居住区
『パパ! 起きて! パパ~!』
「ん、どうした~?」
時刻は午前0時1分 妖精樹に起こされた
『DP入ったでしょ? 早く会いに来て~! お顔見たいの!』
「ん、分かった。ちょっと待ってな~」
『うん、寝てる所起こしてごめんね! どうしても待ちきれなかったの・・・』
「ああ、気にすんな~」
正直まだそっちにDPを使う予定では無かったがまあいいか、妖精樹の事は我が子の様に思えるしカメラ越しでは無く直に見てみたいし触れてみたい。
妖精樹の生えている空間は後々人型モンスターや俺が住むための居住区にしたいと思っている。
せっかく空間を作ったので有効利用したいというのもあるが外部から見えない+隔離された場所にあるので拠点にも向いているだろう事
そして何より景観がいい。
真ん中の吹き抜けに巨大な樹が立ち、その根元には湖(貯水槽)が広がり、それらを囲う様に家々が建ち並ぶ・・・想像するだけで創作意欲がわいてくるな
妖精樹の居る場所は口の字の真ん中辺り
まだ予定の段階だが今から居住区と呼ぼう。まずは居住区へ向けて通路を伸ばして行く。そして10メートル手前で止める
このままだと ただの行き止まりだがそこへコアルームを移動させ経由する事で居住区への行き来が可能となる
コアルームが居住区入口に無いときは内部へ入れないのでセキュリティレベルもかなり高いと言えるだろう。
俺が居住区に居る間コアルームは居住区入口から動かせないし(謎ルールの為マスターは隔離空間に閉じこもる事は出来ない)
コアルームを一度移動すると24時間は動かせないのだが、同じような入口を何個か作り、ダンジョンを広げ、例えば入口1から入口2への移動に24時間以上かかる作りにすればソロ相手なら無敵なんじゃないか?
でもテレポートがある位だから10メートルくらいテレポしてくる可能性もあるよな。壁を壊すスキルもあるかもしれない。過信は禁物か
居住区をエリア4・・・いや、4は縁起が悪いな、5にしよう。エリア5に設定する
通路拡張DP535消費 残りDP2000
コアルームを居住区入口に移動し扉を開けてついに妖精樹と対面する
「おお・・・!」
とてつもなく大きく、そして美しい緑の樹がそこにあった
巨大な自然という物は人の心を魅了する力を持っていると思う
うまく言えないが浜辺で波を見てると落ち着くあの感じに似ている
いつまでもボーっと見ていられる様な、そんな気がする。
妖精樹に見とれていると背後から声が聞こえた
「わあ! 綺麗ですね!」
ノエルが寝袋のままゴロゴロ転がって扉の前まで来る。起こしてしまったか?
「おい、まだ足場作って無いからな。落ちるなよ!」
「分かってますよ~!」
と言って下を見たらクラっと来た・・・高い、こわっ・・・これ落ちたら死ぬよな? 落下死でコンティニューとか洒落にならんからな、気を付けないと、と考えてると
『大丈夫、足場作るよ~!』
にょきにょきっとかそんな可愛い音は聞こえて来なかったが、周りを囲う壁から根っこが飛び出しあっという間に螺旋状の階段になった
ご丁寧に蔓の手すり付きだ。これで落下死することは無さそうだな
コアルームを出ると踊り場になっている。踊り場から身を乗り出し妖精樹に触れてみる
「暖かいな・・・」
侵入者との戦いはこれからも続くだろう。それは心を摩耗する戦いだ
だが、ノエルにゴブ太やハイピクシー達、魂のつながった21人の者たち、そして妖精樹
確かにここにある温もり。この温もりがある限り俺は戦って行けるだろうと思う
『パパ! 会いに来てくれてありがと~!』
「これからは毎日会いに来るよ」
『わ~い!』
この温もりを失わない為にも頑張らないとな!
◇
コアルーム内の様子が妖精樹にも見れる様ドアを開けっぱなしで作業している
ノエルもすっかり目が覚めたのか、起きるなり転移魔法陣で入口へ飛び 出入りでDPを補充してくれた
おかげでレベルも27から28に上がった
帰りは歩きしかないのが少し申し訳ないな。コアルームまでの距離もダンジョン入り口から1キロ程に伸びてしまった
DP2000+残りDP4000
受粉用に蜂モンスターを召喚する
こいつらは繁殖率がすごく高いのでスポナーいらずだ。半面召喚コストは同ランクの他のモンスターより高めだ
女王蜂490DPと雄蜂10DPをセットで召喚する
4セット召喚して口の字の角に1セットずつ配置する。少し増えるまでは蜂に対する攻撃は不可にしておくか。これで絶滅することは無いだろう
2000DP消費 残り2000DP
ファンタジーの様に1メートルとかあるお化けみたいな蜂が出てくるかと思ったけど案外普通だったな
とはいえスズメバチくらいのサイズはあるからめっちゃ恐いけどな・・・
ノエル曰くランクが上がればでかくなるのも居るけど基本的には虫モンスターは小さいまま進化していくそうだ
小さいまま攻撃力や防御、さらに毒攻撃も強化されていくので普通に白兵戦で倒そうとすると非常に厄介だが魔法等の範囲攻撃には弱い様だ
「あとは何にするかな~?」
と言いながら チラッとノエルの方を見る
正直頼りすぎてる感はあるが今は自己流で無駄にDPを消費する余裕は無いので基礎が固まるまではダンジョン経営に詳しいノエルの言う通りにしていく
仲間の命も掛かってるからな、効率厨と笑いたければ笑え!
「次は土壌生物がいいと思います」
「ミミズとかか?」
「そうですね、元々土エレメントが出す土は土壌微生物を多く含み植物を育てるのにも適した土なので あまり土壌改良をする必要は無いのですが。最悪新しい土と入れ替えればいいですし」
「ほうほう」
正直よく分からないが聞いているアピールをする
「しかしこのペースで植物が育つと落ち葉などが積もってえらい事になると思うので それらを食べる生物は必要かな~と
ダンゴムシとかミミズとかかな。まあ必須では無いので慌てなくても良いです」
ノエルが言うには土壌生物モンスターはダンジョン内の魔力を吸う事と食事でレベルアップするらしい
食物連鎖では最下位に位置するとても弱いモンスターだが繁殖率が高く、他のモンスターのレベルの底上げ、数の維持などに役立つそうだ
「あるいは草食系モンスターの数を増やすというのもアリだと思います。植物系モンスターの成長速度も気になりますしね」
「う~ん悩む! けど土壌生物にしとくか」
「それならこれがおすすめです!」
「ほうほう」
最悪植物モンスターが増えてもゴブ太達に狩らせればいいしな。むしろレベル上げにもなっていいんじゃなかろうか?




