俺はロリコンでは無い
「そういや部屋あんな感じで良かった? 部屋って言うより体育館みたいになっちゃったけど」
次に行うのは口の字と果樹園の拡張だ。
ダンジョンの拡張は実際に現地で見ながら行いたいので歩いて移動しながら神父さんと話している。ノエルも付いて来ている。
「ええ、あれでいいんですよ。ありがとうございます。
みんな小さいですし、個室よりああいう大部屋の方が目が届いて安心出来るという物です。
お化けが恐くて一人じゃ寝れない子もいますしね。ふふ・・・」
ホント親バカだよな、この人は。
ですが、みんな大きくなれば個室を欲しがるかもしれませんのでその時はお願いしますとか話してる所で後方からパタパタと可愛らしい足音が聞こえて来る。
「神父さま! ルーはもう小さく無いんですよ! いつまでも子ども扱いは失礼しちゃうんですよ!」
追い付いて来るなりそう言ってプンプン! という効果音が聞こえてきそうな顔で片頬を膨らませているのは先程恐るべき強さを見せつけた少女、ルーだ。
恐らくあの後転移ルームで居住区へ戻り俺たちをっていうか神父さんを追いかけて来たんだろう。
「ふふ、そうですか。ならルーには個室を用意してもらいましょうか? お化けが恐くても一人で寝なくちゃいけませんが大丈夫ですか?」
ふふっと神父さんが意地悪く笑う。
酷い奴だがちょっとその気持ちは分かる。可愛い子にはイジワルしたくなるよね。好きな子に構ってもらいたい的なアレだ。
「ギャ―! お化け! お化けさんはダメですー! お化けが恐い時は一緒におねんねするんですよ!」
その意地悪な言葉に涙目になり神父の腕にギュッとしがみつくルー。
神父は「ふふ、冗談ですよ。恐かったですか?」とルーの頭を撫でて機嫌を取るがルーは少し拗ねてしまった様でプイっと横を向き神父から視線を外す。
その一連のやり取りが何とも可愛らしくああ、これはからかいたくもなるよな。と普段と違う神父さんの態度に一人納得する。俺はロリコンでは無い。
そんな感じでルーの可愛さに少しやられていた俺がガン見しているとルーと目が合ってしまう。
目が合った瞬間、ルーは神父の手を離し俺の元へ走って来る。
そしてペコリと頭を下げて「あの、さっきは勝手してごめんなさいです」と無断で戦いに行ったことを謝って来たので次からは一声掛けてねと言っておく。
正直今後は戦力として期待しているのでそんな事で咎めるつもりはない。
こんな小さな子供を戦わせるなんてと思うかもしれないが、この子は現時点で魔王クラス・・・は言い過ぎかもしれないが種族の長たちに近い実力を持っているだろう。
そんな超戦力を遊ばせておく程状況に余裕は無いし、ルー本人もやる気になっているし普通に戦わせる分にはいいかなーと思っている。
ダンジョンが滅べば神父一行はまた逃亡生活に戻る事になり、そこでもし神父さんが捕まれば子供たちは国によってバラバラに引き離される事は間違いない。
そして神父さん曰く時間の問題でそうなるという話だ。
家族同然の関係と言える神父一行にとってそれはきっと死ぬよりもつらい事だろう。
ルーだけで無く、神父一行の子供たちは幼いながらにその事を理解し、そうならない為に戦う力を欲している。
俺としては同盟が成れば別のダンジョンで匿ってもらう道もあると示したのだが、子供たちはそれを望んでいないのだ。
誰かに護ってもらうのではなく、自分たちで脅威に立ち向かえる様に成長したいと言うのだ。
その為に戦う相手を欲しているのであれば俺としてもそれに協力するのはやぶさかではない。
・・・なんて言うと聞こえがいいがその気持ちを利用しダンジョンの為に戦ってもらおうとしてる俺は酷い奴だなと自分でも思う。
そんな暗い事を考えている俺を置き去りにしてルーは神父さんの元へトタタタ! と走っていきその手を握る。
そして握った手を大きく振りながら「神父さまー!」と甘えるその笑顔は天使を思わせる愛らしさで何というか・・・超可愛い。俺はロリコンでは無い。
何故かノエルの視線が冷たいが気のせいだろう・・・ジト目はやめろ。




