保護
ゴブ太とハイピクシーが庇う様に俺の前に出て構える
だが、もうこれは無理だろう・・・
共に戦った所で死ぬまでの時間が長引くだけだ
次の一撃が来たら俺が前に出て攻撃を喰らいコンティニューしよう・・・
復活可能とはいえ、ゴブ太たちがやられる所は見たくない
そこまで考え2体の動きに意識を集中させていたが
いつまで経っても動かない、どうした?
何だか分からないが このまま待機すれば他の仲間が駆けつけて来る時間を稼げるか?
なんて思った所でスライム達が喋りだした
「今マスターって?もしかして人間じゃなくてダンジョンマスターなの?」
「た、たぶんそうだよ!よく見れば気配が人間とは全然違うし、モンスター達も従ってるし・・・
はわわ、どうしよう・・・俺、めっちゃ攻撃しちゃったよ!」
「わ、私もだよ~!」
2体はどうしよう、どうしようと騒ぎパ二クっている
こうして見ると、恐るべき戦闘能力を持つが中身は子供なんだなあと思う
その後、一足遅れて他のゴブリンやピクシー達が駆け付けて来たが2体への攻撃はしないように命令する
襲われはしたけど、なんか憎めないんだよな こいつら
このスライムたちを殺すってのは俺にはハードル高いわ
「あ~、2人ともそんな恐縮しなくていいから!気にしてない、気にしてない」
「「うう、ごめんなさい・・・」」
2人がしゅんっとなっていたので出来るだけ明るい感じで話しかける
ゴブ太やハイピクシーは複雑そうな顔をしてるが・・・
まあ許してやってくれ
まだ子供だし、何か事情があるみたいだしな
「マスターは今後 単独行動禁止です!」
「せめて俺たちに一声かけてからにしてくれよ、護衛するにしても準備ってもんがあるからさ」
あ、そっちに怒ってるのね・・・ごめん
前述の様に入り口は落ち着かないのでコアルームまでスライム達を招き話を聞こうとしたが
2人は何か思い出したのか、泣き出してしまったので落ち着くまで待つ事にする
ゴブ太とハイピクシーはまだ険しい顔をしていたが
その様子を見て溜飲が下がったらしく、2人の心配を始めた
「つらい思いをしたのね、まだ、子供なのに・・・」
「俺たちに出来ることがあれば力になるから何でも遠慮せず言うんだぞ!」
「ううっ、2人とも、何でそんなっ、優しいの?俺、攻撃したりして・・・悪い子なのに・・・」
「私も、いきなり攻撃したりして・・・これじゃあ人間と変わらないよ
ホントにごめんなさい・・・えぐっ」
「そんなの気にしなくていいわよ!」
「悪い子じゃない、気にし過ぎだ!」
その後もスライム兄妹はなかなか泣き止まなかったが
ゴブ太たちの心配の甲斐あってか、数分後やっと落ち着きを取り戻した所で話を聞く事になった
「人間が、俺たちの住処に攻撃を仕掛けて来たんだ」
「最初は、狩りに出かけた人が襲われる事から始まったの
集落の外へ出た者は闇討ちされる様になって、どんどん数を減らされていったわ」
「それで外へ出て行くのも難しくなって、しばらく立て篭もっていたんだ・・・
そしたら、大勢で攻め込んで来て、みんな・・・」
「私たち以外はみんな殺されたの・・・
私たちも、人間に追われて、行く所も無くてここへ・・・」
「分かった!もういい!つらい事を思い出させてごめんな」
聞いてるこっちもつらいので中断させる
それにしても、そいつらまじムカつくな・・・
何とか思い知らせてやりたい
話を聞く感じではその道のプロっぽいし
この子達を追跡してここへ現れる可能性は高いだろう
その時はこっちも容赦しない事にしよう
外道が相手なら遠慮しなくていい分 こっちもやりやすい
このダンジョンは相手を殺しに入った時は下手な復讐系小説なんかより
遥かに凶悪だという所を見せてやるよ!
いかんいかん、脱線した。今はこの子達をどうするかだな
「2人とも、行く所が無いのならここへ住んでくれて構わない
俺を頼ってここへ来てくれた訳だしな
出来る限り力になってやりたいと思う
だからもう、人間なんかに怯える必要は無いぞ!」
スライム兄妹はその言葉を聞いて また涙腺を緩ませている
ホントよく泣くね、この子らは
「ただし、泣いてる子は住む事は出来ないかもな!」
なんて意地悪を言ってみる
「な、泣いてないよ!ぐすっ」
「わ、私も、泣いてないもん!」
意外といいリアクションをして からかいがいがあるな、なんてニヤニヤしてると
「マスター!どうしてそういう意地悪言うんですか!」
「兄貴、子供をいじめるのはよくないぞ・・・」
なんてお叱りを受けた
な、なんか打ち解けてくれた様で何よりだ
『スキル:『クロックアップ』を覚えました』
そして、どさくさに初の戦闘用スキルを覚えた




