ。なんとなくなのか。」
「ぱっと思いつく興味のあるものはゲームとアニメだから、それでアニメの銘柄をあげてみたんだけど。」
「あのなぁ、そりゃ俺はたしかに興味のある分野の銘柄を選べといったけど、そこから適当に選べといったわけじゃないからな。なんとなく、でお前は勝負するのかよ。」
「うーん、アニメによって利益があがるかなーって。」
それを聞いたカヨシは、アルファポジションの公式サイトを開き業務内容を見た後、いくつかのサイトで決算資料、株価のチャートなどをささっと眺めた。オサムにはカヨシのWebサーフィンが早すぎて何を見ているのかサッパリ分からなかった。
「アニメをするとなぜ利益が上がるんだ。そもそも利益っていうのはなんの利益だ。営業利益か、経常利益か、最終利益か。」
「えっと、DVDの利益とか、小説がいっぱい売れるとか・・・」
「おいおいおいおいおい」
「はいはいはいはいはい」
「素朴な質問なんだが、アルファポジションの作品をアニメ化してDVDが売れたら、アルファポジションの儲けになるんだな?」
「えっと、違うの?」
「俺が軽く調べた限り、アニメは広告収入方式と製作委員会方式があるみたいだが、今回はどっちなんだ。」
「うーん、わかんない。」
「おそらく製作委員会方式だと思うが、製作委員会方式について調べて見た限り、資金調達が容易な反面1社あたりの利益が少ないと書かれているぞ。」
「えっ、そうなの」
「えっ、そうなの、じゃないだろう。それぐらい調べておけよ。あとDVDが売れるとか、小説がいっぱい売れるとかいうのは、まず売上高の増加があって、そしてそこから費用を引いた営業利益に影響を与える。売上高と各種利益は流石に覚えておけ。」
「はい。」
「で、風が吹けば桶屋が儲かるよろしくアニメ化すれば、どうやって儲けが増えるんだ。アニメのDVDの売上なのか。」
「えっと、調べます。はい。」
「それと、このアルファポジションって最近上場したばっかりの企業だろ。こういう新興企業は上場直後は株価が高値で推移して、その後に大きく株価が落ちていきやすいっていうのは知ってるよな。」
「え、そうなんだ。」
カヨシのいうとおり、株価は右肩下がりで落ちている
(株価チャートをここにはる)
「このまま株価が右肩下がりで落ちていくとは思わないか。」
「たしかに・・・」
「お前が勝った瞬間に株価が反発して、右肩上がりになると思うか。」
「でもこのニュースであがるかも」
「だがニュースの翌日の株価は全然反応してないように見えるぞ。そもそもアニメ化するにしても、ケンドウ・コジローみたいなできのアニメだったらどうする。」
ケンドウ・コジロウとは、アニメ界に伝わる伝説のクソアニメである。あまりの低予算で作ったためかキャラクター絵が雑、動きはカクカク、延々と同じ動きをし続ける使い回しの尺稼ぎなどなど、逆の意味で有名になってしまった。サウンド担当があまりのクオリティの低さにスタジオ内で盛大に吹き出してしまい、監督に「何を笑っている」と激怒されたが、「これはもう笑うしかない」と言い返した逸話はファンの中では有名である。
「た、たしかに・・・」
「せめてもう少し詳細が分かるまで待ったらどうだ。もしくはもっと情報を調べてみることだな。」
「はい・・・」
オサムはカヨシのアドバイスに従って数日間アルファポジションを調べてみることにしたが、特にこれといった情報は得られなかった。ただ、アルファポジションの売上構成はライトノベル、漫画、文庫本、そしてその他であることが決算資料からわかった。そしてその他にはアニメは含まれていないようだった。ただこれまでアルファポジションがアニメを出したことがないことを考ると、売上構成にアニメが入っていないことは当然である。オサムはカヨシの言葉を聞いてアニメ自体の売り上げは考えないようにしようと思った。だがそうすると小説の売り上げだけしか考慮できないことになる。オサムは本当にアニメ化で小説の売り上げが増えるのかどうか自信がなかった。
数日後、オサムがアルファポジションのことを考えながら帰宅していると
「オサム氏!待たれよ!」と後ろから話しかける声が聞こえた。
オサム氏と呼ぶ男は一人しかいない。校内きってのアニメゲームオタクの鶴田である。
「オサム氏、一緒に帰るでござるよ。」と喋る鶴田を見て、また何かアニメかゲームの影響を受けたんだろうなぁとオサムは思った。鶴田はそのときはまっているゲームやアニメの口調を真似する癖がある。それだけアニメやゲームが好きなのだ。
