銀色のハイエナとの闘い
「誰一人として死なせないだあ？」
敵は入り口付近にいるモンスター達を次々に狩り始める
「ははっ、どうだあ？早くも誓いは破られちゃったなあ？ダンジョンマスターさんよ～！」
「「「ぎゃっははははは！」」」
まじで醜い生き物だな、こいつらは
人間てのは群れる＋弱者を相手だと どうしてこうなるかね
残念だがそいつらは皆死んじゃいないよ、「何もない部屋」外側辺りで復活させてある
敵が来る前に復活をやりやすい様
モンスター間の距離は離して配置してあるからな
ダンジョン内バトルに比べればコンティニューは容易い
蜂なんかは範囲狩りされると庇いきれないから今回は避難させてある
「やっぱ出来立てのダンジョンだな、モンスター弱え～！」
「ランク１と２しか居ないみたいだな、ボスも居ないらしいし楽勝だな」
「一応子供たちがどこに潜んでいるか分からんから単独行動は控えろよ！」
「「「ういーーす！」」」
敵はもう楽勝ムードだが動きそのものは訓練された者のそれで
お互いがお互いをサポート出来る距離を保って少しずつ進んで来る
ツンツン頭一味とは違うようだな、統率された動きだ
だが、ぶっちゃけ歩みが遅いのは助かる、今回の作戦は時間との闘いだからな
敵はもう口の字部分￣部分を東へ３割程は進んで来ただろうか
入り口 一通の扉前には１０名程度見張りを残したのみだが
例のテレポート杭は設置してあるので連絡一つで敵は戻って来るだろう
そろそろ味方モンスターの数も心許なくなってきたので
ランク２モンスターをスポナー部屋でコンティニュー復活させる
悪いがランク１モンスターは戦力外なので「何もない部屋」外側で待機しててもらう
復活は敵を少しでも疲弊させる為、というのもあるが
スポナー部屋を無視させない為だ
いかにもここからモンスターが湧いて出てますよ、とアピールすれば敵も無視は出来ないだろう
敵も幹部以外は皆ランク２～３なのでランク２モンスター相手だとそこそこダメージは受ける様だ
数の利に加え 敵ヒーラーの数が十分な為、死者こそ出していないが
疲弊させる事、苛立たせる事には成功した様だ
「チッ！先にスポナーを封鎖する必要がありそうだな
見た感じスポナーは南北段差の上にある、チームを３つに分けるぞ！
Ａチームは北へ！Ｂチームは南のスポナーを塞げ！Ｃチームは中央で待機し両チームをサポート！
幹部は各チームに３人ずつ付いてやれ！
スポナー部屋付近には罠が仕掛けられている事が多い、焦らず罠の有無を調べてから進めよ！」
「了解！Ａチームはこっちへ集まれ！」
「Ｂチームはこっちな、急げよ！」
「Ｃチームはここで待機！敵がＡ、Ｂチームへ行かない様に東からの増援を潰すぞ！」
「「「おおーー！」」」
敵の大将、スキンヘッドは見た目はチンピラだが指揮官としてはなかなか優秀だね
チーム分けも事前にしてある様でとてもスムーズだ
Ａチーム１２０ Ｂチーム１２０ Ｃチーム１５０人ってところか
敵Ａ、Ｂチームは持参して来た梯子を立てかけどんどん段差を乗り越えて来る
最初は段差の上から迎撃しようとしたモンスターも居たが
敵幹部が驚異のジャンプ力で段差の上へ飛び乗り あっという間に周囲を制圧される
どうもランク４くらいから化け物度がグンと上がるみたいだな
「よし！全員上がり終えたな！では遠距離攻撃で敵をせん滅しつつ罠の有無を調べていくぞ！
基本的に攻撃を当てた相手にモンスターは向かってくる
前衛は誰がどのモンスターを攻撃したかを瞬時に確認し
後衛への壁となる位置へ陣取る事！
全員必ず罠の無い事を確認した場所を歩く事！
モンスターのランクは低い様だが
ちょっとした油断で命を落とすのがダンジョンという物だ！油断は禁物だぞ！」
「「了解っす！」」
まあ罠なんて無いんですがね・・・
敵はモンスターを殲滅しながら罠の有無を調べ、ついにスポナー部屋の前までやってきた
モンスターの復活が出来るとはいえ、復活までは数十秒の時間が掛かる
敵もなかなかやるもので 俺が復活させるより殲滅の速度の方が速いのだ
敵は油断するなと口では言っているものの
ここまで来れば余裕が出て来たのだろう
戦闘に参加してない者達は談笑してる所も見て取れる、いい傾向だ
スポナーはその上に異物、例えば重石などを置かれると
それだけでモンスターを召喚する事は出来なくなってしまう
そうしてスポナーを塞いでいくのはダンジョンを攻略していく上での定石なのだろう
だが、今回はその定石が奴らの命取りとなる
敵はもはや作業化された動きで罠を索敵する者がスポナー部屋に入り罠を索敵
魔法使いや弓使いがモンスター召喚に備える
北側にはスポナー部屋は３つあり、Ａチームはその３か所に同時に入って来た
その内の２か所は罠索敵者がランク３だ、狙うならここだな
ちなみに南側は北より防衛を強めにしている為
Ｂチームはまだスポナー部屋まで辿り着いていない様だ
みんな既に地下２階エレベーターに乗り込み待機しているので
すぐにエレベーターを起動させ
地下１階スポナー部屋入り口にエレベーターを上昇させる
罠索敵者はそれに気付き、急いでスポナー部屋から出ようとしたが間に合わなかった様だ
見事スポナー部屋に孤立させる事に成功した
エレベーター入り口はスポナー部屋内側に向いているので
部屋の外から操作は出来ない、入り口を塞ぐ形になっているので
外から増援が来る事も無い
罠索敵者がスポナー部屋から出る為にはエレベーターに乗り
地下２階へ降りるしか無いが、行先は地下２階居住区前の通路
そこから本隊と合流する為にはモンスターを山盛り待機させている大部屋を抜けなければならない為
こいつはもう詰んだも同然だろう
