命令を聞かない奴ら
すでに2人組の武器も防具も剥ぎ取り俺たちが使用している
奴らは半裸と素手の状態で何度も殺され戦意は喪失している様だ
だが同情はしないぞ。俺も前回、同じ様に嬲り殺しにされたからな・・・
『スキル:コンティニューのレベルが2から3に上がりました。セーブポイントが2か所取れる様になりました。』
むう、めっちゃ気になるけど今は確認する余裕は無い。レベル上げを続ける
ランク2になると やはり経験値の入りは悪くなる様だ
次のレベルまでの必要経験値も多くなるしな
なかなかレベルは上がらなくなった
それでも100回ほど倒せればランク3にはなるだろうが、流石にその前に応援が来るだろう
「そういやランク2モンスターを召喚可能になったんだな」
「何も無い部屋」にランク2モンスターを召喚してランク3の奴を狩るか? 正直こんな簡単にランクが上がると思っていなかったのでこの辺りはアドリブだが・・・
カメラを確認する・・・うん、行けない事はないと思う
まだ他の奴らが戻ってくるまで30分は掛かるだろうしな
と、そこまで思考した所で、
「うっ!」
「ぐあっ!」
「痛っ!」
「ギッ!」
何かが入口から飛んできた! 一撃で4体のモンスターが戦闘不能になりその場に倒れた! まさか・・・
「ふんっ! 入口の見張り役なんざ貧乏くじだと思っていたが、そうでも無かったようだな!」
そこにはツンツン頭が立っていた。くそっ! 物音を立てすぎたか!
「おらあっ!」
「・・・!」
「きゃあっ!」
「ぐああ!」
手も足も出ずモンスター達は屠られて行く! やはりこいつは別格に強い!
あっという間に残りは俺とゴブ太、ハイピクシーだけになる
くそっ! どうする? 転移で逃げるか? しかし奴が詠唱時間の30秒を見逃すとは思えない。
「・・・! お前らは奥の通路を塞いでいろ!」
逃げようと思っているのを察知したのか後ろに控えていた冒険者にダンジョン内の道を封鎖させ
ツンツン頭が入口に陣取り俺たちの退路を塞いだ。さらに・・・
「おい! お前ら! ダンジョンマスターを見つけた! 戻って来い!」
通信手段を持っているのか? 奴がそう言うと同時に次々に連中が転移してくる!
「驚いたか? これはな、マーキングした所へ飛べるマジックアイテムだ! 使い捨てで1個1万もするから使いたくはなかったがな」
奴はそう言って入口にある杭を指さす。
そんなモンあるのかよ! 厄介すぎるだろ! ハードモードはやめろ!
「ちなみにコアを売れば3億にはなるからな。充分元は取れるって訳だ」
「そうっすね 山分けしても俺らの年収位にはなるっすからね」
「てめえら! 第一発見者は俺だからな! 1割は俺のモンだぜ!」
「へいへい、分かってるよ!」
続々と集まってくる冒険者達。これはもう、今回はダメだな・・・
「分かった、俺の負けだ。大人しく殺されるよ・・・」
「兄貴?」
「マスター!」
「黙ってろ! お前らはそこを動くんじゃないぞ!」
「・・・!」
2人は悲しそうな顔を見せる・・・
ごめんな、だが今回はもう無理だよ
俺は死んでもやり直せる。でもお前らは・・・
無駄に死ぬことは無いだろう・・・
「その代わり、こいつらは見逃してやってくれないか? 俺の命令に従ってただけなんだよ」
それを聞いた冒険者達はやれやれっといった風に馬鹿にした笑いを浮かべる
「はいはい、いいはなしだねー! そういうのいいから! 死ね!」
武器が振り下ろされる! ああ、また死ぬのかと思った瞬間・・・
「させない!」
「兄貴は殺させねえ!」
2人が立ち塞がった!
予想はしてたが、なんで言うこと聞かねえんだ! こいつらは!
「ぐっ! お前らやめろ! 命令だぞ!」
「そんな命令は聞けません!」
「兄貴見捨てて生き延びる位ならここで一緒に死ぬ!」
こんな時だと言うのに目頭が熱くなるのを感じる・・・
バカな奴らだ
俺には、勿体ない奴らだ・・・
だからこそこの状況は見ているのがつらい
冒険者達の中にはランク3もいるし数の利もある。余裕を持って2人は追い詰められていく
ニヤニヤ笑いながら、殺そうと思えばいつでも殺せる筈だ!
くそっ! いたぶって楽しんでやがる!
「貴様ら! ぐっ!」
俺も戦おうとしたがすぐに囲まれ押さえ込まれる! くそが~!
「弱い部下を持つと大変だね~」
「はははっ! 違いねェ!」
下衆どもの声が聞こえる。
今なんつった? あいつらが弱いだと~! こいつら絶対許さん!
暴れようとするも押さえ込まれて動けない
畜生! 俺にもっと、力があれば・・・
いや、せめて死なずにコンティニュー出来れば、こんなものを見なくても済むのに・・・
『スキル:コンティニューのレベルが3から5に上がりました
復活場所を指定出来る様になりました。
付与可能人数が10人になりました。』
『スキル:ダンジョン内転移のレベルが1から2に上がりました
モンスターを転移出来る様になりました。
転移可能人数が2人になりました。
リキャストタイムが22時間になりました。』
なに! これはもしかしてあの2人を逃がせる、あるいは連れていけるんじゃないのか?
そう思い、メニュー画面を開こうとしたその時
「ぐおお!」
ツンツン頭が俺の方へぶっ飛んできた! 俺を拘束してた奴らも巻き込まれ俺は動ける様になった。一体何が!
そう思い入り口を見ると そこには見覚えのある幼女が立っていた