「まてよ・・・アニメゲームの適任者がいるな。」と鶴田をまじまじとみるオサム。
「オサム氏、気持ち悪いでござるよ。」
「いや、実は最近きになるアニメがあるんだけど・・・ドアっていうアニメなんだけどさ。」
「おお、ドアでござるか。自衛隊が異世界で戦う小説でござるな。そういえば、アニメ化されたでござるな。」
「そうそう、そのドアーがアニメ化されると、小説の売り上げも増えるのかなーって思ってさ。でも、そんなこと鶴田に聞いても仕方がないか。」
「売り上げは増えるでござるよ。」
「え、ほんとか」
「本当でござる。拙者の知り合いにラノベの作家がいるでござるが」
「おお凄い」
「拙者の兄の高校時代の同級生の大学の研究室にラノベ作家がいたでござる。」
「それもう他人じゃない?」
「で、その知り合いのラノベ作家は、大学の研究室にいた頃にラノベ小説を書いたところ受賞したらしく、ラノベ作家になったでござるよ。それが最終的にアニメ化されたらしいのでござるが、そのアニメ化のタイミングで印税が大量に増えたと証言していたらしいでござるよ。」
「おぉ、実体験なのか。凄く参考になるよ。ありがとう。ところでなんていうラノベなの?」
「キュー・ショクというラノベだったでござるよ。ご存じないでござるか」
「おぉ、聞いたことある奴だ。凄い人が知り合いなんだね。」
「ふふ、皆には内緒でござるよ。」
オサムは心から感謝した。
オサムは鶴田と別れた後、その足でカヨシの家に赴き、鶴田の説明をそのまま話した。
「それはもう他人だろ。」
「おじさん、大事なのはそこじゃなくて、アニメ化によってラノベの売り上げが大きく増加したという実体験だよ。具体的な数字はわからないけど、ドアーはアルファポジションの主力タイトルだから売り上げに大きく影響すると思う。だから僕はドアーの小説の売り上げがそのままアルファポジションの売上高を押し上げると思うんだ。だからアルファポジションを書いたい。」
「そうだなぁ・・・」と言いながら、カチカチをクリックしてアルファポジションの株価を眺めるカヨシ。
「よしわかった。万が一ケンドウ・コジローみたいな可能性もあるわけだし、いきなりは全部買わずに1単元ぐらい買って見たらどうだ。株価は2000円で1単元100株だから、1単元買うのに20万円ぐらいだろ。それで制作スタジオがまともなところなら書い増してもいいんじゃないか。」
オサムはさっそくアルファポジションを1単元買って見ることにした。トータルの資金から考えると1/4-1/5にあたる資金である。
オサムはここから株価が上がると信じていたが、カヨシのいうとおり株価はどんどん下がる一方であった。2000円で買った株価は、1900、1800、1700と落ちた後、ついに1500円まで落ちてしまった。オサムの評価額は−5万円の15万円である。
だが、オサムはアニメ化によって小説の売り上げが大幅に上がったという言葉がどうしても忘れられなかった。ドアはアルファポジションの主力製品である。その主力製品の小説の売り上げは必ずアルファポジションの業績に大きな影響を及ぼす。その小説が大幅に売り上げ増加したとなれば、アルファポジションの業績は上向くはずだ。それにドアは小説だけじゃなくてコミカライズもしている。アニメで入った人がたとえ小説を読まなかったとしても、コミックなら買うはずだ。そう信じていた。
株価が1500円をつけた後、ついにアニメ化に関する追加情報が発表された。それは監督、制作スタジオ、そしてキービジュアルなどが詳細に書かれていた。
「これは・・・いけるんじゃないだろうか」
オサムは早速鶴田に相談してみることにした。
「オサム氏、さすがでござるな。これはそのシーズンのアニメの注目タイトルでござるよ。あのデスライブの監督、マジック・アート・オンラインの制作スタジオであるB-1、そしてこのキービジュアル。これはもう間違いなくアニメの覇権争いに加わるアニメでござる。」
オサムはその言葉を聞いて、アルファポジションへは大きな勝負を仕掛けるべきだと感じた。
さっそく放課後にカヨシに全てを報告した。
「なるほどな。そこまで調べたか。しかも鶴田君といったか、ずいぶん力強い味方を手に入れたな。いいんじゃないのか投資してみれば。俺は反論する余地は特にない。思いっきりいってみろ。」
「思いっきりって全力で買って良いってこと。」
