受粉
『植物系モンスターの成長速度が上昇しました。
植物系モンスターにステータス上昇補正5パーセントが追加されました』
メッセージが流れる。妖精樹はなかなか使える子の様だが、定期的に魔力と水を吸わないといけないので現時点ではまた魔力が枯渇する可能性がある
草食系か肉食系のモンスターを増やしてダンジョンの魔力密度を上げて行かないとな
それに妖精樹はダンジョンメニューでは建造物扱いなのだが同時にステータスやランクも存在するモンスターでもある
色々と特殊な存在の様だ。このでかさでランク2・・・つまりまだまだ成長しそうなんだよね。そうなると部屋も拡張する必要がある
うん、DPはいくらあっても足りないね・・・
「残りDP0ですもんね!」
「むぐぐ・・・」
とりあえず暇なのでまたダンジョンの様子を見に来ている
所々にモンスターが居るが流石に1日程度では数は増えていない様だ
ノエル曰く3日以内には増えるらしいがその頃には生息域が接触するだろうし、数のバランスがどうなるかはその時にならないと分からない
今はDP0なので仮にモンスターが減ってもスポナーから補充される事はない。まあ今回は仕方ないな
次は何のモンスターを増やそうかな~? と考えているとまた心を読んだのか
「次は虫モンスターを召喚したほうが良さそうですね!」
とノエルが言ってきた
「見てください、もう芽が出ています!」
ノエルの指さす方を見ると昨日植えたばかりの植物の種は早くも芽を出していた
「おい、この世界ではこれが普通なのか? 成長速すぎないか? 何だこのお化け植物は・・・」
正確には昨日の夜に植えた物もあるだろう。半日掛からずに芽が出てる事になる
「きっと妖精樹の力でしょうね」
なるほどモンスターだけでなく、通常の植物も成長が速くなるのか。色々な力を持ってるんだな
「他にはどんな事が出来るんだ?」
返事が来るか分からないが声に出してみる
『植物モンスターなら色々生み出せるよ~! 召喚していい? 内蔵魔力は減っちゃうけど!』
どうやらダンジョン内であればどこでも声が聞こえる様だ
「いや、今は召喚しなくていい! 必要になったら指示を出すから!」
『うん、分かった~!』
今はただでさえダンジョン内の魔力が枯渇気味なんだ。植物モンスターはこれ以上増やさない方がいいだろう
だが戦力としても期待できそうだなこれは
妖精樹が召喚したモンスターを前線へ送る横穴を繋げるべきか? いや、転移魔法陣の方がいいか
その後も妖精樹と話をしていく内に妖精樹について色々な事が分かった
侵食して行くのに時間は掛かるがダンジョンの床や壁、天井等にも根が張れる事
根を張った周辺は知覚出来る事。
植物モンスター、あるいは普通の植物を生み出せる事。空気や水の洗浄、植物のパワーアップ、成長促進など様々な能力を持ちそして、寂しがり屋な事だ
『わたし、パパの傍に居たいし出来ればコアルームは私の近くに移動して来て欲しいな~!」
「そ、そうか?」
『うん! お願い~!』
「分かったよ、でも今はDP無いからもう少し先になるぞ」
『いいよ~! 待ってる~!』
う~ん、となると通路をどこかで繋げないといけないんだよな~
実は今地下2階~5階へは行く方法は無い。というか妖精樹の居る空間へはどうやっても行けない。
転移魔法陣を設置するか通路で繋げなければダンジョン内転移も使えない。完全に隔離された空間なのだ
隔離空間は何故かモンスターの召喚は出来るのだが出る事は出来ない
例外として水道管を通れば行き来は出来るが、水道管は直径20センチ程度で当然中は水なので通れるモンスターはかなり限られてくる
妖精樹を植えた時は土エレメントに種を持って行ってもらった
将来アイテムなどが手に入るのであれば隔離空間を作り、そこにアイテムを保管してもいいかもしれない
転移で一気に行けるようにしてしまうと場所がバレた時に危険だからな
やはり通路で繋ぐ事になるだろう。うん、ますますDP足りないね。妖精樹にはしばらく待ってもらう事になりそうだ
「DP0ですもんね!」
「むぐぐぐ・・・」
◇
「そう言えば、虫がなんとか言ってなかったか?」
「はい、もう少し先になるかと思っていましたが、これだけ育つのが速いと急いで召喚した方がいいかもしれません」
「ああ、受粉させないといけないからか?」
「はい、植物系モンスターは放っておいても勝手に繁殖するんですが普通の植物はそうはいきません。繁殖させるには虫を使って受粉させる必要があります」
「ふむ」
「さすがに全てを人工授粉で管理するのは手間が掛かりすぎ現実的ではありませんからね」
まだ植えるのすら終わって無いからな・・・




