ツンツン頭との戦い
ツンツン頭がコアルームへ向かって歩いてくる
一本道のダンジョンなので見つからずやり過ごすのは不可能だ
くそ! もう一本通路を作っておけばよかったか・・・
「ゴブ太はここにいろ」
まだ召喚はできるがこれはもう戦っても無駄だろう
説得するかダンジョンの外へ逃げるしかない
だが、あの様子じゃ説得は厳しいだろうな・・・
コアルームの扉は大部屋の方へ開いて開ける開き戸になっている。
奴が扉を開けた瞬間 横をすり抜けてダッシュで入口へ走る
俺の見た目は一応人間だからいきなり攻撃されることは無い、と思いたい。
「奴は俺を追いかけてくると思うからお前はその隙に逃げろ! いいな?」
ゴブ太に指示を出す。
最初に召喚したからか、なんか愛着が湧いてるんだよな
死んでほしくない・・・
「・・・」
・・・気のせいか、ゴブ太は悲しそうな表情を見せる
カメラを見るとツンツン頭は扉のノブに手をかける所だった
扉が開く!
俺は室内で助走をつけ部屋から飛び出す! そして入口まで・・・
「甘ェよ!」
「ぐっ、あっ・・・」
ザシュッっと刃物で斬られた感触が足に走った・・・
「がっ・・はっ・・・・・」
あまりの激痛に動けない、声も出ない・・・
くそっ! こいつ、なんの躊躇も無く斬りやがった!
「残念だったな! 冒険者にとってダンジョンコアってのは一攫千金のお宝なんだぜ!
当然、それを感知する術にも長けている!」
ツンツン頭はそう言って笑い、俺を見下ろす
これは人間に対して向ける目じゃないな・・・
なんの罪悪感も感じていない目だ
俺を、金づるとしか見ていない目だ
やばいな、やはり見逃す気はなさそうだ・・・
「はあ、はあ・・・」
苦しい、息をするのもつらくなってきた・・・『コンティニュー』 、ちゃんと発動してくれるかな?
「ふんっ! すぐ楽にしてやるよ! いつ同業者が嗅ぎ付けてくるかも分からんからな!」
ツンツン頭は持っていた刀を振りかぶりそして・・・
「・・・!」
俺は恐怖から目をつぶりその瞬間が来るのを覚悟した・・・
・・・
・・・
・・・しかし、いつまで経っても来ない。
恐る恐る目を開けるとそこに映ったのは俺を庇い、倒れるゴブ太の姿だった・・・
「お、お前・・・何してんだよ・・・」
「・・・」
見るとゴブ太の体は全身傷だらけだ。もうとっくに、限界は超えている筈だ
痛くない筈は無い、苦しくない筈は無い
それなのに・・・
ゴブ太は無言で俺に微笑み、そして息絶えた・・・
「ま、待て・・・ま、まだ・・・文句言い足りないぞ・・・」
なんだこれは? これは現実なのか?
こんな事が許されていいのか? 目を開けてくれ! 頼む!
だが、そんな俺の思いをあざ笑うかの様に奴は言った
「安心しろ! すぐに後を追わせてやるよ!」
刀が振り下ろされ俺の頭に喰い込む
恐ろしい程の激痛とともに俺の視界は黒く染まっていった・・・
◆
・・・
そして・・・
どれくらい時間が経っただろう? 暗闇の中に文字が浮かんで見えた
そこにはこう書かれていた
『コンティニューしますか?』
・はい ・いいえ




