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自動車と馬車

「自動車と馬車の違いですか?

 そうですね、まず購入費はお互いピンキリでそれ程大きな差は無いと言えるでしょう。

 ですが、最高価格を比べた場合は馬の方に軍配が上がります。世界で一番高い車は56憶なのに対して馬車は84憶です。

 まあ、庶民には関係の無い話ですが・・・」


 パーキングエリア内のめぼしい場所は大体回ったので今はエリア内を北へ向けて歩いている所だ。

 目的地はエリアの駐車場を北へ抜けて少し行った所にある。距離にして500mくらいだ。


 その道中、何気に気になっていたので車の話題を神父さんに振った所凄い勢いで喋り出した。どうもこのおっさん、車が大好きな様だ。



「維持費は色々な条件が関係してくるので一概には言えないのですが、自動車の場合は各種税金に駐車場代、燃料費、車検代などが維持費として掛かってきます。

 それに対し馬車の場合は厩舎代を払えばそれ以外の費用は殆ど掛かりません。馬の世話も車のメンテも厩舎の人間がやってくれます。

 それでどちらの方が費用が掛かるかというと平均的には年間40万くらいでこれもお互い譲らず、長距離を乗る場合は燃料費の分だけ自動車の方が高くなると思います」


「ほうほう」


 補足すると駐車場が自宅にあれば自動車の方がコストが掛からない場合が多い。

 だが好きな人になると自宅に厩舎を構えて自分で馬の世話をする人もいるという話なので一概には言えないという話だ。



「性能面では速度や安全面、移動の快適さでは馬車に軍配が上がります。

 自動車では高ランクの馬の速度にはどうやっても勝てませんし、馬車に使われる馬は嗅覚や聴覚も優れていますので人間が運転する自動車と比べて事故率は遥かに低いです。

 また、馬車は馬に行先を告げておけば勝手に目的地まで運んでくれるので何か他の作業をしながらの『ながら運転』もしやすいですし、空も飛べますので渋滞に巻き込まれる事も少ないです」



 これも補足すると一応飛んでいい高さや空路は決められているらしく好き勝手飛んでいい訳では無いらしい。

 しかし馬便利過ぎじゃね? これはダンジョン内でも使うべきかもしれん。


「しかし長距離の移動時は自動車に軍配が上がります。

 馬は生き物ですので長距離の移動となるとどうしてもへばって来ます。休憩も必要になるでしょう。

 その点、自動車なら燃料の続く限りどこまででも行けますからね」


 はー成程、近距離だと馬が便利。長距離だと自動車って感じなのか?


「私は自動車の方が好きだけどね。やっぱり自分で運転したいじゃん?」


「私は馬車の方が好きですね。やっぱり馬は愛着も湧きますし」


「ルーはお馬さんが大好きなんですよ! フッドはルーが挨拶するとお顔をスリスリーってして来るんですよ! 賢いんです! 可愛いんです!」


 全身を使って馬の可愛さを表現するルー。横でユズもうんうんとうなずいている。

 なるほど、馬車はペットとしても求められてるんだな。それにしても・・・


「フッド?」


「ああ、フッドは私が飼っている馬の名前ですよ。長年の相棒でしたが、流石に逃亡生活には連れて行けなかったので知り合いに預けていますがね・・・」


 そう言って哀愁を漂わせる神父さん。

 その気持ち、すごいよく分かる。俺も前世ではネコ飼ってたからな・・・そんで死んだ時ホントに悲しくて涙を流したし、しばらく凹んで元気が出なかったモンだ。

 ペットはな、長く飼ってるとペットじゃ無くなるんだ。家族になっちまうんだよ。

 はあ、いかん。ミーきち(猫の名前)の事思い出しちまった。泣きそう・・・これは放ってはおけないな。


「ふーん・・・じゃあ、場所を教えてくれれば寄って行こうか? お互い離れ離れは寂しいだろうし」


 こうは言った物のここで断られてもルーから聞き出し寄って行こうと俺は心に決めている。流石にこれは放っておくと後でモヤモヤするからな。


 神父さんはそんな俺の言葉を聞いた後、少し驚いた顔をして、そしてふふっと普段通りに笑った。


「ありがとうございます。やはりあなたは・・・

 いえ、何でもありません。では、お言葉に甘えてお願いしてもよろしいでしょうか? 場所は・・・」


 こんな感じで新たな目的地が増えたが、ユズや女ドワーフは嫌な顔一つせずに了承してくれている。

 いい仲間を持ったなと思うと同時に感じる幸せ。そう、これこそが俺の求める幸せなのだ。

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