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◆山のダンジョンのスライムvs銀色のハイエナ

「は!山のダンジョンなんざ平和の象徴みてェな所だろう?

 いつ死線を潜ったんだ?おお?」


敵の前衛はそう叫びながら仲間たちに攻撃するが皆難なく防御する

同ランク、ランク2~3程度の敵の物理攻撃なら問題は無い

スライムは物理攻撃に対する防御力は優れている上に我らに限って言えば「人型」との戦いは慣れているだけに対処も容易たやすいのだ


敵の前衛は驚きを隠せていない

もっと自分たちの攻撃が通じると思っていたのだろう、無理もない

人間の持つ近接戦闘の技術は決して馬鹿に出来る物では無く

人との戦闘経験の無いモンスターはそれに対処出来ずにやられてしまう場合が多い

しかし我らは「アビス」から出てくる人型の魔物と幾度も戦った経験がある

奴らに比べれば同ランクの人間の技術など物の数ではない


「ちっ!スライムのくせに小賢しい!だが、もう終わりだ」


敵の前衛はそう言って我らから少し距離を取る、と同時に後衛の魔法詠唱が終わった様だ


「「「猛る灼熱の炎よ、全てを焼き尽くし喰らい尽くせ!ファイアブレス!」」」


恐ろしい程強大な炎が我らを包み込む

我らスライムは魔法全般に弱いと言ってもいい、だがそれは「野生種」の場合だ

つたないが知能を備える我らに単一属性での魔法攻撃が通じると思うな!


「バリアチェンジ」を覚えている者達が前へ出て自らを炎属性に変化させ炎魔法を無効化する

と同時にわしは魔法を詠唱する


「猛る灼熱の炎よ、全てを焼き尽くし喰らい尽くせ!ファイアブレス!」

「な!スライムが魔法だと!ぎゃあああ!」

「あ、熱い・・・助けてくれ!」

「し、死にたくない・・・」


敵は自らが放った炎魔法が煙幕となり、かなりの人数が魔法を喰らった様じゃ

死者も数人出ている、対してこちらはまだ犠牲は出ておらん順調じゃ


「くっ!凍てつく氷の槍よ、敵を貫け!アイスランス!」

「無駄じゃ」


今度は氷の魔法が襲ってくるが同じ要領で無効化する

バリアチェンジのリキャストタイムは一分と短い

班を複数に分けておけば常時使用可能じゃ

第1班は炎、第2班は氷の魔法を無効化する、そして


「凍てつく氷の槍よ、敵を貫け!アイスランス!」

「ぐおおおおお!」

「腕が、俺の腕が・・・」

「血が止まらねえ・・・だ、誰か・・・」


再び魔法を喰らわせる、順調に敵の数を減らせてはいるがまだまだ数の差は大きい

幹部らしき奴らも見ているだけじゃしな、本番はこれからか・・・


「ブルースライムとブルーウォータースライムだけかと思ったけど

 一体だけ高ランク個体が居る様だね」


「ああ、見たことの無いスライムだ 恐らくランク5って所だろう

 仕方ない、俺らも混ざるか

 あいつらだけじゃあ荷が重いだろう」


「てめえら!魔法を撃つのはいいがもっと属性を散らせ!

 あと、撃った後は防御に意識を向けろ!

 恐らくカウンターで魔法を撃ってくるからな!」


「「「は、はい!わかりました!」」」


今まで後ろで見ているだけだった高ランクの人間が動き出した

指示も的確じゃ、これは一気に厳しくなるな・・・

わしのスキル「カウンターマジック」は直前に放たれた敵の魔法をコピーし半分のMPで放つ事が出来る

MPの節約になるが、どの魔法をどのタイミングで撃って来るかが分かりやすい為

原理を知っている相手からすれば防御は容易い、もう使えんか?


「風よ!鋭い刃と化し、彼の者達を切り刻め!ウインドカッター!」

「ふん!」


今度はカウンターでは無く こちらから魔法を撃つが敵の幹部らしき男に受け止められる

無傷では無いが即座に周りの者達が回復魔法を掛け、男の傷を癒す

男はそのまま足を止めず単騎で突進し、仲間たちに斬り掛かる!


