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醜い人間社会

 コアルームのカメラを見ると、あちこちでモンスター達の戦う姿が見えるようになった。どうやら生息域が接触したようだ

 ノエルも一緒にカメラを見ている


 罪悪感を感じないと言えば嘘になる。カメラ越しとはいえモンスターが死ぬ度にチクリと胸が痛む

 だが、俺たちが生き残る為には必要な事なのだと、慣れて行かなければならないのだろうな


「では私はもう行きますね」


 しばらく無言でカメラを見ていたが、そろそろノエルは帰る時間の様だ

 また買い物を頼んである

 ちなみに前回はスキルや魔法、モンスターなどについて書かれた本、寝袋、メモ帳、筆記用具、食器などを頼んでおいた


 今回は鍛治、裁縫、皮細工などに使う道具を頼んである。スキル持ちを召喚しても道具が無いからな。召喚するのは道具が揃ってからだ

 道具を自力で作るのは結構なロスになるのでここは買って済ませようと思う


 かなり高重量だけど大丈夫か?と聞いたところ平気へっちゃらです!っとの事

 そういや見た目に反して怪力なんだった


 持ち運びもファンタジーでよく見かける見た目より物が収納できるアイテムがあるそうなので心配はいらないそうだ


「ああ、そう言えば行く前に少し注意しておきますが」

「ん?」


 なんだろう?


「もしこれから言う4人組の冒険者が来た場合、絶対に戦ってはいけません」

「そんな少人数で来ることもあるのか?」


「はい、少数精鋭パーティは大軍と比べ進行速度が速く、敵も無視して先へ進みやすい為 ダンジョン内での滞在期間が短くて済みますからね

高ランク冒険者が奥地で狩りなどをしたい場合は少人数で来る場合が多いです」


「ほうほう、で・・・4人組っていうのは?」

「はい、特徴は4人中3人は鑑定出来ないのですぐ分かると思いますが」

「鑑定出来ない?」


「はい、一定以上のランクの相手は鑑定出来ませんので鑑定出来ない相手はすごく強いと思ってれば大丈夫です」


ってことはツンツン頭より強いのが3人か。それは確かに戦っても無駄だな・・・


「1人はゴリラ・・・じゃなかった! 『ゴリアテ』さんという方で、私が知る限りではこの世界最強の攻撃力を持つ人類です。通称ゴリさんです!」


 1人はゴリラっと・・・


「もう1人は『オッサ』さんという方で、この人も私が知る限りでは世界最強の防御力とHPを持つ人類です。

多くの方に慕われていて、去年行われた『目標とする人物アンケート』では過去の偉人や現在のSランクトップ冒険者等を寄せ付けず堂々の1位に輝いた方です! 最強の男とも呼ばれています!」


 1人はおっさんですごい人気っと・・・


「そして黒髪ショートヘアの『クロ』さん。正確な年齢は謎ですが、多分10代後半位だと思います

見た目はとても小さくて可愛いですが、間違いなく世界最強の魔法使いです」


 お前も小さいけどね・・・ぐお!


「おまっ!ローキック・・・おまっ!」

「私はこれから伸びるんです!」


 ノエルはプンプンしながら続ける


「最後の1人は『ユズ』さん。回復や補助魔法の使い手で4人の中で唯一鑑定が可能です

前見た時は・・・っと、個人情報なのでランクは明かせませんがヒーラーとは言えこの前の冒険者達よりは遥かに強いです。見た目はポッチャリしてます」


 おいおい・・・ツンツン頭より強いの?


「ユズさんは他3人ほど人外ではありませんし、本人も実力が劣ることを気にしている様ですが、それでもユズさんと同等ランクの者は世界中探しても30人も居ませんので充分超一流だと言えます。」


 ゴロゴロ居る訳じゃあないのか、ちょっと安心・・・でもそう考えるとやばいな、そのメンツは

 トップ30の内、4人がパーティ組んでるわけだろ?


