教育方針とパパになる報酬
しかし、パパになるか。
軽い気持ちで頷いたが、果たして正しい選択だったのか…
俺が黙り込み考えていると天使が話しかけてくる。
「大丈夫ですか?しっかりしてください」
「少し考え事をしていただけだ」
「安心してください。
神様の子を育て上げれば、後は自由の身です。
好きに生きていけます」
そんな風に天使は言葉を締めくくった。
言葉が続かないところを見ると説明は終了した様だ。
「質問を受け付けます」
説明の次は質問タイムである。
俺は気になる事を尋ねる。
勿論、責任の所在について。
「子供が怪我でもしたらどうするよ」
「大丈夫です。
神様方はネグレクトですから」
衝撃の事実。
神様はネグレクト…
天使が神様の悪口言っていいんですかね…
「大丈夫です。
事実ですから。
神様方は自分の事で手一杯なのです。
そこで我々天使がサポートをしています。
神様の子育てもそのサポートの一環なのです。
貴方にはそこを手伝ってもらいたい。
どういう結果になろうと気にしません。
むしろ、危険な目に合わせて強い子に育ててください」
「いや、おかしいだろ! 神の子だぞ! 大切に扱えよ」
俺は思わず反論していた。
「過保護に育てても碌な大人に育ちません。
厳しく育てる事も時には大切なのです」
「いやそうかもしれないが…」
これが神界の子育てと言う事なのだろうか…
「殺しても大丈夫ですよ」
天使にはそぐわない声が聞こえた気がした。
「嫌なら殺しても結構です。
貴方の良心が許すならそれでもかまいません」
気がしたつもりが、事実だった。
「殺さない! 預かるからには一人前に育てる!」
「殺さないんですか?」
意外だとでも言いたげに天使は微笑む。
「当たり前だ!」
俺の叫びに満足したのか天使は質問を打ち切った。
「では、報酬をお渡しします。
ステータス画面をご確認ください」
俺は頭の中で『ステータス』と念じた。
すると、ステータス画面が目前に表示される。
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神崎 勇人 ≪変更可能≫
年齢:23 ≪変更可能≫
種族:人間 ≪変更可能≫
容姿 ≪変更可能≫
筋力:100
魔力:100
敏捷:100
耐久:100
耐性:100
運:100
初期値を設定してください。
残り1000p
:スキル:
取得スキル無し ≪取得可能≫
:特性:
神の加護 神託保有者
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ステータスALL100プラス。
そして、スキル取得可能。
スキルポイントの方は…
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SP:10000
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1万か…
思っていたより少ないな。
これでも十分ではあるのだが…
俺は思い切って天使に要求する事にした。
「スキルポイントが思ったより少ない。
増やせないのか?」
「適正と思われます」
「そこを何とか、頼むよ」
「二人、面倒を見てくれますか?」
その質問に動揺する。
面倒を見る数で報酬が決まるのか?
しかしそれって…ゴクリ。
先ほどのやり取りが思い出される。
天使が事も無げに言った「殺さないんですか?」の言葉が頭に響き渡っていた。
「見る」
俺はそう答えた。
「助かります、彼女達は双子なので。
報酬を追加しますね」
ん?いま彼女達と言ったか?
まあいい、報酬を確認する。
ステータスALL200プラス。
SP:10000→20000。
まんま2倍になっていた。
大雑把すぎないか…
「どうです?納得しましたか?」
「ああ」
交渉は成立。
次に新しい家族とのご対面である。
その前にやる事があった。
名前と年と種族、そして容姿の設定である。
少し悩む。
しかし、直ぐに悩むのをやめた。
異世界でも俺は俺だ。
俺のままに生きていく。
俺は全てを変更することなく決定する事にした。
さあ、気を取り直して新しい家族との対面だ。