表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
211/268

無限スライムとの戦い その7

 カメラを見るとリザードマンと人魚の頭領、そしてウンディーが戦いを開始しようとしていた。

 ダンマスはそれを見て少し心配になっていた。


 神父から長連中が強いという話を聞きはしたが普段のやり取りからリザードマンや人魚の頭領がそれ程とは思えなかったし、ウンディーに至ってはホントにアレ戦えるの? という思いが強かった。なんせ見た目ただの水の塊にしか見えない上に精神は子供のそれとしか思えなかったからだ。



「ウンディーはこっちの通路を守るんだよ~♪ リザードちゃんと人魚ちゃんはそっちを任せたんだよ~♪」

「お任せください」


 どうやらY字の通路の右側をウンディーが守り、左側をリザードマン達が守る事にする様だ。

 ウンディーのその案に対しリザードマンは快く返事をするが人魚の頭領は面白くないのか難色を示している。


「ここは私ひとりで平気だからあんたは他へ行けば?」

「断る。お前が他所よそへ行けばいいだろうが。足を引っ張られては敵わん」

「なんですって~!」


 早速煽りに入る人魚に退かないリザードマン。またいつもの夫婦漫才が始まるのかと思った所でウンディーが仲裁に入る。


「喧嘩しちゃダメなんだよ~♪」

「「も、申し訳ございません!」」

「「・・・」」


 やはりウンディーの前では従順な2人は素直に謝るが、その謝罪のセリフが同じだった事で微妙な空気になる。もうお前ら結婚しちまえよ・・・


 しかしこいつら、もうスライム達は目前まで迫っているというのに全く緊張感が感じられないんだが・・・油断は禁物とか言ってませんでしたっけ?

 微妙な空気のままついに無限スライム達と接敵する3人。どうしても安心して見る事が出来ず見ているこっちも力が入る。ああ! ホントに大丈夫か? 危ない!


「ウンディービ~ム!」


 次々と跳躍しウンディーに襲い掛かる無限スライムだったが、その攻撃が触れる前にウンディーの体から何十という数の水のビームが放たれ蜂の巣にされる。

 超強力な高圧洗浄機とでも言えばいいだろうか? 恐ろしい水圧が掛かっているであろうそのビームは軌道上のスライム達を全て貫通しダンジョンの壁に当たった所でようやく止まる。


「ウンディーカッター!」


 これはウォーターカッターか? 今度はウンディーの体から水で出来た電動丸ノコの刃の様な物が何十と飛び出し回転しながらスライム達を切り刻んでいく。


「ウンディー・・・え~と、ウンディー!!」


 いい技名が思いつかなかったのか適当な事を言いながらその体を膨張させるウンディー。どんどん膨らんでいくその水の塊に飲み込まれたスライム達は強力な水圧で身動きを封じられぺしゃんこに潰されていく。


 サッカーボール程もあった無限スライムの体が一円玉程にまで圧縮されていくその様子から凄まじい力がそこに加えられているのが分かる。

 あっという間にY字右側の通路を埋め尽くしたウンディーの体。もはやその周囲に生きている生物は居なかった。



「流石はウンディー様! おい、バカ人魚! 我らも負けてはいられんぞ! 分かっておろうな?」


 そう言いながら前衛で槍を振るい無限スライムの群れを食い止めるリザードマンの頭領。

 その槍捌きは達人のそれであり、単騎でもスライム達を全く問題にしていない。


 しかし次々に襲い掛かって来るスライム達に対し横幅3メートルもある通路を全てカバーするのは難しく、横を抜かれそうになっては後退という流れを繰り返しじりじりと後退を余儀なくされていた。


「だ、誰がバカですって! このアホトカゲ野郎!」


 戦闘の最中だというのに普段のノリなこの2人。

 しかし己の役割は真面目にこなす様で後方で待機していた人魚の頭領が『水』と言葉を発するとその手元から大量の水が発生し、Y字左側の通路を瞬く間に水没させた。


 リザードマンの後退に合わせ通路の奥まで進軍していたスライム達は成す術も無く水に飲み込まれていく。しかもこの水、人魚の制御下にあるのか左側の通路より外へは流れて行かない上に内部からの脱出も出来ない様だ。


「アホは余計じゃ! だが人魚にしてはよくやった! 雷槍!」


 無限スライムと一緒に水に飲み込まれたリザードマンだったが水中でもその動きは一切阻害される事は無く、むしろ陸上よりも俊敏に動ける様だ。

 ダンジョンマスターの視力では捉える事すら出来ない速度でスライムから距離を取ったかと思うと手に持った槍から電撃が放たれまだ生きて水中でもがいていたスライム達を一掃する。

 水中のモンスターというと電気に弱いイメージがあるのだが、リザードマンの頭領はこの技を使い慣れているのか電撃は効いていない。


「あんたね~! ちょっとは残しておきなさいよ! 私もウンディー様にいいトコ見せたかったのに!」


「ガハハハッ! まあそう言うな! これから長い付き合いになるのだ。この先いくらでもその機会はある! そうだろう?」


「え? 長い付き合いって・・・な、何を言って・・・」


 敵を殲滅し、ご機嫌になっていたリザードマンはあまり考えず言葉を返してしまう。その言葉を聞いて真っ赤になる人魚の頭領。ここで初めてリザードマンは己の失言に気付いた様だ。


「お、おい! 違うぞ! そういう意味では無い! 深い意味は無いからな!」


 必死に取り繕うリザードマン。しかし人魚は聞いていない。顔も真っ赤のままだ。


「長い付き合い・・・それって・・・」

「だ、だから違うと言っておろうが!」


 Y字の左右の通路は水没した為、スライム達は別の道を探そうとそこから引き上げていく。

 結果を見ればスライム達は数千体もの犠牲を出したのに対し3人は傷1つ負ってはいない。圧勝である。


 本来なら無事で良かったと思う所なのだろうが、その後延々と夫婦漫才を見せつけられたダンマスは「あ~心配して損した」と思ってしまうのだった。


 

リザードマン&人魚「ウンディーエートウンディー! すごい!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