「ちょ、長老・・・先に逝きます、ご武運を・・・」


深手じゃな、もう助からん・・・

じゃが安心して眠るがよい、わしらも、すぐに逝く・・・


この男強い!やられたのはランク2の者だったとはいえ物理には強いわしらスライム族を斬撃で屠るとは

2合目以降はランク3の者が前に立ち相手をする事で何とか凌いではいるが長くは保つまい


スライム族は防御は高いが攻撃能力に乏しく、動きも遅い

じゃから皆が防御に徹し壁を作り、わしが魔法で攻撃するという戦法を取ってきたが

一撃で倒せんとなると厳しいのう、回復されてしまう

回復役ヒーラーを先に攻撃するか?いや、ヒーラーの前には既に人壁が出来ておる

なかなかの連携じゃ、やはり簡単では無い相手だのう・・・


仕方が無い、魔力は大幅に消耗するが受けて立とう!

男よ!いかに強かろうがわしを前にして単騎駆けは無謀だったと思い知るがよい!


「わしは山のダンジョン スライム族の長老ウィザードスライムのグラム!

 マスターや仲間たちと共に幾多の戦場を駆けし我が魔法、受けてみるがいい!」


魔法は一撃必殺の威力を持つものが多く、瞬間火力という点では物理攻撃を遥かに凌ぐ

だが詠唱をしなければならないので連発は出来ないし

詠唱から魔法の属性を予測すればバリアチェンジなどで防ぐのも容易である

また、当てるのも難しく 遠くから撃っても余裕で回避されるであろうし

相手との距離が近すぎれば詠唱を邪魔される可能性が高い

仲間の補助無しでは なかなか使える物では無いのだ


これから使う技は昔 クロという魔法使いに教えてもらった魔法使いが単独で戦う為の技術だ。

それは「詠唱短縮」 クロ殿は無詠唱で魔法を撃っていた

わしも努力はして来たつもりだが、そこまでの境地には至れなかった

「詠唱短縮」は魔法名のみで魔法を撃つ事ができ

連発も出来るので極めれば威力も命中率も大幅に上昇する


じゃが、わしは未熟なので魔法の威力は7割程度まで落ちるし消費するMPは2倍に増してしまう

しかしこの男を倒すにはこれしか無いじゃろう


「喰らうがいい!ファイアブレス!」

「なっ!ぐおおお!」


男は驚いた顔を見せる、無理もない

わしも詠唱短縮を使える者はクロ殿以外には見たこと無いからのう


男は炎に焼かれるが、即座に回復魔法で癒される

だがその傷が完全に癒える前にさらに追撃する!


「ファイアブレス!ファイアブレス!」

「ぐおお!面白れェ!勝負だ!」


だが男は退くでも無く踏みとどまり仲間たちに攻撃を続ける


「勇敢なる人間よ、見事だ・・・」

「みんな、悲しまないでくれ・・・ちょっと、先に逝くだけさ・・・」


二体の仲間が倒される、傷ついてから明らかに圧力が増しておる

「ガッツ」持ちか?

己の命が尽きる前に仲間たちを蹴散らし わしを倒すつもりか?舐めるな!


「ファイアブレス!ファイアブレス!ファイアブレス!」

「ぐあああああああ!がああっ・・」

「ボアさん!今助けに、ぐおお!」


まだ死なんのか、恐ろしい程頑丈な相手じゃのう・・・

何人かは男を助けに向かおうとしたが そこにも魔法を撃ちこみ焼殺する

外敵とは言え 勇敢な男じゃ

仲間の犠牲を減らす為に単騎駆けを選択したのじゃろうが失敗じゃったな

こんな所で死なすには惜しいとも思えるが、悪く思うなこれが戦いというものじゃ


「ファイアブレス!ファイアブレス!ファイアブレス!ファイアブレス!」

「・・・・・」


さらに魔法を撃ちこみ男を焼殺する。もはや回復魔法も意味を成さない

ボアと呼ばれていた男は炎に包まれ死んだ

だが死ぬまでの間に仲間をさらに4体は道連れにしおった

わしのMPも空に近い、ここまで消耗するとは思わなんだ敵ながらあっぱれじゃ


スライム族 7体死亡 残り43体

銀色のハイエナ 35人死亡 残り465人




 

 


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