表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
203/268

炎の長槍

「それじゃあウンディーはリザードマンや人魚達と一緒に迷宮区の防衛をお願いできるかな?」


「うん! 分かったんだよ~♪ ウンディー頑張るんだよ~♪」


 ウンディーはぐるぐると旋回しながらリザードマン達の元へ飛んでいく。旧知の仲の様だし後はリザードマン達が舵をとってくれるだろう。


「ウンディー様がいらっしゃればもう勝ったも同然ですな! グハハハ!」

「そうね! 来たるべき人間との決戦が楽しみだわ!」

「ウンディー!」


 それにしてもリザードマンや人魚達のあの自信、ウンディーはそれ程強い力を持っているのだろうか?

 ・・・気になるが今回は低ランク帯の底上げが目的だ。出番は無いだろう。今フラグとか思った奴、後で校庭3周な!



「え~、では最後に前線で戦う者たちに装備の配分とその使い方について説明して行きたいと思う。えっと、例の『炎の長槍』は何本出来てる?」


「はい! 急いで作らせていますが現在200本あるか無いかと言った所です!」


「そうか、まあ充分だろ」


 炎の長槍はドワーフの鍛冶技術で穂先を加工し、アルケミストが作ったインクを用い、エンチャンターが炎の魔法を付与した眷属たちの合作である。

 素材は倉庫にあったハイエナ達の装備やダンジョンで取れる素材を使用したらしい。


 このアイデアは前回俺が死んだ時に冒険者連中が槍衾やりぶすまを使用していたのを見てパクった物だ。

 槍の穂先に炎の魔法が付与してあるのは掴んで引き寄せたりといった行為を防ぐ為である。


 ちなみに穂先周辺のは熱を通す金属で出来ているが、それ以外の部分はドライアドから頂いた熱を通さない木材を使用しているので持ち手が火傷をする事は無い。

 なんかやたら軽いし、これにはホント助かった。ドライアド様様だな。



「これは・・・やけに長いですけど、これを使って戦うんですか?」


 しかし現物を取り寄せて見せると疑問を口にする者が出始める。

 まあそう思うのも無理はないか。長槍の長さは4~6メートルはある。狭いダンジョン内で使うには不適切に思えるし、扱えたとしても穂先を躱されれば簡単に懐に入られそうに見えるだろうからな。


「ああ、これは単体で使用する物じゃないんだ。こうして並んで隙間無く構え一斉に突く事で効果を発揮する」


 実際にゴブリンたちに実演させながら説明する。槍の長さは微妙に違う。

 4メートルの槍を持つ者が最前列。5メートルがその後ろ。6メートルがさらにその後ろに続き穂先を揃える3列の編成になっている。


 槍が一本だけなら穂先を躱して近付き切り込む事も可能だろう。

 だが、近付く為のそのスペースを他の槍で埋めてしまえばどうなるか? 数十本という槍の穂先が同時に迫って来るのだ。槍のリーチの長さも手伝い、飛び道具を持たない相手は近付く事も出来ず蹂躙される事となるだろう。

 その説明を聞きみんななるほどと納得してくれた様だ。


「あとは、この手元のスイッチを押すと穂先に付与された炎の魔法が発動する仕組みになっている。だから突く技術も必要ない。突けるに越した事はないが、今回の場合は発動させて触れるだけでも倒せる筈だ」


 だよね? と神父さんを見ると神父さんは微笑を浮かべたままコクリと頷いてくれる。うむ、なら問題ないな。


「基本戦術は炎の槍衾で壁を作り風魔法で距離を空け、足を鈍らせ、クリアシールドでスライム達の足が止まった所を撃破していく。もし槍を落としてしまったり搦め取られた場合は無理に拾おうとせずに捨て置き、後続と交代するように」


 ふむふむとみんな頷く。特に質問は無い様だ。説明を続ける。


「ランクが4に達した者は合図し後続のランク3以下の者と交代、支援に回る。一度に大勢交代すると前線が崩壊しかねないので慌てず一人ずつ交代するように。その辺りの指示は現場でゴブ太とエアがするように」


「分かった」「分かりました」


「負傷者が出た場合やアクシデントで誰かが危機に陥った場合はシルフやゴブリンたちが救出。全員武器を捨て後退し、後続の部隊と入れ替わるように」


 通路の横幅は3メートルと狭いので全員参加は出来ないからな。部隊を何個かに分ける必要はあるだろう。

 そしてアクシデントが起きた際に無理に維持しようとせず部隊ごと交代する事でパニックや恐慌状態に陥る事をある程度は防げるはずだ。


 う~ん、こんな所かな? あとは地形をホイホイっと弄ってっと・・・

 スライム達はサッカーボール程度の大きさしか無いので長槍では突きにくい。戦場となる場所では人間の腰程度の高さまで土を盛り傾斜を作り、突きやすい位置にスライム達が来る様に調整する。

 傾斜にはスライム達の足を鈍らせ視界を遮る効果もあるだろう。あとは接近しにくい様に槍兵の手前に段差を作ってっと・・・よし! こんなもんかな。


 撤退も考慮に入れて10か所は戦場となるポイントを作っておく。10回も繰り返せば全員ランク4にはなるだろう。ランク上げが終わった後はギミックを使って全滅させるだけだ。



 余談だがダンジョンのエリア分けは以前よりずっと細かくされていて侵入者が入って来てもある程度はダンジョン操作が可能になっている。(侵入者が居るエリアはダンジョン操作が出来ない)

 以前は口の字部分がエリア1。迷宮区がエリア2って感じでかなり大雑把だったが今は口の字部分だけでエリア50以上に分けている。

 ホントは管理が面倒になるからエリア分け多くするのは嫌だったんだけどね。防衛の事を考えると言ってもられんよねって話だ。

「ウンディー!」っていうのはウンディーの叫び声です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