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妖精樹

「マスター、これ使ってください!」


 そう言ってピクシー達に渡されたのは何かの種だ。


 あれから一夜明けて今は朝の10時

例のゴブリンとピクシー達は生まれた時に『初代』からこれを渡されていた様だ。鑑定してみる。


妖精樹の種

・妖精界に生えている樹木を総称して妖精樹という。同じ種でも立地条件により生えてくる物は違う。


 う~ん鑑定の説明は簡略すぎてよく分からんね。先生に聞いてみよう


「ノエル、これどんな物なのか分かるか?」


「私も妖精樹がダンジョンに生えているのは見たことありませんね。どんな物が生えてくるのかは謎です」


「先生でも分からないか」

「誰が先生ですか!」


 分かっている事といえば妖精樹は魔力の無い所だと育たないので人間界、ダンジョンの外では相当自然が豊かな所で無いと育たないそうだ


「ただ、初代から渡されたというのであれば普通の物とは違う特別なアイテムかもしれません」


「どゆこと?」


「はい、死亡したモンスターの親密度が一定以上の場合ギフトアイテムが贈られる事があります。

これは死亡したモンスターの魂の力が一部込められている為 非常に強力である場合が多いです。さらに今回は19体分ですからね・・・

正直このダンジョンに使用するのは まだ早いかも」


「う~ん、でも種って寿命あるんだよな?」


「通常の種なら短くても数年は持つと思いますが妖精樹はどうなんでしょうね?」


「分からない、けど・・・あいつらの形見だし、ちょっと無理してでも植えてやりたい。魔力で育つっていうんならダンジョン内で枯れる事は無いと思うし」


「ん~、もし寿命が短いんなら放置すれば発芽率が下がるかもしれないですし思い切って植えてみますか? やらずに後悔よりもやって後悔しましょう!」


「なんで後悔前提なんだよ・・・」


 ノエルは何か心配してるが俺は結構ワクワクしている

 ダンジョン内の建造物はダンジョン作成画面で転移できるので妖精樹の場所は後からでも移動可能だ。とは言え、できるだけ邪魔にならない場所を選ぶ


 植える場所は地下2階貯水槽の傍に決定

 小さい部屋(DP100消費)を貯水槽の横にコブ状にくっつけ、そこに穴(DP100消費)を掘り、種を落とした後 土エレメントで埋めた。すると・・・


「あらら・・・」


 ノエルは言わんこっちゃないって顔をしてる

 貯水槽の水がすごい勢いで無くなっていき、あっという間に空になった

 マジか! 5000t以上はあった筈だぞ!

 俺が驚愕しているとさらにメッセージが響いた


『ダンジョン内の魔力が枯渇しています。DPを消費して補充しますか?

補充しない場合、妖精や植物系モンスター等は数日後死亡する可能性があります』


「おいおい・・・」


 勿論補充、DP500消費して口の字部分と地下2階を魔力で満たした

 迷宮部分エリア2はとりあえず放置だ。あそこはまだモンスターも居ないし植物も植えてないからな。残りDP3201


 さて、何が起こる?


『ダンジョン内の魔力が枯渇しています。DPを消費して補充しますか?

補充しない場合、妖精や植物系モンスター等は数日後死亡する可能性があります』


「なぬっ!」


 もう一度補充、DP500消費 残りDP2701


『ダンジョン内の魔力が枯渇しています。DPを消費して補充しますか?

補充しない場合、妖精や植物系モンスター等は数日後死亡する可能性があります』


「こらこら・・・」


 このやり取りを何度か繰り返しDPが残り701になったところで変化は起きた

 ってか助かった。DP無くなって植物全滅するトコだった・・・


 芽が出た! と思うとそのままメキメキ成長し一気に地下2階の天井まで背が伸びた! まるでジャックと豆の木だ!

 まだ成長しようとしているが、さすがにダンジョンの天井は破壊できない様だ

 妖精樹が天井を押している様子をしばらく見守っていると不思議な声が聞こえた


『パパ! ここ狭いよ! なんとかして!』


 もしかしなくても妖精樹が喋っているのだろう。しかしパパって・・・

 ノエルはマジウケしている。こんにゃろー!


