友達がいない訳では無い
俺には友達がいない訳では無い。
ただ、話すのがめんどくさいから話さないだけだ。
だからぼっちでは無い。……無い。
おや?放課後に一人教室に居た俺はノートを発見した。
名前は「阪和妲己」
…はい。分かっておりました。
そもそもアイツの席だし。
しかし、見た目に合わないな。背表紙はブルーでタイトルには「見るな」としか書いていない。
これは見るしかないだろう。俺は背表紙を開いた。
そこに書いてあったのは
「英語の教科書の例文?」
そう。英語の教科書の例文だった。ま、それだけじゃ無いんだけど。
例文の隣に赤で矢印。どうやら例文を弄って自分好みにしてるらしい。
どれ、読むか。
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例文)
「こんにちは。調子はどうですか?」
「はい。あなたの方は?」
「実は頭が痛いです。」
↓
「こんにちは。まだ生きてらしたのですか?」
「いいえ。実は私は数年前に死んでいるのです。」
「まあ怖い。」
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……ちょっと待て。まあ怖いってレベルの話か?
というかこれ、冗談なのか?
隣には更に文が書いてある。
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例文)
「こんにちは。ごきげんいかが?」
「あら、こんにちは。いつも通りよ。」
「そりゃ良かった。ところで」
↓
僕は冗談のつもりで彼女の肩を叩いた。
しかし、次の瞬間彼女は真っ逆さまに転げ落ちる。
まるで果実の様にね。
だけど僕は笑う。
これは「いつも通り」なのだから。
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「例文跡形も無ェ!!!」つい俺は誰も居ない教室で叫ぶ。周りを見回して見た。
幸運にも誰も居ない様だった。さて……次か
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例文)
「こんにちは。初めまして。あなたの名前は?」
「は、初めまして。俺の名前は高梨裕也です。」
「高梨裕也さんですか。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。って待ってください~!」
↓
「初めまして。いきなりですが、ここから消えてくだしい。」
「あ、初めまして。おや。何かと思えばこの世で最も醜い生物では無いですか。消えろ?貴女こそ消えたら良いのでは?」
「その言い回し。もしや高梨裕也じゃないですか。嫌ね。一番会いたく無い相手に会ってしまったようね。」
「めんどくさいですねぇ……一旦引きますか。」
「一昨日来やがれ。」
外の青空を覆い隠すかの様に日は燃えていた。だが、その日のしたで一つの闘いが
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ノートはここで終わっている。
俺は思った。英語以前の問題だった。と!
ノートを何も無かったかの様に置いて、その場を後にした。