俺、パパになります
異世界転生…
まさか俺にこのチャンスが訪れるとは思わなかった。
と言うか、
風俗通いの帰り道にこの展開が待っているとは…
いいのかよファンタジー世界。
俺みたいなのが、お邪魔しますよ?
そう思ってみて、悲しい気持ちになった。
「いいんですよ」
返事があった。
目の前には神々しいまでの光を放つ羽人間もとい天使様。
普段風俗で抱いている女どもが霞む美しさを魅せていた。
まて、さすがに人間と比べるのは失礼か?
「いいんですよ」
返事があった。
でも、こめかみ辺りに青筋が立っている。
天使は分かり易い方だった。
◇
「強くてNEWゲームがしたいです」
異世界に転生するにあたり、雑魚キャラとか願い下げである。
俺はそう答えた。
今は異世界についての説明が終り、
俺のステータスが提示されたところだ。
その数値があまりに貧弱だった為、
俺は仕方なく苦言を呈した。
「そのステータスは適正値です。
異世界で強くなる努力をしてください」
その機械的な返しにイラッとする。
しかし、せっかく降って湧いたチャンスだ、ここは穏便に進める事にした。
勿論、俺の都合のいい方向で。
「そこを何とか頼むって」
天使が一時悩んだ顔をする。
そして何かを閃いた様だった。
「神の子を育てて貰います」
ん?何言ってんだこいつ…
「里親になって貰います」
???
「分かりませんか?里親です!養親です!育ての親です!」
「言葉の意味は分かるよ。
でも無理っしょ。
神の親とか…マジないわ」
「本気ですよ」
天使の顔が嘘をついていなかった。
「育ててくれるなら…
その願いかなえましょう」
その声音は今までとは違い感情を含んだものだった。
ここで頷けば強くてNEWゲームが実現する。
その事実に俺は躊躇う事無く食いつく。
天使はそれに邪悪な笑みを浮かべていた。