「パパ、何とかしてあげてください!」

「分かったよママ!」

「誰がママですか!」


 プンプンしてるノエルを放置して妖精樹頭上の天井を20メートルまで伸ばす!DP消費246 残りDP455


 しかし・・・ゴン! とぶつかる音がした

 まだ高さ足りないのか、でかすぎだろ・・・

 仕方ないので天井をぶち抜く。抜けた先は地下1階口の字部分の真ん中辺りなのだが、勿論空間など無いので妖精樹が通るための空間を作る

 平面15×15×高さ20mで330DP消費。残りDP125

 しかしまた、ゴン! っとぶつかる音がした。


『パパ~・・・』

「ちょ、ちょっと待ってろ!」


 やばい、もうDPが無い!なるほど、ノエルが懸念してたのはこういう事か・・・

 確かにこれはまずかったかもしれない


「もしかしてもうDP無いんですか?」

「う、うん・・・」


 どうしよう・・・明日まで我慢してもらうか?

 でも人間で言えば中腰で我慢してる状態だもんな・・・

 できるだけ早く解放してやりたい。何か方法はないか? っとパニくってるとノエルがやれやれって感じで口を開いた


「もう、しょうがないな~! ちょっと待っててください!」

「あ、ああ」


 そう言ってノエルはダンジョンから出て行った。すると恒例のメッセージが流れた


『侵入者を撃退しました。経験値を入手、レベルアップ!

レベルが26から27になりました。DP2000を得ました」


 そしてすぐ帰ってきた


『ダンジョンに侵入者が現れました』


 なるほどね。一方通行の扉を開けてノエルを招き入れる


「どうでしたか? DP入りました?」

「ああ、助かったよ! ありがとな!」

「これでも足りなかったらお手上げですけどね」


 怖い事言うな、お前も・・・

 地下3階を作り穴と土ごと根っこを転移させる

 地下3階平面15×15×高さ20mでDP330消費。残りDP1795


 ゴン! と音がする

 もう驚かないぜ! そう来る気はしてた! 地下4階を作り以下略! 残りDP1465


 ゴン! と音がする! 無限ループって恐くね?

 いい加減にしとけよ! 地下5階を作り以下略! 残りDP1135


 ゴン! という音は来なかった。苦しい戦いだった・・・ツンツン頭以上の強敵だったかもしれない


「勝った! 第二部完!」

「何と戦ってるんですか・・・」

『パパ! 今度は横周りがちょっと狭いよ~!』

「ああ、ちょっと待ってな~!」


 充分な広さだと思ったが枝の部分は窮屈な様だ

 手が掛かる子だが、何故か悪い気はしないな。幹の通っている部屋を全体的に拡張。円形にして無駄スペースも削っておいた

 これでしばらくは大丈夫だろう。残りDP50


 そして貯水槽を地下5階へ移動させて水道もその分だけ伸ばした。これでいつでも水を吸えるだろ

 だが全部は吸うなって言っとかないとな。水エレメントも増やすべきか? 残りDP0


『パパ! ありがと~!』

「どういたしまして~」


 見ると高さ90メートル前後、幹周りも20メートルはあるだろう巨大な樹が立っていた。もはや肉眼では全体像を見る事すら出来ないだろう

 コアルームからなら全体を見ることも可能だが近くで見てみたいなと思いコアルームを出る

 ああ、でも駄目だ。あそこって歩いて行けないんだっけ? と、ここで違和感に気づく


「ん?」

「あ! なんか空気がおいしくなってる気がしますね!」


 ノエルも気づいたみたいだ。確かに空気が以前よりも澄んでいる。妖精樹の力だろうか?


「元々植物は二酸化炭素を吸い、酸素を生み出す力を持っているんですよ?」


「ああ、なんか聞いたことあるわ」


「何故かダンジョンは最初から酸素で満ちていますが、それでもモンスターが増えてくると空気が汚れ、循環も悪くなります」


「ふむふむ」


「だから普通は植物系モンスターを増やしたり、草木を植える事で空気を洗浄し、風エレメントで空気を循環させるんですが」


 ちなみに風エレメントで酸素を生み出すことも出来る

 まあエレメントはみんなコストが高いんだよな

 風はまだ作ってないが、一体くらい作っておくべきか?


「妖精樹があれば植物はわざわざ植えなくても良かったかもしれませんね。一見地味ですが素晴らしい力ですよ!」


『えへへ~! 空気中に毒物が散布されても私が浄化するから安心してねパパ!』


「おお、頼りにしてるぞ!」


 この世界の人間なら毒ガスくらい使いかねんからな・・・

 俺はそういう状態異常系は効かないし、たぶん酸素無くても平気だけどモンスターは酸素無いと死ぬ奴も居るし毒はほとんどのモンスターに有効だ。そういう搦め手に対する用心はしておかないとな




























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