「そいつらがSランク冒険者ってやつか?」


 今更だが冒険者というのは各地を旅しながらギルドを通じて人々の依頼を受け、モンスター討伐や素材の採集、護衛任務など色々な事をこなす職業の事だ

 冒険者ギルドは世界各地に支部を持っていて国を超えた活動が可能な為、世界中で重宝される組織となっている


 冒険者にはギルドからランク付けがされていて、Sが一番上でFが一番下となっている


「いえ、全員Cランクですね」

「え? なんでよ? 性格に問題があるとかか?」

「そうですね、皆仕事熱心で1人で仕事をしている時も決して手は抜きません」

「ほうほう」


「そして普通の人が嫌がる様な仕事、例えば肉体的、精神的疲労が大きい仕事。汚れる様な仕事、危険度の高い仕事など自分から進んでやろうとします」


「ふむふむ」


「あと、あまり裏表はありませんね。裏で人の悪口を言ったりしませんし、上司や権力者との仕事の時だけ張り切って仕事をするということは好まない人間です」


「うんうん」


「困ってる人が居れば助けずにはいられない性格で、その際は敵の強さ等はあまり考えずに行動に出たりします

それで何回か死にかけてるんですが・・・その甲斐あってか、今では世界最強クラスです」


「めっちゃいい奴じゃん! なんでCランクなの!」


 やべえ! 俺そいつらの事 結構好きかも!


「いい人で仕事も出来るからですよ・・・そんなのが出世して上へ上がってきたら今 上に居る連中は困るでしょう?」


「むぐぐ・・・」


「上へ上がれる連中というのは普段は全く仕事をしていないのに上司や権力者が相手の仕事の時は全力で頑張り

裏では人の悪口、失敗を言いふらして他人の足を引っ張る事に一生懸命で飲み会などの時に会話するスキルが高く、顔を覚えてもらう事に長けています。

まあ要するに要領よく立ち回れる人間で、それを恥とも思わない人間じゃないと上へは行けません」


「功績立ててもダメなんか?」


「ダメですね、手柄なんか情報を操作されて上の人間に取られます。基本的に上の人間は自分では仕事はせずにアゴで人を使い、手柄は自分の物、いやなら辞めれば? 代わりはいくらでもいるよ、というスタイルです。

自分が何か失敗をすれば部下のせいにしますし、気に入らない人が失敗をすればここぞとばかりに叱りつけますね」


「ぬぐぐぐ・・・」


「前にも汚れ仕事を押し付けられ、服を汚して帰って来た子がみんな同じ様に仕事してるのになんでお前だけ服汚すの? 気をつけろよ!

なんて言われてる事がありましたね。同じ様に仕事してないっつー話ですよ!」


「・・・」


「まあ、という訳で上の連中に嫌われてるのでBランク以上には上がれないと言う話ですね。Bランク以上に上がるには試験が必要なのでそこでなんやかんや理由を付けて落とされます」


「それってさ、何とかなんないの? 4人組を慕ってる奴らも結構居るんだろ?」


「なりませんね、残念ながらそういう真っ当な人間より悪人の方が圧倒的に多いんですよ。

争いごとになれば少数派がどういう扱いを受けるかは想像つくでしょう? 特に権力を持っている人間が悪人なら尚更です」


 なんかすごいムカつくんですけど・・・


「もうさ、人類滅ぼそうぜ!」

「いい人も少数ながら居るのでダメです! とマジレスしておきます」

「じゃあさ、そのギルドの上の奴らだけでも抹殺しようぜ!」

「抹殺しても、また頭になるのは悪人だと思うので無駄ですよ」

「むぐぐ・・・頑張ってる人間が評価されないとか間違ってるだろ!」


「そうですね、間違っています。しかし実力ある者が真っ当に評価されるのはスポーツ等の勝負の世界だけなんですよ。人間社会はもっと汚れてて、醜い物なんです」


「・・・」


 すげームカつく・・・すっげームカつく! 俺の中でギルド上層部への好感度は0になった






















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