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◆無限スライムの力

 無限スライムは元が同じ物故か数が増えた後もその意思は統一されていた。

 また、以心伝心とでも言うのか。距離があってもある程度お互いの考えている事が分かる様だ。


 研究所周辺の草花や虫を食い尽くした後、無限スライムたちは北を目指し歩きだした。

 何故北かと言うと少し離れているが北からはとてもうまそうな匂いがするからだ。逆に南からは離れた方がいいと本能が告げていたのもある。


 北への道程は平穏だった今までの日々とは違い過酷な物となるだろう。森はモンスターで溢れているからだ。

 しかし研究所へ留まっても餓死が待っているだけだ。食べられそうな物は全て食い尽くしてしまったし、それに・・・待っていても、もう主人は帰って来ないのだから・・・


 覚悟を決めてスライムたちは北を目指す。しかし焦ってはならない、数はあっても自分たちは弱い。なるべく敵を避けて進む必要があるだろう。


 そこまで考えた所でスライムたちは索敵を飛ばした。北、東、西方向へ5体ずつ先行する。木々で先の見えにくい進路の先に何があるのかを知る為だ。


 ◇


 ・・・北へ向かった5体は熊のモンスターに襲われ死んだようだ。

 額から小さな角を生やしたこの熊は鬼熊と呼ばれるランク4モンスターで単体だが強い力を持ち、硬く分厚い毛皮と高い肉厚による防御力はスライムたちが戦うには荷が重い相手であった。


 ・・・西へ向かった5体は狼の群れに狩られた様だ。こいつらはハイイロオオカミと呼ばれるランク2モンスターで一個体の持つ力は自分たちでも群れで掛かれば対処可能なレベルである。

 しかしその数20数体と多く、こちらは一万居るとはいえ全員ランク1だ。戦えば苦戦は必須だろう。それに戦闘が長引くのもまずい。周囲に居るモンスターが寄って来る可能性があるからだ。


 ・・・東へ向かった5体はデビルポイズンフラワーにやられ全滅した様だ。こいつらは動きは鈍いが強烈な毒を放出してくる。その数は2体と少なかったがスライムたちも動きは速くないので次々と毒液を喰らい倒されていく。

 また、捕食しようとして戦った個体スライムも居たが消化しようとして体内に取り込んだ際、デビルポイズンフラワーが体内に持つ毒も取り込んでしまい命を落とした様だ。

 


 少し考えた後、無限スライムたちは東へと進路を取る。

 目的地である北へ向かうには回り道になってしまうが急がば回れと言う言葉もある。

 他の道と比較しての敵の与し易さ、毒を持つ故に喰う事は出来ないが倒す事でこちらの進化も起こるかもしれない。

 まずは自分たちの弱さを何とかするべきだとそう考えたからだ。


 東へ向かった無限スライム達は一斉にデビルポイズンフラワーに襲い掛かる! 相手はランク2モンスターだ。単体での能力はスライム達よりは上だし毒液も脅威だ。

 しかしこちらは一万だ。その圧倒的な数に対処できる筈も無く二体のデビルポイズンフラワーは倒される。

 倒す際に毒を喰った者が何体か犠牲になったが必要な犠牲だろう。こちらの攻撃手段は体当たりか体内に取り込んでの消化くらいしか方法が無いのだから・・・



『進化の条件を満たしました。進化先を表示しますか?』


 どうやら今の戦闘で進化の条件を満たした様だ。進化先を表示してみる。


『無限スライムⅡ』

・正統派な進化先。繁殖力に特化している。

獲得能力

『消費軽減』少ないエネルギーで活動可能になる。子供を産む時も少ない栄養で出産可能になる。

『双子出産』一度に2体の子供を産む事が出来るようになる。


『無限スライムⅡ』

・戦闘力に重みを置いた進化先。身体能力も高いが子供は一体ずつしか産めない。

獲得能力

『消化液放出』消化液を体外へ吐き出す事が出来る様になる。

『硬化』一時的にだが石の様に硬くなる事が出来る。


『無限スライムⅡ』

・生命力に重みを置いた進化先。環境適応能力が高く、HPも高いが子供は一体ずつしか産めない。

獲得能力

『強酸』硬い物を消化可能になる。また、鉄なども錆びさせる事が出来る。

『悪食』毒や汚物もスキルレベルに応じて食べられる様になる。

『熱耐性』温度の変化に耐性を得る。



 無限スライムは繁殖力特化の個体へ進化する事にした。他の進化先も魅力的であったが自分たちの強みは繁殖力にこそあると思い、その長所を伸ばしていこうと考えたからだ。

 

 無限スライムⅡへ進化する。すると・・・


 明らかに戦いに参加していなかったスライム達も同時に進化を始めた。それも皆が同じ進化先の様だ。


 これこそが無限スライムの恐るべき能力、繁殖力に続く二つ目の脅威と言える力。経験値共有、そして進化共有である。

 多様性こそ失われるが群れの中に一体でも進化した無限スライムが居れば他の個体も同様に進化する。その有用性は語るまでもないだろう。


 一万の無限スライム達は全てランク2モンスター無限スライムⅡへと進化した。そしてその脅威は静かにダンジョンに迫りつつあった。

 

 



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