「まぁ、決算書を俺が見た限り、粉飾決算の可能性も限りなく低いし、天変地異でも起こらない限りは大丈夫だと思う。素人は分散投資を好むが、分散投資というのは無知の極みだと俺は思ってる。ろくに調査もしてない銘柄を5個買うよりも、みっちりと調査した銘柄を1個買う方が大きな利益が得られる。特にお前の特殊な事情を鑑みると、攻め時はいっきに攻めないと目標額に到達できない。ここは全力でせめてみろ」
オサムはカヨシの助言を受けた後、すべての余力を使ってアルファポジションを購入して見た。
アニメの放送日が近づくにつれて、株価はどんどんと上がっていった。
2000円だった株価は3000円を超えて、ついに4000円を目指そうとしていた。
アニメの放送日を直前に4000円を超えるかどうかの状態でオサムは悩んでいた。ずっと持っておくべきか、それとも4000円で処分すべきかを。いまや株価は2倍近くまで膨れ上がりつつある。オサムの保有している資産も2倍近くに膨れ上がっていた。
オサムは再び鶴田にアニメの感触を聞いて見ることにした。すでにトレイラーは出回っている。あとはアニメ放送によって大衆がどう評価するかである。
オサムは鶴田が「アニメの覇権争いに参加する」と言っていたことに強い自信を持っていた。
だが、鶴田の反応は意外なものだった。
「オサム氏、正直なところ、アニメが成功するかどうかは蓋を開けて見るまではわからんでござるよ。なにせ、アニメの好き嫌いは、食べ物の好き嫌いと同じようなもの。実際に食べてみないと何とも言えないでござる。ただ1つだけ言えるのは、全員が好きと言うわけではない、ということでござるな。今は全員がドアという食材を食べてみたいと思っているでござるが、いざ食べて見ると好き派と嫌い派に別れるのが常でござる。100人いたとして、今は100人が食べたいと思っているでござる。でも食べて見ると90人がおいしいと言って、10人がまずいというかもしれないでござる。拙者が言えるのはそれぐらいでござる。」
オサムは鶴田の発言を聞いて、これを株に置き換えるとどうなるだろうかと考えてみた。
今、アルファポジションの株価が上がると信じている人が100人いて、100人ともアルファポジションの株価を購入済みとする。けれど、アニメが始まった後、その評価は人それぞれで異なるだろう。そうすれば100人のうち90人は高い評価を出すかもしれないが、10人は低い評価を出すかもしれない。そのとき10人は買い方から売り方、すなわち手仕舞いを行うだろう。とすれば、100人が買って支えていた株価は、10人の売りによって若干やすくなるかもしれない。アニメが市場の予測以上にヒットすればもちろん追加の購入者も現れるだろう。だが、それは希望的観測とも言える。アニメが大ヒットする確率は、これまで世に生まれてきたアニメから考えれば途方もなく小さな数字だと思われる。
オサムは鶴田との会話の翌日、アルファポジションを手仕舞うことにした。3900円で処分した結果、オサムの資産は約1.9倍ほどに上昇していた。
アニメが始まった後、アルファポジションの株価はずるずると落ちていった。
オサムはホッとした反面、もし上がってしまっていてもそれはそれで良かったのではないかと思うようになっていた。
なぜならば、アニメ放送日の後もアルファポジションの株価が上がるかどうかを予測するのはとても難しいものであった。だとすれば、勝率の不透明なアルファポジションにこだわらずに、もっと簡単に上がると予測できる銘柄を探してきて勝負した方が資産を増やしやすい。
たとえアルファポジションが実際にそこから上がったとしても、それは難しい判断を求められるトレードで最終的に上がったと言うことである。つまり投資ではなくギャンブル的要素の強い投機になってしまう。オサムがしたいトレードはそういうトレードではない
「確実にここからここまでは上がる」という確実な投資を渡り歩くのが、カヨシから教わった「資産を増やす必勝法」なのだ。
今回はオサムの予測通り、アルファポジションは株価を下げてしまったが、自分の決めたトレードができたのであれば、アルファポジションがここから上がろうが下がろうが考慮しても無意味だとオサムは思った。
もちろんアルファポジションがここから更に数倍、5倍、10倍と上がっていくのであれば、次に似たような状況に遭遇した際の糧とはなるだろう。だが今回は予測通り株価は落ちた。この銘柄からこれ以上学ぶことは特にないだろうとオサムは感じていた。
(ここらへんにチャートを乗せる)




